【不動産投資】空室率とは?レントロールで解消できる/できないケースが!

※2019年9月更新

レントロールから得られる情報は、将来の家賃収入の変動だけではありません。
空室率についても見ることができます。

その部屋が空室である限りそこから賃料を得ることはできませんから、空室率の予測と空室発生の原因が何かということはしっかり把握しておく必要があります。

レントロールについての記事のPart1はこちらから見ることができます。

→http://realestate-investors.tokyo/rent-rall-1/

 

空室率とは?

空室率とは、その名前の通り「貸せる部屋のうち、どのくらいの割合が空室なのか」を示す指標です。

算出方法は厳密には

「空室面積の合計÷賃貸可能床面積の合計」

で算出されますが、

空室の部屋数÷総貸室数」

で簡易的に計算される場合もあります。

以下のレントロール例で見てみましょう。

【空室率算出レントロールの例】

部屋
番号
賃料条件(左:賃料 右:共益費) 敷金 面積
(㎡)
入居時点 次回更新
現況 新規
101 60,000 3,000 60,000 3,000 60,000 40.00 H30.4.1 H32.4.1
102 空室 空室 60,000 3,000 80,000 25.00
201 空室 空室 61,000 3,000 70,000 30.00
202 61,000 3,000 61,000 3,000 61,000 25.00 H30.3.1 H32.3.1
301 65,000 3,000 61,000 3,000 65,000 30.00 H30.2.1 H32.2.1
302 61,000 3,000 61,000 3,000 61,000 25.00 H30.1.1 H32.1.1
合計 247,000 12,000 364,000 18,000 397,000 175.00

レントロールの見方その1で提示したレントロール例とほとんど同一のものですが、各部屋の面積を少々変えておきました。赤字で示した部分が空室です。

102号室と201号室が空室で、その合計面積は55.00㎡です。
ですから、この物件の空室率は

55.00㎡÷175.00㎡≒31.4%

と算出されます。

簡易的に

空室の部屋数÷全貸室数

で計算すると、

空室2部屋÷6部屋≒33.3%

と算出されます。

都市部であれば、いずれにせよマンションで空室率30%を超えているというのはやや高い水準ですから、要注意物件となります。

 

空室率が高くなる原因

物件取得時で空室率が高いと思われたら、まずはその原因を知ることが重要です。
それが購入後に解消できる原因で、対策を取りさえすれば空室率が低くなるのであればさほど大きな問題とはならないのですが、解消できない、または解消しにくい問題であればその物件を買うべきではないと考えられるからです。

ここでは、何が解消できる原因で、何が解消できないまたはしにくい原因なのか挙げてみましょう。

 

空室率を解消できるケース

空室率を解消できる原因の例で最も多いのは、「現在のオーナーの資金力不足で貸室の原状回復が十分でない」ことです。

当然ですが、部屋を賃貸すると使用によって内装や設備は劣化します。壁紙が汚れたり経年で色褪せたり、床に傷がついたり、水回り設備が老朽化したりします。

このうち、借主の故意や重過失で劣化したものについては借主に原状回復費用を請求できるのですが、経年劣化部分については貸主負担になります。

前の入居者が出ていった後、設備が老朽化しかつ汚れたまま放置していれば次の入居者を入れることは難しくなりますから、原状回復は当然必要になりますし費用もかかります。

この費用を出すことができない位現在のオーナーが経済的に困っていて、原状回復をしていないために次の入居者が決まらないのであれば費用をかけて原状回復さえすれば次の入居者を入れることはできるでしょう。

 

空室率が解消できないケース

空室率が解消できないケース1.『建物自体が古い』

解消できないまたはしにくい原因では、「建物自体が古い、または安全性に欠けていて解消するには建替えと同じくらいかそれ以上の費用がかかる」ということが挙げられます。

このような場合は既存の建物を取り壊して新しい建物を新築するということも視野に入れる必要がありますが、「建物取り壊し費用+新しい建物新築費用」と大きな費用がかかりますから通常は手を出さない方が良いでしょう。また、取り壊さざるを得ない場合は現在の入居者の立ち退きの問題も発生します。

別記事で解説しますが、建物自体が古い等ということについては、仲介業者やオーナーの言うことを鵜呑みにするだけではなく、自分でも最低限の調査をして発見しておくべきです。

 

空室率が解消できないケース2. 『迷惑住人の存在』

また、最近増加していることに「迷惑住人の存在」があります。

自分の借りている部屋をゴミ屋敷にしてしまったり、深夜や早朝の騒音を出したりする住人、極端なケースでは共用部分をゴミ置き場にしてしまっている等の住人のことです。

このような住人がいると隣の部屋の住人に悪臭や害虫の被害や、騒音による被害が出てしまって短いスパンで退去されてしまうことも、内覧の際にそのような状況を見た次の入居検討者が入居してくれず空室が長期化するということも起こります。

オーナーとしては出ていってほしいのですが、家賃滞納等の明らかな契約違反がない限り居住権が法律上発生しますから、なかなか難しい交渉になります。また、立ち退きをしてもらうこともかなりハードな交渉です。

その他

その他、例えば駅から極端に遠い等でその地域全体で空室率が高い場合、殺人事件等があったいわゆる事故物件である等といった事情も、解消できないまたはしにくい原因になります。

このように、「努力や費用を払えば解決できることが理由で空室率が高いのか」、「どう頑張っても解決できない理由で空室率が高いのか」ということを判断していく必要があります。

 

入退去履歴にも注意

レントロールをみてちょっとでも違和感を感じたら、直近数カ月の入退去履歴も確認しておくと良いでしょう。

収益物件は基本的に「得られる賃料÷利回り」の収益価格で物件価格が決まって取引されています。

そのため、物件を高値で売却するために知り合いや親族を高い家賃で入居させて、書面上賃料収入を上げて満室物件として売却する手法をとるオーナーもいます。

そのような場合、見かけの賃料に振り回されて購入した後、すぐに大量に入居者が退室して大きな空室を抱えてしまうということにもなりかねません。

直近数カ月で不自然な入居履歴がないかどうかも、レントロールをヒントに確認しておきたいところです。賃貸借契約履歴等の資料は仲介業者に言えば見せてくれるはずですし、物件所在地周辺の他の仲介業者に直接聞いてみて、入居者がどのような人が多い地域なのか、どの程度の家賃相場が中心なのかということも聞いておくと良いでしょう。

この場合、売買仲介に強い業者だけではなく、賃貸仲介を名トンとしている業者にも行くことをおすすめします。

 

纏め

  • 空室率は「現在空室の面積÷総賃貸可能面積」で算出される指標
  • 空室率の高い物件はその原因を調べ、解消できる原因かどうかを考える
  • 不自然な入退去履歴がないかもチェック