不動産投資信託(J-REIT)の銘柄選定のヒント③ -商業施設中心型-

商業施設中心型の不動産投資信託(J-REIT)を見ていきます。
商業施設はイオンやイトーヨーカドー等の大規模ショッピングセンターをイメージしてください。
商業施設中心の投資法人には、日本リテールファンド投資法人、イオンリート投資法人等があります。

商業施設の特徴とメリット

商業施設のテナントイメージは、以下に示す通りです。

5階 ショッピングセンターA(賃借する主体は運営するA法人)
4階
3階
2階
1階

イメージとしては、地方都市の郊外にあるような大規模なイオン、イトーヨーカドー等のショッピングセンター、ヤマダ電機等の大規模家電量販店をイメージされると良いでしょう。

ここで「例えば郊外のイオンを核テナントとするショッピングセンターの中に、ABCマートやロクシタン等といった小さいテナントがたくさん入っていることも多いけど、そういう場合はどうなっているのか?」と疑問を持たれるかもしれません。

そういった場合、多くはショッピングセンターを運営する会社(上の図ではA)が投資法人から建物を一棟丸ごと借り、そのうちの例えば1階から3階までを直営として、4階と5階はABCマート等の小区画のテナントにいわゆる「又貸し(転貸と言います)」している場合が多いのです。
そのため、投資法人からみればあくまで商業施設は「一棟貸の場合が多い」と言えます。

こういった大規模商業施設はもちろん東京、大阪、名古屋等の大都市圏の都心部にもありますが、一般的に地方都市の郊外にあるといったイメージが強いでしょう。
そのため、商業施設中心型不動産投資信託の投資対象になる地域は地方都市の比率が高くなっています。

また賃貸借契約期間からみると、オフィスが一般的に2~5年程度の賃貸借契約が1区切りであるのに対して、商業施設は10年~20年といった長期での賃貸借契約が多くなっています。
そのため、そのテナントが居続ける限り収益は安定していると言えるでしょう。

商業施設のリスク

では、商業施設のリスクとは何でしょうか。
オフィスの記事においても掲載した図を再掲します。
【一棟貸商業施設の場合】

5階 ショッピングセンターA 一棟全体が空室になる
4階
3階
2階 退去
1階

上の図のように、一棟貸の商業施設の場合、テナントが退去してしまうと一棟全体が空室になってしまいます。つまり、空室率は100%です。

また、1物件当たりの面積が数千~数万㎡に及ぶような大規模施設が多く、賃料の総額も大きくなりがちなため、一度テナントが退去してしまうと次のテナントを募集しにくいという面があります。

また、借主は商業施設を運営する会社がメインになります。
店舗等の商業施設はオフィスのように「ある程度どこでもいい」というものではなく、「ここでなければいけない」という事情を抱えています。
商業施設は「消費者に足を運んでもらわないと売上が上がらない」ものですから、ある場所で営業を続け、広告宣伝活動を続けた結果、周辺住民等の消費者に認知されて売上げを上げているという性質を持っています。
また、商業施設の売上高が賃料を支払う源泉になるわけですが、売上高も景気に左右されやすいという性質があります。
そのため、テナント側の賃料交渉力も高い場合が多く、賃料交渉の実績も多く持っているでしょう。その点、「賃貸借の条件が気に入らなければ最悪他に行けばよい」と考えるオフィスとは異なります。
言い方を変えればテナント側から賃料減額交渉を受ける可能性が高いと言えます。

実際に賃料が減額されれば当然投資家への分配金は少なくなってしまいます。

言い方を変えれば景気が良ければ、またその商業施設の立地条件からみて背後の商圏人口が多く、その地域の経済情勢が良好であれば、安定的な賃料を得られる場合が多いでしょう。
そのため、商業施設中心型の不動産投資信託に投資する場合、その投資法人が持っている物件の立地条件、商業施設の状況等を十分に調べておく必要があると言えます。
前に書いたとおり、商業施設中心型不動産投資信託の場合、物件が地方都市に分散していることが多いですからこの見当はかなり大変な作業になりますが、テナントとの契約期間が長いため、うまくいけば安定的に収益を得られる投資になる可能性は秘めています。

まとめ

  • 商業中心型の不動産投資信託(J-REIT)は物件が地方都市に所在していることが多い
  • テナントと10年20年の長期契約を結ぶ場合が多い
  • テナントが退去した場合のリスクは大きい
  • 賃料減額リスクは大きい
  • 景気や物件所在地の地方経済が良ければ安定的な収益が得られる可能性がある

 

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