【不動産投資】ロジスティクス物件は建物の構造でも家賃が大きく異なる

REIT関係の記事でもご紹介しましたが、通信販売の普及・拡大に伴って、物流倉庫等のロジスティクス物件に関する投資熱が高まっています。

ロジスティクス物件特有と思われる特徴の一つ、建物による賃料の格差についてお話しします。

物流施設の賃料は建物グレードに大きく左右される

REITの記事でもお話ししましたが、物流施設にとって最も大切なのは立地条件です。それによって賃料水準は大きく左右されます。

しかし、もう一つ大きいのが、「建物の機能性やグレード」によるものです。

 

比較として、店舗の場合を考えてみましょう。

店舗の場合、特に飲食店や物販店であれば顕著ですが、建物の築年数やグレードといったものはあまり賃料に与える影響は大きくありません。

スケルトンで借りて、内装をテナントの負担で店舗イメージに合うように作り替えてしまえばよいからです。

その意味で、店舗の賃料水準は立地条件やお客さんからみて入りやすい構造か、人通りが多いかといった要因に左右される面が大きくなっています。

 

しかし、物流施設の場合は、たとえ隣にある施設でも、新しくてグレードも高い建物Aは坪6千円の賃料を取っているけれど、古くて建物の機能もただ商品を置くだけでしかない建物Bの賃料は坪3千円程度にしかならないというような場合が見られます。

 

機能面等からみた物流施設の分類

物流施設の建物グレードや機能を特徴づけ、賃料に与える影響が大きい要素を挙げると、建物の経過年数や天井高(最新であれば5.5m以上あることが良い)、床荷重、柱と柱の間隔(柱スパン)、テナントの要望に合わせたBTS(Build To Suitの略)施設か、等たくさんありますが、大まかなイメージで見てみましょう。

物流施設を築年が古い前近代的な設備から、最新鋭の機能更新型物流施設にまで分類したイメージは下の表のとおりです。

一口に物流施設と言っても、大まかな分類だけでこのような3つに分かれます。

右側の最新鋭の物流施設の代表的なイメージは、ここ数年の間に東京都の羽田空港そばに建てられた、ヤマト運輸の羽田クロノゲート等が代表的なものです。

羽田クロノゲートの権利関係や賃貸した場合の賃料水準は不明ですが、平成29年8月現在、東京都大田区から品川区までの東京湾に面した工業地帯に立地している、こういった最新鋭施設の賃料水準をヒアリングしてみると、大体坪6千円台前半とのことでした。

 

その一方で、この周辺にある従来型の倉庫は坪3千円~4千円程度の賃料水準が中心のようです。

BTS型施設か、マルチテナント型施設か

BTS型施設についてはすでにお話ししましたが、テナントが要望する仕様や設備で建設された施設で、いわゆるオーダーメイドによる物流施設をいいます。

その一方、マルチテナント型施設とは、複数のテナントを想定して建設された施設です。

BTS型施設は、物流施設の中でも特定のテナントの要望(例えば、テナントが要望する程度の冷蔵・冷凍施設を備えている等)を満たすように作られた物件ですから、あまり立地条件に左右されず安定的な賃料を取れるという面があります。その一方、契約期間満了やテナントとの間の交渉が不調になるなどして、当初新築時に入居したテナントが退去してしまうと、次のテナントを探すのが大変であるというデメリットも持っています。

例えば、BTS型施設の場合、写真のクロノゲートのように各階に直接車が乗り入れられるような構造の最新鋭タイプでなくても、テナントの要望に沿った冷蔵施設等を備えていれば、そのテナントが入居する限り、最新鋭タイプと同等か場合によってはそれ以上の賃料を得られる場合もあります。

一方で、マルチテナント型施設は、階層ごとに異なる企業を入居させることを前提としており、様々な業種をテナント候補とする必要があるため、好立地で優れたスペックを有する等、立地条件に左右される面が大きいタイプの物流施設です。

マルチテナント型施設はこのような特徴を持っていますから、一般的には各階にトラックが直接乗り入れられる設計であること、つまり最新鋭タイプの物流施設として躯体を作っているかどうかということが大きく賃料に影響するでしょう。

そのため、建設コストも高くなるのが一般的です。(もちろんBTS型について、テナントが要望する設備がどの程度のものなのかという面もありますが、BTSの場合はテナントから建設協力金等の形で水準を超える設備投資部分のお金を徴収することもあります)

 

一般的には物流施設の場合は、(1)平面的に広い土地が必要になること、(2)建物も大きな面積を確保する必要があることから、個人投資家が投資を行う対象には中々ならず、REIT等を通じて投資することになるかと思います。

しかし、REITの銘柄選定の際に、物流施設でも上記の内どのタイプ・どのグレードの施設を多く持っているのかということを検討しておけば、今後堅調な物件運営が期待できるかという判断材料になりますので、このような特徴を何となくでも覚えておいていただければ幸いです。

 纏め

物流施設の賃料は建物グレードに大きく左右される

物流施設の3つのイメージをつかんでおくことが大切

BTS型施設とマルチテナント型施設の特徴を理解しておく

REITの銘柄選定の際、物流施設中心型タイプのものやポートフォリオに物流施設を組み入れているものに投資する場合は、これらの観点から内容を見ておくことが望ましい

 

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