- プロパンガス会社を変更するとタダでリフォームできる。
- 給湯器が新しくなるかもしれない。
- もしかしたら浴室もリフォームできるかもしれない?
中古物件に投資を検討されている方ではこんな噂を聞いたことがあるかもしれません。
確かに上記の内容は事実です。一部屋当たり10-20万円位はオーナー側の支出を削減できる可能性はあります。
ただしうまい話ばかりではなく、リスクも存在することは皆様認識されてますか?
筆者の場合、そういった事情を全く認識しておらず、大ピンチに陥りました。
ここでは、プロパン会社変更による怖い話(本当に超怖かった)事例を紹介したいと思います。皆様もお気を付けください。
次に怖い思いをするのは貴方かもしれませんよ?
※尚、今回は私のストーリーが長いので解説をさくっと読みたい方は下部へ進むことをオススメします。
目次
早速プロパンガスの会社を変更してみた

耐用年数越えの中古物件を買った際に、
「これはリフォームに結構費用が掛かりそうだ。30室もあるし、
早速、各プロパン会社と面談し、
交渉には1週間をかけて、
最終的には、給湯器及び浴室のリフォーム(実は貸与なのですが、
A社との契約を無事終えA社の担当者と談笑していると、
「これから1週間大変だと思いますが、耐えてください。」
私はその意味するところが分からずにいると、
プロパンガスの法令規定

プロパンガスが準拠すべき法令があり規定は下記の通りです。
【1週間ルール】
現在プロパンガスを供給している販売事業者は、消費者(
アパートオーナー)から解約の申し出があった場合、 正当な事由がない限り、原則として、 1週間以内に供給設備を撤去することが法令で規定されています。 液化石油ガス法施行規制第16条第16号では、「
消費者の要求があった場合には、 液化石油ガス販売事業者はその所有する供給設備を遅滞なく撤去す ること」とあり、正当な事由がある場合を除き、 原則1週間以内に撤去することが通達に明記されています。
逆に言うと、解約の申し出を受けた業者は、1週間の期間内に、
プロパンガス会社との解約をしてみた

A社担当者からは、「
現在のプロパン業者(B社)への、解約の申し出は9月16日午後
A社より、B社に解約の旨を通知する申出書とB社との解約交渉の
私が、ずっとA社担当者からB社の猛攻が大変ですよとくぎを刺さ
このような背景で、予定通り解約通知を出状しました。
これで一仕事を終えた気分の私は昼間にもかかわらずビールでも飲
ただ、ここからが苦難の始まりでした。
プロパンガス会社とのトラブルがついに始まる…

解約通知を行いビールを飲みたい気分ではありますが、仕事をさぼり自宅でユーチューブを観ながら悦に浸っておりました。
この静寂と達成感は、あっさり一本の電話で覆されます。
A社がB社にFAXを送った10分後、知らない番号からの着信がありました。
私は知らない番号からの着信には応答しないので、着信に出ずに携帯を放置しているとおよそ1時間の間に20回の着信があります。
この時点では、気味が悪いなとは思ったもののB社からの電話と気づきません。
この電話がB社からの電話と気づいたのは、その一時間後(9月16日午後3時過ぎ)にB社による自宅訪問を受けてからでした。
共同玄関からのテレビドアフォンに映るのは、郵便局員らしき2人組。
郵便配達と思い、何も考えずに応答します。
「B社の××ですが・・・」
B社のある埼玉県X市から私の自宅まで、高速を使っても2時間はかかります。
解約申し出のFAXを送付したのが午後1時で、B社の訪問を受けたのが午後3時…。
彼らはFAXを受け取ると同時に、私の家を目指したのでしょう。
「解約の交渉はすべてA社に委任したので御社と話すことはない。帰ってほしい。」
と事前にA社と決めておいた応答を行うも、先方は
「まずは我々の誠意を受け止め、話を聞いてほしい。話を聞いてもらうまで帰れない。」
と共同玄関の前で土下座を始めます。
これには、参りました。
共同玄関には集合住宅の入居者全員が通ります。
不審な人がいると噂になります。
ただ共同玄関を開けたわけではなく部屋の前に来ているのではないので、私宛の訪問者とわからないかなと思ったので、会ったら終わりだと覚悟を決め放置することに決めました。
ドアフォンからの呼び出しがなくなって30分後、恐る恐る共同玄関に行ってみると、さすがに帰宅したようで人影はありませんでした。
ポストをのぞくと、切々と手書きで、
- 急な連絡で非常に驚いているし、がっかりしていること。
- 前オーナーとB社の間で貸与契約があり、貸与した設備の償却が終わっておらず、すべて返却してもらう必要があること。
- B社と契約を継続してくれたらこのようなサービスを提供します。
という内容の手紙が入っていました。
貸与契約については、解説が必要かもしれません。
プロパンガス業者がリフォーム代を拠出してくれる理由

プロパンガス業者はなぜ、設備のリフォームをしてくれるのでしょうか?
それはリフォーム費用を負担したとしても、プロパンガスを長期的に供給してくことで利用者(入居者)からガス代にそのリフォーム費用を上乗せして回収していくことが可能となるからです。
すなわち、プロパンガス業者にとっては、リフォーム費用を負担した以上長い期間利用してもらうことが必要で、そのため通常は貸与契約を結び、5年なり10年なりの間独占的にプロパンガスを供給すること、中途解約を行った場合は貸与している危機の引き上げか解約清算金としてプロパンガス業者が支払ったリフォーム費用を返済することがうたわれています。
前のオーナーもB社との間で、貸与契約を交わしており、B社はそこを主張しているのです。
ただ契約の当事者はB社と前オーナーであり、契約の地位を承継していない当方には関係のない話なのですが、B社はそういう話をしなければならないほど追い込まれていたということでしょう。
賃貸でプロパンガス会社変更でのトラブルが起きたその後
その後毎日のように電話と訪問を受けますが、慣れてしまった私は徐々に気にしなくなっていました。
その静寂が破られたのは、またまたB社からのメールでした。その内容は私の会社を訪問するというものです。
当時サラリーマンだった私の会社を何らかの方法で突き止めて、そこに訪問するというものです。
会社に来られて先日のように土下座をされてはかないません。
覚悟を決めて会うことにしました。
それは、最初に解約の通知をした9月16日から6日目の9月22日でした。最後の最後に追い詰められてここまで来たという感じがします。
ようやく待ち合わせ時間になり、私は歩道におりました。
歩いてくる二人組。
前に見た方々です。
ようやく近づいて挨拶を行おうと思った瞬間、 二人組が視界から消えています。
あれ?
きょろきょろしてみて恐る恐る下を向くと、そこには土下座をした二人組の姿が。
これ場所がどこだか想像がつきますか?
東京六本木の交差点です。
土地勘ある人はもう少し具体体に話します。
アラマンダの目の前です。
アラマンダの目の前で、二人組に土下座されている私。
もうここまで来ると笑えてしまいますね。
ただ10秒と我慢できず、土下座している方々を引き起こし、近くの喫茶店に連れ込みました。
埒が明かないと判断し、A社の担当者、法務部員を電話で呼び出し立ち会ってもらいました。
最終的には一連のB社の行動は訪問販売法違反であること、A社に業者を変更する気持ちに変わりはないことを再度伝え、ようやくB社はガス機器の撤去に応じました。
無事解決、帰路につこうとしたときに、ふと一つの疑問が浮かびA社の担当者に尋ねてみました。
「私が御社との契約を解除しても同じことしますか?」
彼の回答はなく冷やかに笑うだけでした。。。。。
帰りの電車の中で、業者変更を行う前にこの物件は売却しようと心に決めたのは言うまでもありません。
プロパン業者の熾烈な競争と恐ろしさを身を以て体験した1週間でした。
皆様と共有したい2つの反省点
本当に想像だにしないことが起こりましたが、2つの教訓を共有し今回は筆を下ろします。
- プロパンガスの供給変更によるリフォームは、ただでもらっているのではなく設備貸与であることを理解しましょう。
- プロパンガス競争激化地域では、供給業者から得られるリフォームのメリットは大きいが、それ見合いで被変更会社からの巻き返しは大きいと理解しましょう。
世の中上手い話だけはないのです。。。