強制退去は危険!家賃滞納者の対応&事前に防ぐ方法をお教えします。

これまでこのサイトではオーナーさんにとって属性が悪いと言われる区分の人たちを解説してきました。

しかしやはりオーナーにとって最も怖いのは家賃滞納が続くことです。

家賃を滞納された場合、ある意味キャッシュフロー面では空室が発生するより悪い状況です。

空室であれば部屋が使用されないので内装は使用による劣化は基本的にありません。単にその部屋から得られる賃料がゼロであるだけです。

しかし、家賃滞納の場合はその部屋を使用しながら家賃が入ってこないのですから、使用による劣化もあり、滞納者が出ていった後は原状回復費の問題もあります。

家賃滞納をさせないのが一番なのですが、ここでは万一家賃を滞納された場合どういう対応を取るべきかについてお話しします。

 

家賃滞納に対しては”できるだけ早く”対応がカギ

入居者の立場からみると家賃は高額です。

一昔前は、家賃等の住居費用は月額給料の1/3程度であれば無理がない等と言われていましたが、現在は大学新卒者の初任給も手取りで18万円程度、年功序列で給与が右肩上がりで上がっていくというモデルが崩れていますから、これすら当てはまらなくなっています。

一般的に、無理のない家賃は月額給料の1/4~1/5程度であると言われる地域もある位です。

また、家賃未払いは生活の場を失うことに直結するわけですから、ほとんどの人はいわゆる固定費として考え、月額給料から家賃分を引いた金額を使えるお金の範囲であると考えるのが普通です。つまり家賃を滞納するということはそれだけ入居者が経済的に追い詰められている状態であると見て良い場合がほとんどでしょう。

そういった事情を踏まえると、家賃滞納に至る入居者は当然翌月、翌々月の家賃も滞納してしまう可能性が高くなります。オーナーから見ると、1か月家賃滞納をされると1か月の空室が、2か月であれば2か月の空室が発生したのと同じ状態ですから、長期化する前に対応しなければなりません。

一応、家賃滞納の場合は賃貸借契約を解除できるという条項はほとんどの場合で契約書に盛り込まれているでしょうが、それでも判例上、「信頼関係破壊の原則」によって、1か月の家賃滞納で即座に入居者を追い出すことはほとんどの場合認められません。(判例はおおよそ3か月の家賃滞納を目安にしているようです)

そのため、滞納があった=即時退去請求と考えるのではなく、1か月目の滞納で、まだ滞納額が積み上がっていないうちにすぐに書面の送付等の後々証拠として形に残る方法、電話や訪問による督促で心理的圧力をかけて、早期に払ってもらうことが必要になります。

滞納額が2か月、3か月になると、入居者の方でも額が大きくなり過ぎて払えなくなってしまいますから、早めに対応することが肝心ということですね。

 

連帯保証人に対しても督促できる

また連帯保証人が付いている賃貸借契約の場合、連帯保証人に対しても同じように督促を行います。
尚、連帯保証人であれば主たる債務者(=入居者)と同じ責任を負うわけですから、滞納・即督促という形で話をすすめることができます。

 

滞納金額/期間が長い場合の対処は?

滞納期間が2か月、3か月となるとワンルームであっても未払家賃額は少なくとも10~15万円程度にはなるでしょう。

ここまで来ると、入居者の側からはかなりの高額になり払う責任はあっても実際は払うことができないということになっている場合が多くなります。ファミリータイプであれば更にその倍、3倍となりますから余計に問題は深刻です。

このように滞納金額が大きくなってしまったら、家賃回収専門の弁護士に委託することも検討します。

家賃回収専門の弁護士の数も増えていますので、弁護士の出張費分をかけないためにもその地域が得意な弁護士に依頼するようにしましょう。

弁護士報酬は成功報酬のケースが多く、おおむね回収した金額の3割程度を報酬として払う必要がありますが、完全な貸し倒れになるよりはマシです。

 

家賃滞納者に対して強引に退去させる方法は非常に危険です。

いくら督促しても入居者が家賃を支払ってくれない場合でも、賃貸で貸している場合オーナーが強引に出ていってくれということはできません。

入居者の同意を得ないで鍵を代えてしまう、入居者の荷物を撤去してしまう等といった強制退去は絶対に行ってはいけません。民事上の責任が発生してしまいますし、場合によっては刑法上の罪に問われることにもなりかねません。

居住権が発生している以上、交渉で何とかするしかないのです。

 

最終手段として裁判所に頼る

そうはいっても家賃滞納をする入居者の場合、居留守を使ったり電話に出なかったりと、連絡が全く取れないようなケースもあります。

そのような場合は裁判所に頼るしかありません。

裁判所に訴えを提起して貸室明け渡し・賃料支払請求の裁判を起こすことになりますが、半年分も家賃を滞納されているような場合はまず間違いなく勝訴はできるでしょう。

しかし、勝訴して家賃滞納者に出ていってもらえたとしても、判決が出るまでには短くても半年、長ければ1年かかります。この期間も家賃滞納を続けられたら1年程度の空室を抱えてしまったと同じことになります。

また、弁護士費用の負担、家賃滞納者に出ていってもらうための強制執行の手間と費用も掛かりますので、勝訴してもオーナーの損失は大きいものになります。

やはり、家賃滞納者に対しては早期の対応を行うことで、訴訟という最終手段に入らざるを得なくなる前に解決する必要があります。

 

最初の入居契約段階でのリスクヘッジも検討

家賃滞納者が出る前に、滞納されるリスクを事前に減らす方法として、賃貸借契約を定期借家契約にしてしまうという方法もあります。

これまでマンションやアパート賃貸のほとんどの賃貸借契約は法律上「普通賃貸借契約」と言われるものでした。

これは「賃貸借契約期間は○○年○月○日から2年間とする。但し、賃貸人・賃借人の双方に意義がない場合は、契約期間終了後2年間自動で更新する」のように、賃借人が住み続けている場合は前の契約を自動的に引き継いで賃貸借契約期間(入居者の入居可能期間)が更新されるというものです。この場合、入居者が家賃を払い続けていれば、退去の意思表示をするまでの間ずっとその部屋に住み続けられるということになりますから、入居者の居住権は非常に強くなります。

その一方、定期借家契約は「賃貸借契約期間は○○年○月○日から2年間とし、更新がない。」という契約です。最初の契約期間が終わった時点で賃貸借関係は終了し、オーナーは出ていってくれと言うことができるようになります。最近はREIT等の物件で多く導入されている賃貸借形態です。

もちろん問題のない入居者であればできれば長期間住み続けて欲しいでしょうから、「契約期間終了時に新たにその部屋を賃貸するという契約を結ぶことができる」という条項を盛り込む場合がほとんどです。

定期借家契約にすると、普通借家契約のように更新料をもらうことはできなくなってしまいますが、家賃滞納だけでなく騒音やごみの捨て方、生活態度等に問題があるいわゆる盟約入居者であった場合、新たな契約を結ばないということで最初の契約期間が終わり次第出ていってもらうことができます。

その点で、普通借家契約よりもオーナー側に有利、入居者側に不利な契約形態であると言えます。

入居者も特に問題なく普通に住み続けていれば特段不利なものではないことをわかっている人が増えていますから、定期借家契約を導入することで入居者の質を良くすることもできるでしょう。

ただ、実際の実務では木造や鉄骨の2階建アパート等では定期借家契約は浸透していません。
現状は建物の質の高いRC等のマンションが中心となっています。

纏め

  • 家賃滞納はオーナーにとって大きな損害(空室損失と同等+使用による劣化)
  • 家賃滞納は早期に交渉で解決することが重要。連帯保証人がいれば入居者と同時に督促もできる
  • 鍵を交換する等の物理的・強引な方法は絶対にNG
  • 滞納額が大きくなれば弁護士や裁判所も検討
  • 定期借家契約でリスクに備えることも広まりつつある

 

Slider