【不動産投資/オーナー】生活保護者を入居させるリスクとメリット

※2019年7月更新

昭和の時代は生活保護を受けているというと、テレビもラジオもダメ、見ただけで明らかに生活保護受給者だと分かるような漫画のような現実の話もありましたが、全般的な生活水準の上昇によって生活保護受給者であることは分からなくなりました。

また、生活保護受給者の数は着実に増え続け、平成28年12月時点で世帯数164万205世帯、受給者数214万5,667人にまで増えています。昔は高齢者が多いと言われていましたが、最近では若年層も増えてきており、年代によるばらつきもなくなってきているようです。

生活保護受給者の生活水準の向上は喜ばしいことですし、受給者が増えたとしても国民の生活を保護するという国や政府の責任上そうあるべきことなのですが、不動産投資家の面から見ると、生活保護受給者というのは管理上のリスクのうちの一つです。

 

生活保護受給者を入居させるリスク


国立社会保障、人口問題研究所が発表しているデータによると、平成28年度で生活保護の開始理由及びその内訳は以下のとおりでした。

    • 傷病 25.9%
    • 急迫保護で医療扶助単給 3.2%(比較的短期の保護となる場合が多いでしょう)
    • 要介護状態 0.7%
    • 働いていたものの死亡 0.3%
    • 働いていたものの離別等 3.5%
    • 定年・失業 8.2%
    • 老齢による収入減 4.2%
    • 事業不振・倒産 0.9%
    • その他の働きによる収入減少 5.4%
    • 社会保障給付金の減少・喪失 1.0%
    • 貯金等の減少・喪失 32.2%
    • 仕送りの減少・喪失 3.5%
    • その他 10.9%

最も多いのが貯金等の減少・喪失で、次に傷病と続きます。

貯金等の減少・喪失が生活保護の理由になることは専門外ですから良く分からないのですが、それだけ低所得層が増えているということでしょうか。ということは生活保護予備軍が増えているということも推測されます。

いずれにせよ、生活保護受給者だから入居は絶対に認めないというようなことは差別ですから社会的にも許されませんし、いつ生活保護受給者が入居希望を出してくるかもわかりません。入居させるオーナーにとっても経済的なメリットもないわけではありません。

しかし、一般の入居者と違ってオーナーが慎重になるべき面もいくつかあります。

差別的ととられかねませんが、傷病で多いのはいわゆる精神疾患であるとも言われています。

実際、不動産賃貸の客付けの現場では、生活保護受給者を入居させる際に理由が精神疾患であるという人を入れると入居後に騒音や最悪の場合自殺等といったトラブルを起こす可能性もあるため、生活保護受給理由を確認することも行われています。

生活保護受給者には受給決定理由通知書が地方公共団体から交付されるため、それを確認するわけです。

騒音は精神疾患の人だけが起こすわけではありませんし、一言に騒音と言ってもどの程度のことをうるさいと思うかは人それぞれのため、入居者トラブルとしては極めてポピュラーかつ主観的であるため解決が難しい問題です。

しかし、騒音問題を放っておくとその部屋の周囲の部屋の入居者が退去して空室を長期間抱えることにもなりかねませんから、慎重になる必要があります。

自殺になるともっと重大です。心理的瑕疵物件となり、物件の価値自体が下がってしまうリスクもはらんでいます。

そのため、生活保護受給理由が精神疾患であれば入居時審査を慎重にせざるを得ないことはやむを得ない面があります。

また、公共団体によっては生活保護受給者の家賃を直接オーナーに振り込んでくれるところもありますから、そういった面ではリスクヘッジができていると見られなくもないですが、生活保護はいつ打ち切られるか分からないという側面もはらんでいます。また、生活保護は法律上は「親族縁者にも、被受給者の生活の扶助をする経済的な余力がないこと」が受給の条件になっていますから、保証人をつけたとしても家賃滞納リスクは高いと言わざるを得ません。そのため、生活保護受給者の入居に際しては保証会社への加入は必須条件としておくべきでしょう。

 

生活保護受給者を入居させるメリット

オーナーにとって、生活保護受給者を入居させるメリットはないわけではありません。
また、空室率を下げるためには生活保護受給者個別のリスクを把握した上で受け入れるという判断をすべき時もありますから、メリットについては理解してください。

      1. 敷金・礼金等の入居時や更新時に一時金が行政負担になるため、これらを取り損ねることはない
      2. 生活保護受給者は公共団体によって月額家賃の上限が決められるため、その額までなら払ってもらえる
      3. オーナーと入居者の間に行政が入ってくれるため、トラブルがあった場合は行政に相談できる(ただし、公共団体によって対応にはバラつきがあります)

以上の面で、生活保護受給が続く限り家賃滞納リスクは低いと見ることもできます。

特に、既存の入居者が生活保護受給者になって物件に住み続けている場合、生活保護を受給するまでの間の家賃滞納分は、公共団体に掛け合えば公共団体から直接滞納分家賃を払ってもらえるケースもあります。
生活保護受給者を入居させる場合や、既存入居者が生活保護受給者になった場合のポイントは、いざというとき公共団体とうまく相談することと言えます。

【不動産投資/オーナー】生活保護者を入居させるリスクとメリット

    • 生活保護受給者は着実に増えている
    • 生活保護受給者の入居時審査は受給理由も確認する等、慎重に行うべき
    • 生活保護受給者の場合、家賃等は公共団体が監督したり肩代わりしたりするので、滞納リスクは低いと見ることもできる
    • 生活保護はいつ打ち切られるか分からないので、保証会社への加入は必須事項とするべき

 

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