不動産鑑定士推奨。不動産のプロになるためのお勧めの本15選

不動産のプロになるための本、とのタイトルの記事ですが、読者の皆様は別に不動産鑑定士になることを考えておられるわけではないと考えます。
そのため、不動産投資に当たって必要と思われる、不動産関連・経済関連の知識を効率よく用意できる本を、僭越とは思いますがご紹介します。

目次

辞書として手元に置いておきたい本

この段で紹介するのは、「全部を読んで理解する必要はないけれど、必要に応じて参照していただきたい本」です。
一冊でそれなりの分量のある本ばかりですので、全部読むとなるとかなりの時間を必要とします。
そのため、この本にはこういったことが書いてあるんだなとさっと目次を読むにとどめておき、必要に応じて参照するということで構わないと思います。

1.都市・建築不動産企画開発マニュアル(株式会社エクスナレッジ)

今はこの本の入門版も出ています。
年度ごとに内容が改定されますが、不動産に関わる行政法規(都市計画法・建築基準法等)から、不動産の価格を求める鑑定評価手法の概説、資金調達や不動産管理までといった、不動産関連の知識を網羅的に収録しています。
知識を網羅することが目的の本で、不動産業者や不動産鑑定士がこれ一冊で済ませるには不十分で、一つ一つの解説は深いとは言えませんが、投資家の方が必要に応じて調べるといった意味では十分だと思われます。

2.不動産取引の実務(週刊住宅新聞社、不動産総合研究会編)

主に不動産売買の際に必要となる調査・手続きや税務・資金調達の手法等が書いてあります。
不動産仲介業者等の取引実務に関わる方々が使うにも十分な内容で、知る限りどの不動産業者の本棚にこの本は置かれています。

3.不動産賃貸管理の実務(週刊住宅新聞社、不動産総合研究会編)

2.と同シリーズの本ですが、この本では賃貸管理、具体的にはテナントとの賃貸借契約の手続やポイント、紛争事例、建物等の物的な管理の方法が解説されています。
この本も賃貸関連の実務家の使用に十分耐えうる本です。

4.不動産の評価 権利調整と税務(清文社、鵜野和夫著)

税理士と不動産鑑定士のダブルライセンスホルダーの先生が書かれた本です。
一般的な印紙税や登録税だけではなく、譲渡所得税の計算方法(借地権等も解説されています)も解説されており、更には不動産評価の知識もかなり深いところまで解説されています。
本の分量も千ページ近くあり、いわゆる読破タイプの本ではありません。
最終的に税理士に相談すべき事項も多く、この本を使いこなすのにはかなり難しいですが、税務を通じて不動産の理解を深めるためには、特に借地権・底地・地代等について深く知りたい場合には非常に良い本だと思います。

5.例解 不動産鑑定評価書の読み方(清文社、鵜野和夫著)

個人投資家の方が不動産鑑定士の書く鑑定評価書を利用する局面というのは、現状非常に限られていると思います。
この本をお勧めする理由は、不動産鑑定評価書の読み方の解説を通じて、不動産の価格形成メカニズムが丁寧に解説されているからです。
投資家の方が価格について情報を得るのは情報サイトや業者からがメインになるでしょうが、この本を手元に置いてたまに読んでおくことで、業者の言うことを鵜呑みにせず、深い質問ができるようになると思われます。

6.Q&A 不動産投資における収益還元法の実務(プログレス、高瀬博司著)

かなり大量の計算設例が収録されており、それを解くことで、投資不動産の主要な評価手法となる収益還元法のマスターを目指す本です。
しかし、この本を全てマスターする必要は全くありません(笑)。
このように投資用不動産は評価されて、価格が決まっているんだなと思っていただければ十分だと思います。

最低限書いてあることを覚えて実践していただきたい本

この段では、前段とは異なり「しっかり読みこんで覚えていただきたい本」をご紹介します。前段よりかなり分量が少ない本ばかりとなっています。

7.図解でスッキリ 不動産登記簿はこう読む(日本実業出版社、古山隆・川村兼司著)

不動産調査は登記簿調査から始まります。地番・家屋番号は何番で、どの程度の面積で、どういう用途で、誰が所有者かということだけではありません。
例えば取引に当たって前所有者が債務者となっている抵当権があれば、それを抹消してもらう手続もしなければいけませんから、その不動産に所有権以外のどんな権利が付いているのか、ということを調べるためにも登記簿は読めるようになる必要があります。
この本では登記簿の仕組みから読み方の留意点まで、豊富な記載例と共にわかりやすく解説されています。

8.図解不動産業 不動産調査入門基礎の基礎(住宅新報社、津村重行著)

この本は漫画です。
しかし、役所調査、現地調査等の物件調査をどのように進めていくか、初心者にもわかりやすく丁寧に書かれています。
物件検討の段階での不動産業者の調査は、不動産鑑定士や宅地建物取引士から見るとやや不十分な概況調査にとどまっていることもあります。
個人的な見解ですが、買付証明を入れる位にまで欲しいと思われる物件があれば、それだけは実際にご自分で調査をしていただくことをおススメします。(調査代行業者等も今はありますが…)
この本はその際に大きな助けとなるはずです。

9.不動産投資リスクの基礎知識(日経BP社、三菱UFJ信託銀行 不動産コンサルティング部著)

この本では、物件取得時、保有・運用時、売却時の不動産投資の全段階のそれぞれについて考えられるリスクと対処方法が解説されています。
不動産投資には各種リスクがつきもので、極論すれば「欠陥のない不動産はない」とも言えますから、この本でリスク管理の方法を知っておいていただきたいと思います。

10.基礎からよくわかる 不動産証券化ガイドブック(ぎょうせい 不動産証券化研究会編著)

REIT投資等、直接不動産投資ではなく間接投資を考えておられる方にはお読みいただきたい本です。
REIT投資とは?といった本でも構わないのですが、それらの本のいわば原典となるもののうち、最も読みやすく最低限の仕組みを解説している本です。

11.ベーシック不動産実務ガイド(中央経済社、山野目章夫監修、東京都不動産鑑定士協会編)

不動産の調査、評価、取引に関して概説的に解説している本です。
基本的に入門者向けで、8を除く1~10までの本の内容の概説といった内容となっています。
基本的に不動産鑑定業の世界では、実務経験のない不動産鑑定士試験合格者が最初に読む本のひとつといった位置づけですが、不動産のことをよくわからないけど、不動産投資に興味があるから勉強したいという方にお勧めです。

12. 不動産と金融をむすぶ不動産の利回り入門―利回りのハンドブック(住宅新報社、奥田かつ枝著)

不動産投資に関して、利回りを避けて通ることはできません。
やや記述は堅い本ですが、最低限知っておいていただきたい利回りの仕組みやイメージをつかむためには良い本でしょう。
内容は基本的には6.の入門用といったものになっています。個人投資家の方であれば利回りに関してはこれを理解しておけば十分すぎる位と言えるでしょう。

直接不動産とは関係しないけれど、最低限覚えておきたい知識を解説した本

不動産には経済・会計・法律といったたくさんの分野が関わってきます。
経済学を知っておけば今後キャピタルゲインが望める経済情勢なのかということもご自分なりに何となく予想できますし、会計学を知っておけば減価償却や負債(資金調達・ローンに関連します)がどのような効果をもたらすか分かります。
民法を知っておけば不要なトラブルを抱えている不動産を回避することもできるでしょう(当然法的トラブルが起こってしまえば弁護士に相談する必要がありますが…)。
これも基本的には全部マスターする必要はなく、専門家により深い相談をするための基礎知識、予測のための基礎知識としてある程度を知っておけば良いとは思います。

13.6色蛍光ペンでわかる経済―「思考パターン別・塗り分け勉強法」で経済・ニュースを理解する(ダイヤモンド社、石川秀樹著)

経済学というと、ミクロがあったりマクロがあったり、数式があったり等でそれだけで蕁麻疹が出るような方もいらっしゃいますが、この本は分かりにくい経済理論を、これ以上は書けないという位わかりやすく説明しています。
やや古い本ですが、基本的な理論は同じですので、現在でも十分通用する内容です。
教養のための本としての利用価値も高いです。

14.会計学入門(日経文庫、桜井久勝著)

利益計算方法から貸借対象表・損益計算書・CF計算書といった財務諸表の作成・公開まで基礎知識が身に付く本です。
会計学の入門書として大学や企業で使われている本でもあります。
基本的に不動産投資家は簿記などはできる必要はあまりなく、利益計算や資産・負債・自己資金の適切なバランスを取ることができればよいと思います。
この本に書いてあることを全部理解する必要はありませんが、ある程度の概念は覚えておいた方が良いかと思います。

15.S式 柴田の生講義 入門民法シリーズ(自由国民社、柴田孝之著)

著者は司法試験予備校で講師をしておられた方で、基本的に試験対策用の本です。
しかし、民法のイメージを講義調で記載しており、読みやすい本ではあります。
不動産投資に当たっては不動産関連法規の次に民法が重要になってきますから、イメージづくりとしては良い本でしょう。
ただし、民法を深く理解しようとするとハードカバーで5冊6冊等、分量が大量になります。
このシリーズは2冊で民法の全範囲を概説しているので、内容は入門用、それなりのものをわかりやすく解説している本であるということは注意してください。