築古戸建て投資事件簿

私は、都内と埼玉で8軒の築古戸建てを所有・運用しています。今回は、これらの運用の際、生じた現在進行中の事件について、ご紹介したいと思います。築古戸建てを不動産投資として運用する場合、どのようなリスクがあるのかを知り、読者の皆様の投資判断の一助になればと思います。

私道埋設の下水管トラブル

これは、滅多にないトラブルであると思いますが、それでも築古戸建てを購入すると、このようなトラブルにぶつかるケースがあるという事件です。
私道に面している物件の場合、公道から私道を通って戸建てまでに引きこまれている下水管は、基本的にその下水管を利用する個人の管理となり、その下水管の破損から生じる損害、修理費用などもその下水管利用者の負担となるのが原則です。
このような事実を築古戸建ての購入時に説明されても、下水管トラブルなんて滅多にないだろう、あったとしても大したことないだろう、と考えて購入してしまう方がほとんどだと思います。私も今までそのような考えの下、私道埋設の下水管リスクなどまったく配慮せずに購入して来ました。
しかし、この原稿を執筆している現在、ある都心観光地近くの築古戸建て物件が、まさに私道の下水管故障トラブルに見舞われ、その物件を手放す選択肢まで考える事態になっています。

この物件は、築50年近いのですが、都心観光地近くということもあり、購入前にスケルトンで民泊用として利用したいという借り手が付き、その利回りも8.5%という投資としては優秀な物件です。スケルトンで民泊利用ということで、事業用として賃貸借契約を結んだため、建物については一切の修繕義務を負わないという契約でした。リフォームをして居住用として賃貸にすれば、12%近い利回りも視野に入っていたのですが、購入当時現金が薄く、この条件に飛びつきました。

しばらく何事もなく運用していたのですが、つい一週間前、管理会社から、下水管に異常があるらしく道路にまで汚物が溢れてしまっているので、その対処をしつつ、原因を調査しています、との連絡が入りました。この一週間で一回、高圧洗浄による汚物の除去を行いましたが、それはオーナー負担となったばかりでなく、洗浄しても汚物が流れないことが判明し、下水管が破損していることが明らかになりました。破損個所、修理費用の見積りなどは調査中で、年末年始休暇に入ってしまったため、この問題は年越しすることが決定しました。

今回の私道埋設の下水管の破損リスクとして判明したことは、まず、建物部分ではないので、借主とどのような契約をしていたとしても、基本的にオーナー責任になるということです。次に、今回、管理会社は善意で下水管の破損調査を行ってくれていますが、建物敷地外となるので、対応しない管理会社もありうるということです。この場合、オーナーが現地対応や業者探しなどに追われることになります。それから、具体的な下水管の修理手続きが煩雑であり、その費用も高額になるということです。下水管の修理には、埋設してある道路を掘削することが不可欠になりますが、これには私道の所有権利者の掘削承諾書が必要です。まずはこれがなければ集めることになります。通常、売買の際に不動産業者が集めてくれるケースが多く、今回はそれがあったため、この手間は省ける見込みになりました。次に、費用面ですが、通常は私道に面している複数の家が下水管を利用しているというケースが多いため、費用負担を各家で分担することになるのですが、今回、現地聞き取り調査では一切、使用していないと言うのです。信じ難い話ですが、私道の下水管は配管図が保存されていないケースが多く、他の家が利用していることを証明するにはそれこそ掘削してみるしかない、ということになります。今回、修理が部分的なもので済むのか、下水管全体の及ぶのかが不明であるため、どのような判断をするか、まだ分かりませんが、私一人の負担となる可能性が高いため、その費用は家賃に分割で上乗せするか、それでも回収できないと考えれば、物件の早期売却に踏み切るしかないでしょう。また、下水管の修理、交換費用はメートル単価で算定されることが多く、今回本管まで50メートル近くあると報告されているため、単価5万としても最大250万ぐらい請求される可能性があります。

民泊用の賃貸物件特有のリスク

上で取り上げた、私道埋設下水管の故障トラブルが発生した築古戸建ては、民泊用として貸出しています。しかし、民泊を行っている事業者に事業用賃貸借物件として貸し出しているだけですので、オーナーには民泊用という理由で特段に何の責任もないように思えます。

しかし、事業用賃貸借契約には、オーナー側に留意しなければならない事項があります。それは、オーナーが事業の収益に支障をきたすような修繕義務を果たさない場合、修繕義務を怠ったことで生じた逸失利益を負担する責任が生じて来るのです。この事業収益に支障をきたすレベルとはどのような問題か、そして、修繕義務を怠ったと言えるにはどのような対応を言うか、には社会通念によって判断されるところであるので、ある程度争う余地はあるでしょう。今回の下水管トラブルのように、物件の基本設備の使用にかかる問題は、明らかに事業収益に支障をきたすと言えるでしょうし、修繕義務についても、迅速な対応をして借主に逐一報告するなどの対応をしないと、怠っていると判断される可能性が高くなります。

民泊用など事業用物件のオーナーは、修繕義務に加えて事業収益の逸失利益負担責任についても配慮しなければならず、そのリスクは一般の居住用物件よりも高いと言えます。

解体工事業者詐欺事件

これも、現在進行形の事件ですが、私は8軒の戸建て以外に、以前倉庫として貸していた遊休地を所有しています。この土地は、固定資産税の評価上、地目が宅地扱いとなっていて、この地目を山林あるいは雑種地に変更するのが課題になっています。宅地ですと他の地目より固定資産税が数倍高いのはご存知かと思います。

そこで、以前建っていた倉庫の骨組みがまだ現存しているため、これを解体することにし、その上で適当な幼木を植え造園しようと考えました。幾つかの業者に当たりましたが、骨組みだけと言っても、倉庫が立っていた敷地は50坪以上あり、入り口が狭いため大きな重機が入れないこともあり、解体だけで20万は下らないという見積もりがほとんどでした。そんな中、ジモティーという地元掲示板でアプローチしてきた業者が、12月まで待ってくれれば(当時2月でした)造園込みで12万でやると言ったため、前金7万を渡し、依頼することにしました。

もちろん、依頼時には直接現地で会って、業務委託契約書を結び、領収書をもらい、本人の健康保険証まで確認しました。
しかし、一向に解体工事に手を付けてくれないばかりか、半年ぐらい経つと携帯電話も連絡が取れず、メールにも返信がなくなってしまいました。12月になってようやく契約書の期限が過ぎたので、これからどのように対応しようか検討しているところです。

業者にアクセスする媒体となったジモティーというポータルサイトの運営には連絡を取りましたが、基本的に個人でアプローチしてもらうしかないので、警察に相談することを推奨されました。

その他、知り合いの行政書士に内容証明を打ってもらうことも考えましたが、一通1万5千円かかるだけでなく、実効性はないので警察に相談する方がマシかと考えています。しかし、警察もこの程度の少額詐欺で動いてくれる可能性は薄く、自分で暇な時間を見付け、支払催促か少額訴訟というのが実効性は高いようです。費用対効果を考えると、裁判所に出向かずに5000円で簡易裁判所に申し立てることのできる、支払催促という手段が最も現実的と言えるでしょうか。書類審査のみで裁判官が金銭の支払いを命じ、従わない場合は仮執行の申立てをすることで、強制執行をすることができます。相手が争わない場合は、裁判をせずに強制執行によって代金を取り戻せる可能性が高くなります。

まとめ

本稿では、私が築古戸建て投資を行っている現時点で現在進行中の2つの事件についてご紹介しました。詐欺については気を付けていれば回避できますが、私道埋設の下水管問題は、条件が揃えば十分起こり得る問題です。投資にはリスクは付き物ですから、起こり得るリスクとリターンを慎重に検討した上で、投資判断をしたいものです。そして、損失として顕在化してしまったリスクについても、必要であれば、その物件を手放すなどの選択肢も考慮した上で、合理的な判断をしていくべきでしょう。