前回に引き続きトラブル対処シリーズの強制退去編となります。
前回の記事の続編となりますので前回の記事を見てない方はまずはそちらをお読みください。
Step3:少額訴訟
訴状及び証拠を管轄の簡易裁判所に提出し受理されると、裁判所より実際に審理・判決をする期日の連絡があります。
その後の流れは、下記の通り併せて4時間程度で終わりました。
事前聴取
少額訴訟が1回の期日で終了するようにするための事前準備を行います。
裁判所の書記官の要求に応じて、審事実関係の確認、追加の証拠書類の提出、証人の用意を一般的には行います。
私の場合は、家賃入金口座の原本を見せたり、連帯保証人への連絡の状況などを確認されました。
答弁書を受け取る
相手方が提出した一般的には答弁書が届きます。答弁書には相手の反論が書かれています。
ただし、今回のケースでは相手方からの反論は当然ですがありません。
法廷で審理が行われる
原告、被告、裁判官、書記官らにより審理が行われます。
通常どのケースでも30分〜2時間で終了するようです。
審理では提出した書類や証人尋問などの証拠調べが行われます。また、場合によっては審理の場で話し合いにより和解が成立する可能性があります。
ただし今回のケースでは、被告が出席しなかったため、審理は特段ありません。
10分くらいで判決を迎えます。
判決
原則として審理終了後判決が行われます。
被告が出席してこないので当然ですが、私の主張が認められて判決が出ます。
裁判所の事務官に聞いたところ、少額訴訟では9割近くの被告が出廷しないそうです。
ここまでの手続きは、皆さんが考えている以上に簡単で勝訴判決を売るまでに要した時間は僅少で、あっけにとられるものでした。
とはいえ、勝訴判決は強制退去までの事前準備のようなものです。
ここで、まずは当初のゴールを振り返ってみましょう。
- 滞納となっている家賃を回収したい。
- もしこのまま滞納を続けるのであれば、建物を明け渡して出ていってほしい。
この二つです。
実際家賃を長期滞納している入居者は、貯金も底を尽きており、支払い余力はありません。従い、私が実質的に望んでいるのは後者の建物明け渡しが望みです。
ただし、私の利用した少額訴訟では強制退去を求めることはできません。
少額訴訟とは、訴額60万円までの金銭の支払いを求める場合に利用できる制度です。 よって、未払い家賃60万円を借主に請求したい場合には、少額訴訟を利用することが可能です。
逆に言うと、この少額訴訟では家賃滞納による建物からの立ち退きを求めることは出来ないということです。「建物の明渡しを求める」ことは金銭の支払いを求める場合には該当しないからです。
少額訴訟で未払い家賃60万円の請求が認められ、その後借主が未払い家賃の支払いを怠ったとしても、少額訴訟による判決・和解では借主に建物からの立ち退きは求めることは出来ず、再度建物明け渡しの通常訴訟を提起する必要があります。
それでは少額訴訟は役に立たないのでしょうか?
そんなことはありません。結審までの費用の安さとスピードを考えると通常訴訟より有利であること、また少額訴訟とはいえ「敗訴」という重みは被告にとってそれなりに重いものであることなどから、明け渡しの強制執行を含む通常訴訟より有利絵といえます。
事実私のケースも勝訴後、被告(滞納者)の方から何とかしたいと相談があり、引っ越し費用を一部負担してあげることで自主的な退去につながりました。
Step4:回収
ようやく、退去できたとはいえ、私は滞納家賃に加え、引っ越し費用の一部負担や訴訟費用など大きな債権が残っています。
当然にこの債権は、被告が負担していくものですが、支払いまでに時間を要することから長期間にわたる面倒な回収業務が残ります。
その手間を解消したかった私は、成功報酬で動く債権回収会社に回収業務を委託しました。
すでに退去した相手か、現在も住んでいる相手か等により支払う報酬額が変わるようですが、私がこの時に利用した会社だと、成功報酬で回収額の4~5割くらいの支払だった気がします。
高いとは思いますが、自らの手で回収という後ろ向きの作業をすることに比べればましだと思い委託しました。
成功報酬なので回収できなければそれまで、ダメで元々と思ったので利用しました。
連帯保証人及び長期滞納者を1年くらい追いかけて全額回収してきました。
少額訴訟による勝訴判決を得ていたのが、功を奏したのだと思います。
おわりに
以上で当方の経験をご共有致しました。
また本業でもこのような訴訟に慣れているため各種の相談に応じること可能です。
もしご相談等ございましたら、お気軽にご相談ください。
