2019年8月更新
前回のトラブル対処シリーズでは、夜逃げの対処法を書きましたが、長期滞納者への出口としてはもう一つ、強制執行による強制退去があります。これは失敗談というより前回の経験(夜逃げが起きた時にどうすべきか)を踏まえて、弁護士を使わず自分で法的手続きをすべてやったので、その経験談ということでお読みいただければと思います。
夜逃げが発生したのと同じ物件で、再び長期滞納が始まりました。(考えてみるとこの物件ではトラブルが起こります。大家として成長させてくれた前向きに考えることにします。)
過去の経験を踏まえて、法的手続きをすべて自分でやってみようと決め、準備しました。
やってみると手間がですが意外に簡単でした。
Step1:賃借人及び連帯保証人に内容証明で請求を出す。
ここは前回の反省を踏まえ、滞納が始まった月より、ただちに賃借人には内容証明で出すことにしました。(連帯保証人には翌月より発状)
内容証明の書き方については、ウェブで検索するといくつも参考になるサイトがありそれを参照しました。
Step2:訴訟を起こすための準備をする。
賃借人、連帯保証人とも内容証明郵便を受け取るものの支払いをしてきません。
3か月を経過したタイミングで訴訟を起こすことにします。
現在は本人訴訟の制度が充実しており、裁判所に飛び込むだけでも色々裁判所のスタッフが手続きを教えてくれます。
最初考えていたより、裁判所はユーザーフレンドリーで、非常に心強い味方です。
さて、滞納家賃は60万円以下だったので少額訴訟手続きを利用することにします。
少額訴訟は簡単な書類を出すだけなので素人でも簡単にできます。
金額によって多少違うでしょうが、切手代や裁判所に支払う手数料と併せても1万程度で済んだと思います。
まずは、賃貸借契約の管轄裁判所に電話して少額訴訟を起こしたい旨を伝えます。
(被告の住所地となることが多いですが、被告から異議申し立て無いものと考え自宅最寄りの裁判所に連絡します。)
訴状の書式が裁判所にあるので貰いに行き、持ち帰ってそれを書き、必要書類(訴状及び証拠。以下コラム参照)を添付して提出します。
少額訴訟制度
訴訟に特有の面倒な手続きを省いて60万円以下の請求に限って裁判所を利用することを可能にする制度で、通常の裁判より簡単に、かつすぐに終わります。
例えば、今回のように家賃が未納であるとか、証拠の提出も簡単で高度な法的判断を必要としない争いごとに対して有効な制度です。
少額訴訟という制度が設けられた趣旨は、少額の債権を回収する場合、通常の裁判では時間も費用もかかってしまい費用対効果が合わないことから、少額のお金の回収に限り、簡単で費用をおさえつつかつすぐにお金を回収することを可能にする点にあります。
少額訴訟に必要な資料
実際に作ってみれば簡単ですが、以下の2つの資料を準備するだけです。
拍子抜けするほど簡単でした。
訴状
訴状の記載例は裁判所のホームページに記載があります。書いてみるとわかりますが非常に簡単です。
まず1ページ目に被告及び原告(私ですね)の住所や名前などの基本情報を書き、
2ページ目に訴えの内容を書きますが本の数行記載するだけで大丈夫です。
当方の場合作成に30分くらいかかりました。
証拠
少額訴訟でも証拠が必要となります。
証拠といっても複雑に考える必要はありません。
証拠の一覧としては以下の通りです。 上からより有効な証拠となる傾向があります。
- 契約書
- 請求書
- 見積書
- 領収書
- メール文のコピー
- 電話の録音 など。
上記の証拠について、手元にあるだけ提出するようにしましょう。
私の場合は賃貸借契約書と、家賃入金口座の写しと、過去の内容証明の写しを提出しました。
次回は、いよいよ、少額訴訟編となります。