不動産は、売却によって最終的に利益が確定します。この利益を少しでも高めるためには、どのような建物管理をしていけばいいのでしょうか?
売却までになるべく高く売れる不動産に仕上げていくために、ポイントを押さえた建物管理が求められます。
売却というゴールから逆算した建物管理を計画的に行っていく必要があります。
今回は、高値での売却を意識した不動産の管理運営のポイントをご紹介します。
高値売却を意識する
不動産投資において、不動産の取得、管理運営、そして売却というのがというのが一連の流れになります。
管理運営は、利益を最大化するための手段と捉えることができます。
そのため、どのように管理をしていけば不動産が高く売れるのか、もしくはどうすればコストをかけずに売りやすい不動産にできるのかという視点は大切です。
不動産の運用における利益は、
となりますので、これをトータルで考えなければ、利益を最大化することはできません。
不動産の取得、管理運営もすべてその目的に沿って行っていく必要があります。
管理に関しても、売却を意識して行うのと意識せずに行うのとでは、その結果に大きな差が出ることになります。
高値売却のための管理運営
不動産の売却は、大きく分けて、次の2パターンあります。
- 物件のまま売却
- 更地にして売却
これらは、物件の価格が決まる基準によって異なります。
価格が決まる基準になるのは、物件の収益性(利回り)あるいは資産価値(土地値)の2つで、いずれかの高いほうとなります。
どちらの基準で価格が決まっているかによって、売却は異なります。
収益性で決まっている物件に関しては、アパートのまま売るほうが高く売れます。
一方、資産価値(土地値)によって価格が決まっている物件はできるだけ更地に近い状態で売ることで高く売れます。
つまり、自分の物件の価格がどちらの基準で決まっているのかを理解しなければ、最適な売り方もわからないということです。
アパートのまま売却する場合は、入居率を高くすること、賃料を上げることが求められます。
入居率の悪い収益物件は売却しにくいですし、売れたとしても安くなってしまいがちです。
もちろん一番良いのは満室の状態です。
満室の状態であれば多少利回りが低くてもいいかなと思ってしまうのが人間心理です。
また、収益物件として売却するのであれば、売却価格の根拠は入居している賃料収入になりますので、賃料を高く入居させることが大切です。
逆に資産価値の物件は、取り壊しのためには入居者がいないほうがいいのですから、新規の入居者を入れないだけではなく、既存の入居者にもトラブルなく出ていってもらう必要があるのです。
広告費を上げて、高く賃貸募集する
新規の賃貸募集では広告費を余分に払ってでも、高い賃料で募集します。
例えば、10万円の広告費で賃料が1万円高くなれば、売却時に120万円高く売れることになるからです。
そうなれば短期的に広告費を多く払ったとしても、中長期的には費用対効果があるといます。
修繕して賃料を上げて売る
物件の修繕をする場合、戦略的に修繕を行う必要があります。
あくまでも高く売却するためにはどのような修繕を行えばよいかという視点で考えます。
コスト意識を持って利益を最大化するための修繕工事をピンポイントで行うことが重要です。
ではどの程度コストをかけても良いのかを見ていきます。
例えば、通常50万円で行う原状回復工事を、100万円かけてより丁寧に行うことで賃料が1万円上がるとします。
この物件が利回り8%で売却できるとすると、
となり、150万円高く売却することができます。
そして、そのために要したコストは、通常より余計にかけた50万円ですから、差し引き100万円のプラスとなります。
これは物件を高く売るための基本的な方法であり、投資するべきかどうかの判断基準となります。
また、少額の工事であれば修繕費として計上でき、即時償却できるため、節税の面でもメリットが出てきます。
逆に、室内のリフォームは多少コストをかけても良いものにして賃料を上げる、もしくは賃料が下がらないようにすることで、全体の利回りをアップして売却価格を上げることができます。
この場合は、かけたコストと賃料の上げ幅から逆算される売却価格の上乗せ分を比較して、その上乗せ分が大きければリフォームを行うという判断ができることになります。
まとめ
- 不動産の運用は売却によって最終的な利益が確定するので、この利益を最大化させるために、ポイントを押さえた管理運営をしていくことが必要。
- 物件のまま売却か更地にして売却するかは、その不動産価値の収益性基準か資産基準のどちらか高い方を見極める。
- 物件を高く売却するポイントとして、
①入居率を上げる
②賃料を上げる(下がらないようにする)
の2点があり、管理運営を戦略的に行っていく必要があります。 - 具体策としては、広告費を多く払って高い賃料での契約をすること、また効果的な修繕を行うことがある。