居住用マンションにメンズエステが開業?実は意外とメリットが…?

メンズエステ店と言っても、ここで言うのはいわゆるTBC等のフェイシャルエステ、脱毛エステといったものではありません。

最近増加している業態のようですが、ホームページを見ると胸の谷間や太ももを強調したセラピストさんたちの写真がずらりと並び、ちょっとセクシーな衣装で男性にマッサージをしてくれるお店のことです。

こういったメンズエステ店が、最近では居住用マンション等の一室を借りて営業していることがあります。ここでは、メンズエステ店がどういうものなのか、オーナーにとってメンズエステ店を入居させるとどんなメリット・デメリットがあるのかをお話しします。

 

メンズエステ入居マンションであることに気付いたきっかけ

筆者は最近転居したのですがマンションのエントランス部分で夜遅い帰宅時にたまに見る光景がありました。
あまり高い頻度ではありませんが、毎回違う人が呼び出し番号を押して、特段中からの応答もなくエントランスのロックが開き、中に入っていくのです。

普通であれば訪問者が「宅配便です」等と名乗って、応答の声があってロックが開くはずなのにおかしいなと思っていたので、ネットで調べてみたところどうも私の住んでいるマンションのいくつかの部屋にはメンズエステ店なるものが入っているようです。

入居する前に良く調べれば良かったとも言えますが、私は単身ですし急な転居なのもあってそこまで調べず、立地条件と建物スペックが気に入ってすぐに入居を決めたのでした。

転居して数ヶ月が過ぎ、相変わらずたまにエントランスでは同じ光景が見られます。

そういうところに入ったこともないですし、何をしているのか分からないのも何だかすっきりしないので、調査費用だと思って実際に自分の住んでいるマンションにあるのとは別のメンズエステ店を調べ(顔バレは嫌ですからね)、お客さんになってみることにしました。

(※ここからは不動産投資とは関係のない話になりますので、オーナーの方は下の見出し『オーナーから見たメンズエステ店を入居させるメリット・デメリット』に移動してください。)

 

良く分からないので実際にメンズエステ店に行ってみた

まずは予約の電話をかけます。相手先は携帯電話番号でした。男性が出て、
「予約のお時間が近くなりましたら、○○の前からお電話ください。よろしくお願いします」
と場所を指定されます。

各店舗のホームページでは、店の場所を明らかにしている店もあれば今回のように店周辺のコンビニエンスストアや銀行等といった場所から改めて客に電話させ、電話で道案内するという店もあるようです。

さて、予約日です。
指定の場所から電話をすると、「そこから右を見ていただくと、1階に○○というお店が入っているマンションがあるかと思います。そちらの○○○号室です。」と案内されます。

エントランスで部屋番号を押して呼び出すと、応答の声もなくオートロックが開きます。

私がたまに自宅マンションのエントランスで見ていたのと同じ光景です(笑)。

部屋のインターフォンを押すと、胸の谷間を強調したワンピースを着た若い女性セラピストさんが迎えてくれました。

内部はワンルームマンション、本当に何の変哲もない、シャワー室とトイレ、客からは見えないようにしていましたが恐らくミニキッチンがあるスペース、それと居室(ココでは「施術室」になります)だけのワンルームマンションです。

居室は一人掛けのスツール、横には小さなテーブル、部屋の真ん中にバスタオルを敷き詰めたマットレス、何故か大きな鏡がその横に立てかけられています。

セラピストさんがお茶を出してくれて、コースの確認をされて料金を支払います。
120分22,000円也。てもみんとかの数倍ですね(笑)。

「全部服を脱いでバスタオルを巻いてください。準備が終わったら声をかけてくださいね」
と言われてセラピストさんいったん退出。腰タオル一丁という情けない姿になって声をかけると、シャワールームに誘導されます。

「シャワーを浴びて紙ショーツを履いてください」と言われて一人でシャワーを浴びます。その間にセラピストさんはオイル等の準備をしているようです。

紙ショーツは小さいビニール袋に真空パック状態で丸められて入っていたのですが、開けてみてびっくり、生まれて初めて履くTバックでした。

Tバックを履いた自分の姿を洗面台の鏡で見てあまりにも恥ずかしくなり、またタオルを厳重に腰に巻いて声かけ。

セラピストさんに連れられて「施術室」に戻ります。

「まずうつぶせから始めますね~」と言われ、マットレスにうつぶせになるとあっさりと腰のタオルを取られてTバックのみの情けない姿が横の鏡に…。

すぐに背中全体に大きなタオルをかけられて指圧が始まります。尚、セラピストさんは思い切り私の腰にまたがって乗っかり状態です。

あー、Tバック一丁なんていう姿はさすがにね、と思ったのもつかの間、軽い指圧が終わるとタオルを剥がれてまたTバック一丁の姿をさらすことに…。

「オイルマッサージしますね」と、傍らのオイルボトル(尚、オイルウォーマーで温められていましたので、気持ちは非常に良いものでした)からオイルを取って、背中、足と全面に広げられます。

股間の部分のマッサージも基本的に「触ってはいけないギリギリの所」まで手が伸びてきます。

その後仰向けにされ、今度は胸、腹、足の全面、及び「触ってはいけない部分ギリギリ」まで、オイルマッサージを受けます。

なるほど、これはギリギリセーフ程度だろうなあとぼんやり考えていたところで「お時間です。お疲れさまでした」の声。またシャワーを浴び、着替えて「次回10分延長無料券」なるものをもらって玄関口でさようならです。

正直言って気持ちは良かったですが、何とも言えないモヤモヤが残ると言えばいいのでしょうか。男性にとってはいわゆる「生殺し」の状態である上に、あの紙ショーツは恥ずかしいなあと思うような経験でした。この辺はその方々の趣味趣向にもよるのでしょうが。

尚、一般エステのような脱毛エステ等のセールスはありませんでしたし、そのようなメニューもないそうです(笑)。

 

見た範囲でのメンズエステ店での内装・備品等

メンズエステ店の内装、備品は本当にシンプルです。この辺は店によっても違うのでしょうが、セラピストさんとの施術中との会話で聞いたところだと、あまり大きな違いはないそうです。

内装はキッチン部分の目隠しのためカーテンがかかっている程度でした。
備品は大きく分けてある程度長い間使うものと消耗品とに分けると以下のとおりです。

① ある程度長い間使うもの

  • セミダブル程度のマットレス
  • 大きな鏡
    これは施術中のセラピストさんとの会話の時顔を合わせるためだけではなく、いわゆるセクシーショットを楽しむためのもののようです。
  • オイルウォーマー
  • バスタオルや備品等を入れておくためのメタルラック
    カラーボックスの所もあるようです
  • ヒーリングミュージックを流すための音楽プレイヤー
  • 電子レンジ等
    オイルふき取りのために蒸しタオルを作るためのようです。レンジの回転音が聞こえていました。
  • お客さんを座らせるスツール、テーブル
    お茶が乗る程度の小さなもので良い
  • 洗濯機
    バスタオルやフェイスタオルの洗濯用
  • 電話
    携帯電話の所も固定電話の所もあるようです
  • インターネットホームページ

 

② 消耗品

  • バスタオル
  • フェイスタオル
    これらは大量に必要のようで、メタルラックに山積み状態でした。
  • オイル
  • ボディソープ

観察してきた範囲ではこんなところでしょう。おおよその見立てですが、集客のためのホームページ作成・運営費用は門外漢なので良く分かりませんが、その他の部分を見ると1部屋当たり10~15万円程度あれば十分メンズエステ店に必要な備品は揃えられると思われます。

 

メンズエステ店の給与体系等

こういった店の運営で一番大事なのは、備品等よりも「どうやって良質なセラピストさんを集めるか」でしょう。今回施術してもらったセラピストさんに直接聞くわけにもいかないので、こればかりは「メンズエステ 求人」等で検索して求人情報を調べました。

「料金の50%~65%バック、指名料は全額バック」をうたっている店が多いようで、恐らくセラピストさんは個人事業主扱い、完全出来高制での収入でしょう。

 

メンズエステ店は違法業種なの?

メンズエステ店はいわゆる風営法の適用業種ではありません。

あくまで「リラクゼーション・マッサージ店」の建前で営業していますから、そもそも風営法の適用の必要自体がないという理屈です。

しかし、風営法第2条6項2号には、「個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業」は、店舗型性風俗特殊営業にあたると記載されています。
この条文の文言のうち「性的好奇心に応じて」の解釈になりますが、こればかりは法律の専門家でも裁判官でもないので断言できないため、明言は避けさせていただきます。

個人的には風俗店で働く女性もメンズエステ店で働く女性もキャバクラ等で働く女性も、お金をもらっていわゆる「イヤなこと」を我慢して笑顔で接客していると思っていますし、規制を厳格に適用してその業種がなくなって困るのは実は男性ではなく、働かざるを得ない女性であると思っていますが、一般的には限りなくアウトに近いグレーと思わざるを得ません。

しかし、メンズエステ店は風営法の適用対象外になっている、少なくとも平成30年5月現在では適用を受けていません。警察等による指導が入った等のうわさはネット掲示板に散見されますが、真偽は分かりませんし何の法律を根拠に取り締まりしているのかも良く分かりません。

 

メンズエステ店の特質

以上を考えると、メンズエステ店は厳しい出店地域の制限があるデリヘル等の風俗店とは異なり、極論を言ってしまえば「働く女性が集まり、集客さえできればどこででも開業できる」業態と言えます。

繁華街の雑居ビルで「リラクゼーション・メンズエステ」等の看板を出して堂々と営業している店もあれば、ワンルームマンションをいくつか借りて営業している店、ファミリータイプマンションを借りてリビング部分を受付にして各居室を施術部屋にしている店まであり、シャワーと部屋さえあればほぼあらゆる不動産のタイプで営業可能な業態です。

このため不動産投資家、特にマンション投資をしておられるオーナーが今後は十分注意しておかなければいけない事項として考えた方が良いものと思われます。

 

オーナーから見たメンズエステ店を入居させるメリット・デメリット

さて、メンズエステ店についての話が長くなり過ぎましたので、マンションオーナーから見たメリット、デメリットについて見てみましょう。

マンションの一室をメンズエステ店に貸すメリットとして、相場よりも高い賃料や一時金を取ることができるというケースがあります。

これは、メンズエステ店開業可能物件として賃貸に出されているデータを調べたのですが、同じマンション・同じ間取りの他の部屋を住戸として貸す場合と、メンズエステ店に対して貸す場合とでは、概ね3割以上、場合によっては2倍の賃料での募集をしているケースもあります。

住宅仕様のマンションの一室を事務所として貸す場合も同じように高めの賃料設定になっているケースが多いですが、それよりも高い割合が取れるケースが多いでしょう。

また、敷金も多めに取れるでしょう。敷金は月賃料の1か月分、礼金はなしの契約条件がメインの地域であっても、メンズエステ開業可物件としてマンションを貸す場合、敷金4か月、別途礼金2~3か月分等という条件はざらのようです

これらは、いわゆる「本来は住宅だけど、メンズエステ店の開業を認めてあげた」ことに対するお礼部分も含むものだとは推定されますが、いずれにせよ単純な住宅より高い賃料を取ることはできるでしょう。

メンズエステ店を入居させることのデメリットとしては以下のようなものが考えられます。

 

メンズエステ店をマンションに入居させる3つのデメリット

 いつ警察の指導や検挙があるか分からないケースもある

風営法違反と判定されるようなことが行われていた場合ですね。私が行ってみたケースですと、部屋にはセラピストさん一人で他に人がいませんでした。

つまり、店長等の店舗運営スタッフがそばにいないので、セラピストさんの裁量による部分も大きく、施術中の監督がほぼできないものと見られます。店長がこっそり直接的な性的サービスをするよう強要するケースもあるでしょう。このような店舗が入居した場合はいつ警察の検挙に合うかわかりません。そうなると、高い賃料を取れていたとしても次の日から連絡がつかなくなるというケースも考えられます。

 

不特定多数の男性が出入りするので、他の入居者が敬遠する物件になりかねない

メンズエステは風営法の適用を受けていませんので、店舗によっては朝5時まで営業しているケースもあります。深夜等に不特定多数の男性が出入りしていることを他の住戸の住人が気味悪がって出ていってしまうというケースもあるでしょう。

しかし、これはファミリータイプメインでお子さんのいる世帯向け物件であれば深刻と思われますが、ワンルームタイプメインの物件であれば隣人や同じマンションの住人に無関心な人が都心では多いですからあまり大きな影響はないかもしれません。

私の住んでいるマンションは1DKの単身~夫婦向けの住戸とファミリータイプ混在物件ですが、ファミリータイプでお子さんのいる部屋の方は気味悪がっているようです。

逆に単身者は全く興味なさそうでした(笑)。しかし、例えば深夜帯のお客さんで、案内の電話で部屋番号を聞き間違い、隣の部屋のインターフォンを鳴らしてしまったようなときはトラブルになるだろうなあと思いましたが…。

 

メンズエステ店が出ていった後、入居者が付かない可能性もある

メンズエステ店はオイル施術がメインのようですから、結構床にべとつきがあります。
もしメンズエステ店を入居させるとすれば、原状回復については十分注意して契約書を作っておく必要があるでしょう。
また、メンズエステ店と風俗店を全く同じものとして考える人もいるようですから、その部屋で以前メンズエステ店が営業されていたとすると、入居者から敬遠されてしまう部屋になる可能性もあります。
これはどの程度の確率でそうなるかは分かりませんが、リスクとして認識しておく必要はあるでしょう。

尚、不動産オーナーにとってメンズエステ店関連で最も怖いリスクは恐らく以上の点ではないでしょう。
最も怖いのは「知らないうちにマンションの一室でメンズエステ店を開業されていた」ことだと思われます。
看板を出していない、マンションタイプで店の所在地もホームページ上明らかにしていないタイプの店では、客になるまでそこでメンズエステ店が営業していることは分かりません。
メンズエステ店開業可能物件として、オーナーにとってのリスクを踏まえて納得の上で貸しているのなら投資判断として十分考えた結果であって適切な対価も受けられるということになりますが、知らないうちに営業されてしまうと割高な賃料も取れず、不特定多数の男性が深夜帯にも出入りしているので他の住人からも嫌がられる物件になってしまうといった可能性も否定できません。

住戸内には居住権があってオーナーといえども貸している住戸内に自由に入ることはできません。
そのため、メンズエステ店の開業を認めないのであれば契約書に「店舗として等、居住目的以外に使用してはならない」等といった条項をはっきり明記して、違反の場合は即時解約する等ということを徹底する必要があるでしょう。
ただし、即時契約解除は賃貸借契約の場合かなり難しいです。
「不特定多数が出入りする店舗として等」といった文言では、「会員制ですので不特定多数ではありません」と言われる可能性があります。
私が行ったところではホームページに入会金1,000円と書かれていましたが、そんなお金取られませんでしたけれど。年中やっている入会金無料キャンペーン、だそうです(笑)。

そのため、当該条文には解釈の余地や曖昧な部分をなくし「いかなる業種であっても」等の文言を入れる等、注意する必要はありますが…。

いずれにせよ、利回りアップを取るか、物件の品等や安全性を取るかは投資判断にかかる事項です。
しかし、「オーナーの知らないうちに開業されていた」ということだけは絶対に避けなければいけませんので、今後投資リスクとして十分注意しておく事項ではあると思われます。

 

居住用マンションにメンズエステが開業?実は意外とメリットが…?

  • メンズエステ店は女性が揃い、集客さえできればほぼ「どこででもできる」業態
  • マンションの一室で営業しているタイプの店の場合、住民とのトラブルが心配
  • メンズエステ開業可物件としてマンションの一室を賃貸に出せば、住宅よりも割高な賃料、高い一時金が取れるケースが多い
  • 知らないうちに保有物件内でメンズエステが開業されていたという事態だけは避けるべき