【不動産投資】築古戸建ての投資事例(購入、リフォーム、客付け、入居後)

今回の寄稿においては、築古戸建て投資について、筆者の実例をご紹介したいと思います。

筆者は8軒の築古戸建てに投資、管理しており、、購入時、リフォーム時、客付け時、入居後、それぞれの場面で、次々とトラブルが発生しました。

戸建て投資は、かなり手のかかる不動産投資であり、事例共有することで、どのようなリスクがあるかをご共有できたらと存じます。

トラブル1:購入編 ~怒り出した不動産業者

埼玉と東京都下で築古戸建てを4軒立て続けに現金購入し、手元現金が薄くなり始めた私は、初めてローンでの購入を検討していました。

当時は政策金融公庫でのローンを考えており、大宮支店の担当者にアプローチしたところ、築20年ぐらいで違法建築でない物件である必要がある、という条件だったので、埼玉の賃貸需要が高い地域で、条件に合う1000万ぐらいの物件を探していました。

なかなか、条件に合う物件が出なかったのですが、JR武蔵野線の某駅から徒歩20分弱の地域にちょうど1080万、築20年の物件が出たので内覧しに行くと、室内は汚れていて少々臭いがしたものの、大きな問題はなく、南道路で道路の反対側が駐車場になっていて眺望は抜群、開放感のある立地環境でした。賃貸情報サイトなどで家賃を調べても、似たようなスペックの広さの物件がなかったものの、同様の条件で1部屋分狭い物件は、9万円台前半で掲載されていて、9万円台後半は手堅いと見て、リフォーム入れても利回りが10%ぐらいと推測し、購入を決断しました。

ただし、購入段階で、気になっていたことも幾つかありました。

それは、物件が10軒の共有私道の奥にあること、下水が浄化槽であること、不動産屋の担当者がイライラしていたこと、です。

この物件は、任意売却物件で、住宅ローンが支払えなくなったため、ローン会社が不動産屋に売却を依頼したという形式で、そのために相場より安かったのですが、担当者がイライラしているのも色々手続きが面倒なんだろう、ぐらいに甘く考えていました。

各種の協議を進めどうにか決済にたどり着いた当日…。

決済日のオペレーションは若干面倒でした。

決済引渡しの際、政策金融公庫指定の金融機関で手形を受け取る必要があり、それをさらに現金化するのと、頭金の残金を振り込むので、3件の金融機関を回る必要がありました。

この事実を不動産業者担当者が理解すると、あからさまにブツブツと文句を言い始め、

「公庫など利用しなければ通常こんなに決済に時間がかかることはないのですが、しかも今回は購入者様の口座も別銀行で。」

などとハッキリと購入者の私に問題があると言うような発言をしました。

こちらは仮にもカネを支払う側、しかも手数料を貰う不動産屋からすれば客のはず、この理不尽な物言いには怒りを覚えましたが、その場はグッとこらえ、後で不動産屋に電話して上司に苦情は残しました。

ただこの事例は一つの重要な事実を教訓として残してくれました。

それは戸建て投資は、「金額が小さく、不動産業者にとっては“おいしくない取引”」という点です。
金額規模が小さいため、もらえる仲介手数料も少ないです。それなのに通常と同じ、もしくはそれ以上の煩雑な取引となると担当者は“面倒”と感じるのです。

不動産業者の担当者の気持ちを理解できたトラブルでした。

トラブル2:リフォーム編~憎し天窓

 

(某購入物件)

購入後、すぐにリフォームに取り掛かりました。

この物件は、私がそれまでに購入した物件と比べると、多少新しく、設備の大きな破損もなかったので、いつも頼んでいた大工さんに頼まず、自分でスケジュールを組んで、各業者に発注してやってみようと思いました。

そこで、まず取り掛かったのが、トイレ2か所とキッチンの換気扇、ガスコンロなどの設備交換です。これは、ネットで探した近くの業者にすべて込みで30万でやってもらい、滑り出しは順調でした。

その後、クロスとクッションフロアの張替えをやることにし、これは色々考えた末、便利屋さんに依頼しました。おそらく、長年浄化槽の清掃をやっていなかったせいか、下水の臭いが室内の汚れなどに染み付いてしまっていて、業者さんを苦戦させるというトラブルはありましたが、これもほぼ予定通り90万ぐらいでの出費で一か月ほどで終わり、あとは、天窓のひび割れを直すのみとなりました。

しかし、天窓が最大の難点でした。いくつかの窓屋さんに聞いたのですが、天窓の交換は屋根側から行うことになるため、屋根の真ん中でなければ足場が必要、とのこと。この物件のひび割れを起こしている天窓は屋根の端にあり、しかも家は隣と密着して梯子さえかけられない状態でした。これでは、どんな窓屋さんでも足場を組まないとできないでしょう。しかし、足場を組むとなると、また専門の足場屋さんに頼まなくてはならず、人工代がかかるのが基本。それだけで数十万は下らないとの見積もりがほとんどでした。また、恥を忍んでリフォーム時に呼ばなかった大工さんにも窓屋さんの紹介をお願いしましたが、足場は不要だが既製品がないので交換できないとの返答。他の窓屋さんにモノだけを作ってもらって、その職人さんに交換してもらってもいいかと思いましたが、最初のリフォームを手掛けてもらっていないため、そこまでの無理は頼めませんでした。実際、渋い顔をしてましたし。

天窓にひびが入っているというだけで、これだけ余計に出費がかさむとは、と頭を抱えました。いっそ塞いでただの天井にしてしまおうかとも考えましたが、それはそれで大工工事の手間がかかるし、せっかくの天窓があるなら生かしたいものです。あちこちの窓屋さんに電話しては電話口で断られるか、来て見てもらっても、あ~足場ないとダメだね、という状況が20件ぐらい続き、1か月ぐらいそんな感じでした。

キャッシュの残金が不安でしたが、ローンの返済が始まるとさらに資金繰りが厳しくなるので、思い切って足場を組んでやってもらうか、と諦めかけていたとき、川越から見に来てくれた窓屋さんが、ちょっと考えてみます、と言って返事を保留して帰って行きました。その窓屋さんは、アポイントを取ったときも夕方に明らかに酔っぱらっている感じで呂律の回らない状況で電話してくるわ、待ち合わせに1時間遅れて来るわ、で良いイメージが全くなかったので正直期待していませんでした。しかし、人は見かけによらぬものです。この非常識窓屋さんが、今まで他のどの業者さんも提案してくれなかった、驚きの解決策を提示して来ました。

それが、天窓の内側から新たな窓枠をはめ込んでしまったらどうか、という案でした。見積もりはなんと、4万円。これなら、明り取りとしての天窓の機能も生かせるし、万一ひびの入った窓が割れて落ちてきても大丈夫というのです。そして、外回りの塗装などをやるので足場を組むから屋根から交換できるという時には、取り外せばいいわけです。僕は、最初の客付けだけを凌げればいいと考えていたので、この案に飛びつきました。

施工後もチェックしましたが、直す前の窓を知らなければ二重窓とは全く分からないレベル。もう一つ別の部屋に天窓があるのでそれと比べられると厳しいですが、二重窓とバレたとしても、元の窓のひび割れは分かりませんから、安全性を高めるために二重窓にしたとでも説明すれば十分だろう、と感じました。

結果的に、足場を組んで交換した場合の5分の1以下の出費で済んだわけで、この窓屋さんとの出会いには本当に感謝しました。商売としては正解でないのでしょうが、お客さんのために時間をかけて知恵をしぼるという職人さんも探せばいらっしゃるのですね。しかも、そういう方が典型的な営業下手というのが、まさにドラマのような出会いでした。

トラブル3:客付け編~内見人気

リフォームで予想より手間取ったものの、天窓の修理が完了した時点でまだ、2月中旬でした。賃貸の客付けには絶好の繁忙期です。しかも、この物件は、埼玉県ではファミリーに最も人気があると言われる、浦和が冠された地域です。

武蔵野線沿線ですが、東京駅まで一本でアクセスも悪くないし、駐車場もあって南道路、しかも道路側は広い駐車場で眺望・日当たり抜群です。
気になる点と言えば、駅から20分と多少遠いことですが、駐車場があればそれほど客付けには影響しないだろう、と考えていました。

ただし、どこの最寄り駅の不動産屋さんに依頼するかは悩みました。結局、浦和駅と川口駅が最寄の不動産屋さんに依頼しました。浦和にしたのは、この物件は、やはり浦和が近いということが地域的には最大のポイントであり、実際に浦和駅から路線バスが出ていて、バス15分、バス停は徒歩1分ぐらいの好立地でした。

ですから、浦和で物件を探している入居者も流れてくるだろう、と考えたのです。川口は、東川口が近かったのと、他物件で依頼したことがあったので、馴染みの不動産屋にもお願いしておこう、と思っただけです。

現在は、特に賃貸はネットで探してくる入居者がほとんどであると言われていますが、埼玉ですと、元々地元に住んでいて、地元で住み替えるために部屋探しをするという入居者も一定数いるので、実はどこの地域の不動産屋に依頼するかというのは、それなりに客付けに影響します。結果的には、この物件については駅を選んで客付けの不動産屋を探していったのは正解でした。

入居付けを依頼すると、ホームズやスーモなどのネットの賃貸募集サイトに掲載されます。
私が、賃貸募集サイトに掲載されたのを確認してから1週間も経たないうちに、浦和の不動産屋から9万5千円で入居申し込みが入りました、との連絡がありました。当初の募集依頼は9万7千円でしたが、5千円の交渉幅を事前にお伝えしておいたのです。最近は、入居者もネットなどで見て来るのか、家賃交渉をしてくることが結構多いのです。ただし、本当に賃貸需要が高い地域であれば、交渉に応じなくても決まります。

正直、賃貸では2千円の値下げでも小さくないのですが、この時点でローンの返済開始まで一か月を切っていたので、背に腹は代えられないと交渉に応じました。

これで一安心だと思っていると、トラブル発生です。

数日後に急にキャンセルになりました、との電話が入ったのです。

理由を聞いてみると、もう一度物件の環境を見てみたいということで、別日程で一人で現地を訪れた入居者の奥さんが、隣りの奥さんと話して何か気に障ったらしく、あのご近所さんとは付き合えない、ということになったらしいのです。

私は、仕方ないですね、とがっかりして電話を切りましたが、同時に、これはまずいな、と思い始めました。一戸建ての場合、ファミリーをターゲットとするので、家にいることが多い奥さんの意見が物を言うことが多く、しかも隣りに付き合いにくい奥さんがいるとなると、今後も入居付けが良くない可能性が高いからです。

悪い予感は的中、その後も内覧は3日に一回ぐらい入るものの、なかなか申込みまでは至らず、あっという間に半月が経過してしまいました。また、浦和の不動産屋からはその後全く連絡はありませんでした。おそらく、ご近所に問題アリ物件、というレッテルを貼られてしまったのでしょうね。

ここで諦めていては戸建て投資はできません。

そこで、私はさらに別の不動産屋にも依頼することにして、今度は乗換駅をターゲットにしようと考え、武蔵野線と京浜東北線の乗換駅周辺で2件の客付け業者を探し出し、入居付けを追加依頼しました。

そこのうちの1件で聞いた話では、某駅では、地元で探しているお客が決まることが多く、うちではそういうお客さんを結構決めていると言うことでした。

そう言えば、内覧したお客さんの中に、ご近所さんとたまたま知り合いだったので、申し込むのは止めます、と言う方がいたのです。

えらい偶然もあるものだと思っていましたが、そういうことだったのか、と納得するとともに、地元での需要が多いと言うことは、全体的な賃貸需要が高くないということであり、次はどうしても決めないといよいよ繁忙期を逃してしまうかも、と暗澹たる気持ちになりました。

それから一週間後、入居申込時にさらに3千円の家賃交渉をしてきた中国人一家の要求をのみ、9万2千円で手を打つことにして、無事、ローン返済の数日前に契約金が入金されました。

ちなみに、当時のキャッシュフローは家賃30万で、貯金は100万を切っており、6万8千円のローン返済が始まったらかなりカツカツな状況でした。

申込はキャンセルも多いし、ドキドキしましたが、このようなトラブル対応も慣れることができました。

トラブル4:物件管理編~入居後のご近所問題発生

入居後、しばらくは何事もありませんでした。しかし、一年程経過した頃、入居者から、「今度の土曜日に、私道に穴が空いている件で話し合いがあるので参加します、参加したらご報告します」、との電話連絡がありました。

たどたどしい日本語の説明をよく聞いてみると、どうやら私道に空いた穴を埋める工事を私道の共有者全員で負担して行うので、どうするか、という話し合い、との事でした。

もし本当に私道の穴を埋める工事をして、共有者全員で費用負担するなら、オーナーが話し合いに参加しなければ話になりません。しかし、指定された話し合いの日には既に予定が入っていました。とりあえず、入居者に班長さんの電話番号を聞いてくれるように頼んで、その場は電話を切りました。

こういう時、入居者が外国人だと不安なものです。ご近所の電話番号は一切聞いていませんでしたが、とりあえず住所地図で名前を調べ、近所の片っ端からネットで番号を検索してみました。そうすると、お隣が土建屋で電話番号を公開していることが判明。早速、電話をかけてみました。

「隣りの貸家の○○のオーナーなんですが、この度、私道の穴を直す話し合いがあるそうですが、何か事情をご存知であればお聞きしたいと思いまして・・・」

と、かなりへりくだって挨拶したのに、のっけから、

「そうそう。今度の土曜の夜にやります。穴が危ないので埋めなきゃいけないってことなんだけど、その費用負担しないなら、通るなって話ですよね。それから、話し合いに来ないなら班長の私に全権委任で、文句を言うなってことね。」

と、けんか腰の口調で畳みかけて来ました。私は、ははあーん、これか、と即座に入居付けの時に入居候補者の奥さんが、ご近所が嫌と言ってキャンセルになった件を思い出しました。
おそらく、この人がご近所問題の元凶だったのでしょう。しかし、最初はとりあえず強面に出て、交渉を有利に進めようとする人は、中小企業の経営者などによく見られる傾向で、むしろ弱気な内心を悟られまいとしているケースが多いものです。

とりあえず、その場は話し合いには参加できない旨を伝えて、直す費用は負担するから、話し合いの結果と費用の見積もりが分かった段階で知らせてくれ、と頼んでおきました。

すると、日曜の朝に電話がかかって来て、話し合いの経過を丁寧に説明してくれました。

その人の話によると、穴は直すことになって、工事費用の負担と工事業者の選定については、行政から補助金がもらえるか、業者は土建屋である自分がやるか、他社に相見積もりを取るか、色々と検討したが、結局、行政もすぐには動いてもらえないし、相見積もりを取ったとしても、私道の所有者の一人が自分の土地ということで責任を持ってする工事には結局及ばないだろう、という結論になった、とのこと。

それで、見積もりはどれぐらいなのですか、と聞くと、穴を埋める作業の他にU字溝を直す工事があって、それが高くなり、全部で100万だと言う話でした。

高いな、と思いましたが、10人で分割すれば10万ですから、それほどでもありません。見積もりを送ってもらうということで、その場は納得して電話を切りました。

その後、見積書に基づいてアスファルトの穴埋め工事、U字溝の工事の相場を調べましたが、ほぼ相場通りでした。ただ、現場を見に行った感じでは、U字溝まで直すべきか微妙でしたが。

その辺りは、他の共有者が納得しているのに一人だけ反対して、ご近所付き合いを悪くしても良いことはないので、良好な関係を保つための交際費的な支出と考えるしかないのでしょう。でも、土建屋が班長になった途端、穴埋め工事をやることになるというのは、やっぱりおかしいと言えばおかしいですよね。

まとめ

本稿では、私の築古戸建て投資の中で、最もトラブルが多い事例を紹介しました。

任意売却物件であっても、相場より極端に安い場合は、売りにくい理由があると思った方がいいと思います。特に埼玉の賃貸需要は、地域によっては地元の需要が大半を占めているところもあり、そのような地域に投資する際は注意すべきでしょう。

私の場合、購入前に地元の不動産屋や近隣に聞き込み調査することを怠ったので、賃貸需要を見誤ってしまったのですが、事前調査をきっちりやっていれば、投資は思い止まっていたのではないか、と思います。

購入してしまった場合は、ご近所付き合いは、入居付けや再売却の際などに影響してくるので、良好な関係を築いていくために、多少の出費はやむを得ないと目を瞑る必要もあると思います。

【関連記事】

[ad#co-1]