【不動産投資】築古戸建て投資のデメリットの克服~融資・リフォーム・客付け

築古戸建て投資は、数百万単位の低額から投資可能なため、初心者が参入し易い不動産投資ですが、デメリットもあります。

その代表的なものが、築古のため融資が付きにくいこと、区分マンションなどに比べリフォームに費用がかかること、一室単位のため客付けを依頼しにくいこと、です。

本稿では、これらのハードルをいかに乗り越えればいいのか、経験に基づいてご紹介します。

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築古戸建て投資のデメリット

築古戸建て投資では、建物の価値がほぼ無くなった築古の戸建てを安く購入し、リフォームによって付加価値を付けて賃貸に出すという手法を採ります。

建物は耐用年数を超えているため、通常の金融機関では評価が出ず、融資が下りることは稀です。

しかし、不動産投資は、基本的には融資を使ってレバレッジが効かせて拡大していくことが前提の投資ですから、その最初の部分を封じられるとメリットが大きく損なわれることになります。

また、戸建ては区分マンションに比べて部屋数が多く、また単純に広いため、リフォームに費用がかかることが多いというデメリットがあります。

そして、客付けにおいても、基本的には一戸建てを一入居者に貸すというスタイルになるため、一棟マンションなどに比べて管理会社などに頼むことができず、オーナー自らが動く必要があります。

このようなデメリットをいかに工夫して乗り越えていくか、そしてその工夫を今後の不動産投資に生かしていけるか、が投資効率を上げるためには重要になると言えます。

築古戸建て投資の融資活用

築古戸建て投資で融資付けをするには、建物の価値が無いか、限りなく低い以上、土地の価値を評価してくれる金融機関を探すしかありません。

首都圏の比較的広範囲で土地価値を担保評価してくれる汎用性の高い金融機関は、三井住友トラストローン&ファイナンス(以下、トラスト)です。

利率は4.3%と高いですが、基本的には30年の期間が取れることを考えれば、返済負担はそれほどでもありません。

ただし、賃貸需要の高い地域は路線価と市場価格との乖離が大きいことが多く、共同担保なしに満額を借りるのは難しいでしょう。路線価も高く、賃貸需要もそれなりにある地域の物件をうまく見付ければ、満額融資が可能かも知れません。これは、今後の私の課題になっています。

また、築古なのに30年の返済で大丈夫かと首を傾げる方もいらっしゃると思いますが、戸建て投資の場合、建物が使えなくなったら土地として売却すればいいのです。この時の売却価格が、購入時の価格以上であれば、賃貸に出していた期間の返済額控除後の家賃分は手元に残っているわけですから(ただし、購入時、売却時の諸費用、修繕費用を除く)、不動産投資としては十分成功と言えるでしょう。

それに、トラストの場合は途中解約を考慮したローン契約になっていますので、違約金さえ支払えば、すんなりと解約に応じてくれます。

途中解約の可否の面で利用価値は落ちますが、地域性の高い信用金庫にも、築古戸建てに融資する金融機関はあるようです。私がアプローチして確認した限りでは、東京信用金庫と興産信用金庫は、築古であっても、賃貸料が返済額に見合えば融資可能との回答を得ています。

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築古戸建てのリフォームのポイント

築古戸建て投資の最大の障壁がリフォームです。

インターネットに情報が氾濫している時代とは言え、リフォームはケースによって様々ですし、入居付けがうまく行くかどうかはここにかかっているので、最も気を遣うところです。

築古戸建ての場合、室内の至るところが生活汚れだらけというのは当たり前ですし、キッチンや給湯設備が壊れていたりすることもしばしば、場合によっては、雨漏りがあったり、床が腐って抜け落ちていたり、柱がシロアリに食われて腐食していたり、などということもあります。

リフォームのポイントは、まず、入居付けできるレベルのリフォームすべき点を明確にすること、次に、リフォームを行う手順に従って業者に発注すること、です。

リフォームすべき点を明確にする判断は、意外に難しいケースもあります。

雨漏りや床の穴、設備の故障は直さなければいけないのは当たり前ですが、生活汚れが柱などに染み付いていたり、建具が微妙に傷ついたり壊れていたりする場合、などどこまで直すべきだろうかと悩むケースもあります。

また、木部に塗装をするのかしないのか、する場合はどのような色にするか、というのも室内の印象を大きく左右する点です。

このような点は、ケースによって様々なので、最初は経験豊富なプロに相談するのが近道です。見積もり依頼と称してリフォーム業者に現場に来てもらい、どこをどのように直せば見栄えがよくなるか、あるいは住みやすくなるか、聞いてしまうのが一番です。

業者も、直す箇所が分からなければ見積もりができないので、相談に乗ってくれる場合がほとんどです。見積もりが出てきて高かったら、実際の工事は頼まなければいいだけの話なので、聞ける情報はなるべく業者から引き出すのが良いと思います。

次に、リフォームを行う手順ですが、やってはいけないのは、リフォーム総合業者に一括発注することです。

上記のように、見積もり依頼はリフォーム業者にお願いして相談を受けたとしても、実際の発注は、床や雨漏りの補修は工務店、建具は建具屋、キッチンは水回りの設備業者、クロスやクッションフロアの張替えは内装業者、という感じで専門業者に分割発注するのが基本です。

リフォーム業界は、営業してきた業者が下請けの専門業者に見積もり依頼をして、それに手数料を上乗せする仕組みになっており、下手すると、下請けがさらに孫請けに頼んで、二重に手数料が上乗せされるなどというケースもあります。

このようなマージンは最も無駄な出費なので、これを避けるために、各専門業者に分割発注します。工事の順番は、工務店→設備→塗装→内装→建具というのが基本でしょうか。大工系の工務店が最初というのは、基本を修繕しないとそこに塗装や取り付けができないので当然ですが、内装の後に設備や塗装をしてはいけないのは見落としがちです。

これは、設備の搬入の際に内装に傷が付いたり、あるいは塗装が内装にかかったりするのを避けるためです。もちろん、マスキングや保護処理などをすることはできますが、その分手間がかかるので、費用がかさむことになります。
リフォームは、工夫が必要な反面、工夫次第では大幅な出費削減が可能ですし、入居者も付き易くなるところなので、築古戸建て投資家としては腕の見せ所であると言えます。

実際の築古戸建てリフォーム事例

私が、実際に行った築古戸建てのリフォーム事例を紹介します。

物件は、東京都東村山市の築30年・65平米・4Kというスペックでした。

これは、私が最初に購入からリフォームまでを行った物件で、そういう意味で感慨深いリフォーム事例です。

相続で売りに出た物件であり、空き家になってから売りに出されるまでそれなりの期間があったと思われる古家でした。

相続でもめたか、あるいは独居老人が亡くなるまで病院や施設などで長く寝た切り状態にあったりしたのでしょうか。売り出し価格から150万の値引きに成功して購入したものの、室内は、生活時の埃やゴミがあちこちに散乱していたほか、ゴキブリや良くわからない虫の死骸なども散見され、荒れ放題でした。

当時の私は、相続した物件のリフォームである程度の相場観はあったものの、その時はコンサルに入った地元の不動産屋の言いなりだったもので、リフォームの全体像もよく分かっていない状態でした。

私は、親身になってくれる業者を探すため、親戚から売却を頼まれたアパートの売却依頼を持ち込んだ、不動産投資専門の業者の担当者にアプローチをしました。

今思うとこれが大正解で、ちょうど担当者が塗装業出身で、塗装業をやっている親のさらに親方である、大工さんを紹介してくれました。

この大工さんが、60がらみの典型的な昔気質の親分肌で、こっちが聞かなくても向こうからどんどん情報をくれるし、目先の利益を取るのでなく、礼儀と誇りを重んじて仕事をしてくれる方でした。この大工さんには何でも聞けるし、何より信用できる方なので、現在でもほとんどの物件で大変お世話になっています。

以下は、その大工さんが出してくれたリフォームの最終的な請求書です。

 

この物件のリフォームの特徴は、1階の6畳一間を和室から洋室に変更したこと、それからシステムキッチンをニトリから購入して施主支給という形式で取り付けてもらったこと、の2点です。和室から洋室への変更は、「1F日本間ベニヤ張り一式」と表示されており、42000円という良心的な価格設定になっています。

通常、10万ぐらいが相場でしょう。システムキッチンの取り付け工事も、同じく42000円で、これは施主支給で設備業者に依頼した価格の3分の1~4分の1ぐらいの価格です。ちなみに、システムキッチン本体は25万のものを購入し、キッチン総額では約30万かかりました。

今考えると、ガスコンロが付いていないタイプで15万ぐらいのものをネットで購入すれば、さらに費用が浮いたのに、と思います。しかし、システムキッチンの取り替えは、ネットで物を購入、取り付けを大工さんに頼むという方法以上に、リーズナブルな手法はないと思います。

ただし、40アンペア替え、テレビ配線工事一式がちょっと高いですね。相場の1.5倍~2倍近いと思います。電気工事は、資格を要する仕事なので、なかなかリーズナブルな業者がいないのですが、それでもネットで探せば、もう少し安くやってくれる業者さんはいます。

クロスとクッションフロアは単価と平米数が書いてありませんが、ネットで調べればクロスは平米単価1000円前後でプラス下地処理などが加算されるのが相場とされているので、3部屋+階段・玄関+トイレなどの合計であれば、300平米ぐらいになる可能性もあると考えられ、まず妥当と思われます。

このような各工事の相場観、リーズナブルに済ませる手法は、やはり経験によって身に付けていくしかないでしょう。この大工さんは、入居者が付き易いような全体的なイメージを物件によって考えてリフォーム工事を組んでくれたので、初心者には本当に助かりました。ただ、この時に相見積もりを取ったニトリは、150万と高かったものの、1階のキッチンとリビングをぶち抜いて、半透明の吊り戸で仕切るという斬新なアイディアを提案して来ました。

この物件は、1階の日当たりが良くなく、リビングダイニングにしては少々狭いので、そこを改善しておけば、入居付けがもう少しよかったのかと思います。当時の見積書が残っていないのが残念ですが、費用面ではニトリに吊り戸のみを発注して、大工さんに取り付けてもらえば、20万ぐらいでの施工は十分可能だったと思います。

この物件は、内見は入るものの成約までが少々時間がかかり、結局生活保護の入居者が入ったものの、その方が細かい補修の注文や、エアコンや給湯リモコンなどの設備工事の負担交渉をしてくるなど、出費のかさむ方で、その割に一年もしないうちに出ていかれてしまい、諸々の出費、空室期間の家賃ロスなどを含めると、50万ぐらいはロスしています。

入居者の選択ミスもあるとは言え、戸建て投資のリフォームにおいてはリビングダイニングの印象というのは非常に重要なので、少々の支出であれば打てる手を打っておいた方が良いと思います。

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客付けの方法

戸建ての場合、一棟マンションなどと異なり、原則として一室として入居者を募集することになるので、管理会社に客付けを丸投げするということがやりにくい場合があります。

しかし、この点についてはそれほどハードルを上げて考える必要はなく、賃貸の仲介不動産屋に出向いて行って、依頼すればいいだけです。大半の不動産屋は引き受けてくれると思います。

ただ、一室の募集だと、戸建てで客付けし易いとは言え、担当者からすると数の多いマンションなどの他の案件を優先しがちです。

この場合は、よく言われている手法ですが、AD(広告料)を多くする、あるいは豪華な差し入れを持っていく、などとにかく目立つようなアピールが有効です。しかし、不動産屋はいくらでもあるので、一件の対応が悪かったら、もう一件回ればいいだけの話です。

これはそれぞれの不動産屋の事情、担当者の事情などによるところが大きいので、ビジネスライクに考えてあまり悩まないことです。

賃貸需要のある地域にある物件であれば、必ず客付けをしてくれる不動産屋はあります。

まとめ

築古戸建て投資のデメリットを克服する手法を、私の経験に基づいてご紹介しましたが、まとめると、融資については三井住友トラストL&F、リフォームについては迷ったら業者見積りをうまく利用する、そして分割発注、ということになります。

しかし、どんなビジネスでもそうですが、市況によって状況は刻刻と変化するので、日々勉強と思って積極的に情報を集めて、工夫する努力を惜しまない姿勢も大事だと思います。

特に、不動産投資は収入がある程度決まっていて、あとは支出を抑えるところが最も工夫できる点ですので、いかにリフォーム費用を抑える工夫をするかがポイントになるでしょう。

しかし、リフォームにはコストパフォーマンスの観点から、費用をかけるべき場合もあるので、その辺のセンスも磨いていく必要があると思います。