これまで、不動産ジャパン、ハトマークサイトの2つの不動産情報サイトを紹介しましたが、不動産情報サイトとして忘れてはいけないものに、「レインズ」があります。
レインズは、不動産ジャパンやハトマークサイトとはやや性格が異なりますが、理解しておいていただきたいと思います。
レインズとは
レインズとは、Real Estate Information Network System(不動産流通標準情報システム)の頭文字、REINSを取った略称です。
運営しているのは公益財団法人不動産流通推進センターです。
レインズについては、不動産業者で登録していない業者はいないと言って良いでしょう。
なぜかというと、不動産会社へ土地や建物の売買を依頼する場合、売主・買主はそれぞれ不動産会社と媒介契約を結びます。
媒介契約とは不動産業者と結ぶ、「この不動産を売りたいので買主を探して欲しい」、「不動産を買いたいので良い物件を紹介して欲しい」という契約です。
この媒介契約には、「専属専任媒介契約」、「専任媒介契約」、「一般媒介契約」の三種類があります。
専属専任媒介契約とは、不動産会社にとっての依頼者である売主が、他の不動産会社に同じ案件を同時に依頼することができず、依頼した不動産会社が紹介する取引相手以外とは取引ができない契約を言います。つまり一度この契約を不動産会社と結んだら、他の不動産会社に同じ物件の売却を依頼したり、売主が自分の力で良い取引相手を見つけてその人と取引したりといった場合は、不動産会社に違約金を払わないといけないという契約です。
専任媒介契約とは、売主が不動産会社1社のみに取引を任せること、他の不動産会社に同時に売却依頼をした場合は違約金が発生することは専属専任媒介契約と同じですが、売主が自分で買主を見つけてその人に売却する場合は、依頼した不動産会社に違約金ではなく、「不動産会社がそれまでに要した費用」のみを支払えば良いというものです。専属専任媒介契約よりも拘束力がやや弱くなっています。
一般媒介契約は、売主は同時に複数の不動産会社に売却を依頼できますし、自分で買主を探してその人と取引することもできます。
前置きが長くなりましたが、不動産会社としては専属専任媒介契約・専任媒介契約で依頼された物件については、高い報酬をもらえる可能性が高くなりますから、一生懸命買主を探す傾向があります。
このうち、専属専任媒介契約・専任媒介契約については売却依頼の契約を締結後、一定期間内(専属専任は5日以内、専任媒介は7日以内)にその物件の情報をレインズに登録しなければならない、というように、不動産会社の義務が定められています。
レインズは一般の人が自由にみられるサイトではなく、不動産業者用の物件情報検索システムですが、このようにして物件情報が出回ることになります。
自宅やマンションを買おうと、不動産業者回りをされた経験がある方なら経験があるかもしれませんが、A社で見せてもらった物件情報が、B社でも出てきた、というようなケースは、このようなレインズのシステムがあるために起こります。
他の物件情報サイトにはないレインズの特徴
レインズは、他の物件情報サイトと比べると以下のような欠点を持っています。
一般の人が自由にみられるサイトではない
不動産業者用のサイトですから、これは仕方のないことです。不動産流通推進センターに登録している不動産業者でなければレインズにアクセスすることはできません。
不動産ジャパンが、実質的にはレインズの一般公開の役割を担っているということも言われますが、ハトマークサイト等とは違って、レインズに登録したから自動的に不動産ジャパンにも物件情報が登録されるというような状況にはまだなっていません。
賃貸情報が弱い
レインズに登録義務があるのは、「売買」に関する専属専任媒介契約・専任媒介契約の場合であって、「賃貸」では登録義務がありません。
そのため、レインズの情報は他の不動産情報サイトと比較すると、賃貸情報は弱いという印象があります。
その一方、レインズには他の不動産サイトにはない大きな特徴があります。
それは、募集情報だけではなく、成約情報が掲載されているということです。
不動産ジャパンでも、ハトマークサイトでも、SUUMOでも、他の物件情報サイトに掲載されている物件価格は、その全てが募集情報、つまり「売り出し価格」、「売りたい価格」です。
相場情報も基本的にはこの募集情報を基に作成されています。
しかし、レインズでは実際に売買契約が締結された「成約情報」も掲載されます。
本来は、物件の相場というものは「いくらで売りたいか、売り出されているか」ではなく、「いくらで取引が成立したか」という情報を基に形成されるもので、その方がより正確な情報です。
例えば、土地が坪50万円で売り出されていたとしましょう。通常の物件情報サイトで公開される情報はここまでです。
しかし、実際の価格は売主と買主の交渉で決まりますから、買主から価格交渉が入り、実際は坪40万円で成約、売買されていたというケースも当然あります。
全ての取引ではなくても、このような取引が多い場合、その周辺の土地の相場は売り出し価格の坪50万円ではなく、成約価格の坪40万円がより正確な相場情報ということになります。
このような成約情報は、個人情報の保護という側面もありますから非常にデリケートなものです。
より正確に相場が分かる成約情報を公開しているのは、会員制情報システムであるレインズと、アットホームの会員サイトくらいしか今の日本にはありません。
レインズやアットホームに登録されるのは、すぐに買い手がつかない「出回り物件ではないか」という批判をする方もおりますが(良い物件であれば、前段の専任媒介契約のレインズへの登録期間が来る前に買主が付きます)、このような成約情報が得られる点がレインズの大きな特徴と言えます。
纏め
・レインズは全ての不動産業者が登録している業者用の物件情報システム
・他の不動産物件情報サイトとの違いは、「成約情報」が掲載されていること