【相続税対策】区分所有建物 VS 一棟もの 〜みんなが知らない活用術〜

 

相続税対策として区分所有建物、特にタワーマンションを購入することが流行りました。

→タワーマンション購入による相続税節税について

タワーマンションをはじめとする区分所有建物は、原則として土地の価格は「土地面積÷各区分所有部分の建物の面積割合等による土地持分」に評価額の単価をかけて評価されるため、高い建物で専有部分が多ければ多いほど土地にかかる相続税評価額が少なくなるからです。

他に収益物件として代表となるのは一棟ものですが、相続税対策としてはどちらが良いのでしょうか。まずは区分所有建物の特徴から見ていきましょう。

 

区分所有建物を用いた節税方法

タワーマンションをはじめとする区分所有建物を用いた節税方法は、以下のとおりです。

上の図では、1,000㎡の土地の上にマンションが建っていて、各住戸が50戸あります。
各住戸の建物面積を同じとした場合、1戸当たりの土地面積は

1,000㎡÷50戸=20㎡

に過ぎません。そのため、結果として相続税評価上各住戸とセットで評価される土地の面積が極めて小さくなるため、評価額が下がるというのが区分所有建物を用いた節税の仕組みです。

近年は再開発ブームもあって東京都心部の臨海部や駅に近い地域(神奈川県川崎市の武蔵小杉駅周辺等が特に顕著です)を中心にタワーマンションがたくさん建築されており、この方法で相続税の節税を図る方も増えています。

購入額(時価)と相続税評価額のギャップが大きければ大きいほど節税効果が高いのは別記事でお話ししたとおりですが、相続税節税の観点から見るとタワーマンションには更にうまみがあります。

それは、タワーマンションは同じ建物・間取り・面積であっても上層階(特に最上階)ほど時価が高い点です。

高い階にあるため眺望が優れている、自動車等地上の騒音が届きにくく静かな住環境が得られる等の点が評価されて市場では上層階ほど高く取引されています。

その一方で相続税評価は型通りの評価ですから、階数に関係なく最初にお話しした式のとおりで評価されます。

その結果高層階ほど時価と相続税評価額のギャップが大きくなるため、タワーマンションの高層階は相続税節税のためのねらい目物件と言われています

※ただし、国税庁では財産評価基本通達6項で「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」としており、実際に8割の相続税が圧縮された事案では否認していますから、今後は高層階ほど評価額を引き上げるなど規制は強化されると思われます。

 

一棟もの収益物件とどちらが良いのか


区分所有建物を収益物件として購入した場合、不動産投資の観点から見るとワンルーム投資と基本は同じです。

そのため、一棟もの収益物件と比べると「空室率は100%か0%かの二者択一になり、中間がない」というリスクがあります

収益物件をローンを使って購入する場合、賃料からローン返済を行っていくわけですが、区分所有建物1戸のみ購入すると、空室が発生して次の入居者が決まらない場合、その期間中は賃料収入を得ることができません。つまり空室率は100%になってしまいます。

更に、タワーマンションの最上階等、評価ギャップによって相続税対策に役立てやすい物件になると、時価は当然高額になります。

その一方で、賃料は最近さほど上がっていないですから、購入当初から低い利回りしか得られないという物件がざらです。

筆者が調査した範囲の内ですが、再開発によってここ数年でタワーマンションが乱立している神奈川県川崎市の武蔵小杉駅周辺ではタワーマンション(3LDK)の平均的賃料が月額30~40万円で大きな変動はなく、低層階を別にすると中層階と高層階で価格ほど大きな賃料の差はありません。そのため、最上階はグロスの利回りの面から見ると逆に不利になることが多くなっています。

また、タワーマンションの場合は特にまだ築年が新しいものが多く、減価償却期間が長くしか取れない、結果として保有期間中の利益圧縮がしにくいという点もあります。

更にタワーマンションはラグジュアリー仕様がほとんどですから、修繕積立金や管理費等の保有コストも高くなる傾向がありますので、キャッシュフローの観点から見ると一棟もの収益物件から見ると不利になっているケースがほとんどです

一般の区分所有マンションと比較してタワーマンションの場合はいわゆる「ぜいたく品」とみなされる傾向がまだまだ強い状況です。
「ぜいたく品」に関しては景気が良いときは価格は一気に上がり、景気が悪いときは価格は一気に下がる傾向があります。
東京都大田区の田園調布等の高級住宅地はそのような価格の変動を示す傾向が強くなっています。
そう考えると、相続税対策にタワーマンションを買ったけれど、将来売ろうとなったときに価格が購入時よりも大きく下がっている可能性も否定はできないわけです。

更に先に述べたとおり、タワーマンション購入による行き過ぎた相続税節税を引き締めるための施策を国税庁が行う見込みです。

以上を考えると、相続税対策として区分所有建物、特にタワーマンションを買う際にはより慎重に検討する必要があると言えます。

【相続税対策】区分所有建物 VS 一棟もの 〜みんなが知らない活用術〜

  • 区分所有建物購入による節税は、土地の評価額が大きく下がる点がポイント
  • タワーマンションの場合最上階ほど相続税節税効果が大きい
  • 収益物件としてみるとタワーマンションの1戸投資はワンルーム投資と似ていて微妙な点が多い
  • タワーマンション保有は利回りが低く、保有コスト、価格変動リスクが大きい傾向があるので慎重になるべき
  • 国税庁が行き過ぎた相続税節税を引き締めるために規制を強化しつつある

 

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