抑えておきたい手付金に関する3つのポイント

不動産の売買契約の際には、通常買主は「手付金」を支払う必要があります。

この「手付金」についてよく理解していないと、思い通りに物事が進まなくなることがあります。

今回は、手付金の種類、手付金の限度額、手付解除時の注意点をご紹介していきます。

手付金の種類

手付金には3つの種類があります。

 

解約手付

一旦、締結した売買契約を、理由のいかんにかかわらず解除することができる手付のことを解約手付といいます。

手付金の扱いは、買主が解除した場合と売主が解除した場合とで、その扱いが異なります。

買主が購入を辞退するために解除する場合は、既に支払った手付金を放棄し(手付流し)、売主は手付金の倍額を返却すれば(手付倍返し)、契約を解除することができます。

 

違約手付

売主、買主のいずれかに売買にあたって違法行為があった場合、損害賠償とは別に違約のペナルティとして受け取ることができる性質を持つ手付金のことを言います。

 

証約手当

契約が締結を証明する目的で授受される手付金のことをいいます。

民法第557条1項において、手付が交付された場合に上記の3種類のうちいずれの性格を持つ手付か不明の場合は、解約手付と推定されるとしています。

つまり、不動産売買契約においてほとんどの場合、手付は①証約手付と、③解約手付の2つの性格を持つことになるであろう。そして、不動産売買契約における手付をめぐるトラブルのほとんどは、解約手付に絡んだものだ。

 

手付金の限度額

宅建業者が売主となる売買においては、宅建業法上買主から受領できる手付金の金額に、売買価格の20%の制限がかかります。

そのため、1億円の物件であれば、2,000万円までしか手付金を受け取ることができません。この際の手付金は、「解約手付」としなければなりません。

 

これに対し、個人が売主となっている売買契約の場合は、この手付金に関する制限はありません。

物件の売買契約において、手付金の一般的な相場は1〜2割程度となっておりますので、1億円程度の物件を購入する際に求められる手付金の金額は、概ね1,000~2,000万円程度とすることが多いです。

実務上は、手付金の金額が大きくなりすぎると、万が一の場合の金額大きくなりすぎるので、手付金の金額を細かく設定するということはあまりないですが、手付金があまりに少ないと、簡単に解除しやすくなるため、この場合も注意が必要です。

ただし、買主として確実に物件を手に入れたい場合、手付金はできるだけ多く入れておいた方がいいと言えます。

 

手付解除時に注意すべきこと

解約手付の条件は、「契約当事者の一方が契約の履行に着手するまで」は手付放棄または手付倍返しによって相手の意思に関わらず契約を解除できるとされています。

「契約の履行の着手」とは、

  • 物件の引き渡し
  • 所有権移転登記

などがこれに当たるとされています。

売主がこれらに着手したあとに、手付金を放棄するといっても、それでは手付解除は認められないことになります。

このため、仮に売主が契約書に特約として手付解除期限を設定し、「この期限までに申し出がなければ契約解除不可」といった旨の特約を設定したとしても、契約の履行に着手していない場合、この手付解除期限の特約は無効となります。

 

解約手付の性質は、「買主売主双方が解除権を保有すること」が大前提にある為、任意で手付解除期限を設定するような、やや悪質的な契約ができないようになっています。

実務上は、手付解除が行われる場合においては、「履行の着手」の要件をめぐってトラブルとなることが多々あります。どこからが「履行の着手」と言えるのかが当事者同士で意見が食い違い、最終的に裁判所の判断を仰ぐというケースが散見されます。

目安としては、これから解除してもすでに引き返せない状況に向かっている場合などは「履行の着手」となり、手付解除が成立しない可能性が高いと考えます。

 

まとめ

収益物件の取引時の手付金は、一般的に解約手付を指す。

手付解除時に問題になるのは、契約の履行のタイミング。

トラブルを防ぐために、契約時に決済前のリフォームや解体工事などを盛り込み過ぎないほうが安全。

手付解除時の「契約の履行」は当事者間でも意見が分かれるものなので、手付金を放棄すればいつでも無条件に契約解除できるという認識は危険。