住宅系でも商業系でも工業系でも、水を使わない・水を排出しない不動産はないといってよいでしょう。
前回の台風19号では台風の影響で水道が全く使えない地域もありました。ライフラインの整備の状態は非常に大切な事項ですから、上下水道の調査は必須項目です。
そこで今回は不動産における上水道調査について徹底解説していきます。
上水道調査について
上水道調査は、役所で担当窓口を確認して訪ねましょう。
ほとんどの場合で上水道管は前面の道路に埋まっていますが、以下のような事項を確認します。
- 水道管の口径
- 水道管の位置
- 水道管の深さ
- 水道管から対象地までの距離
これらは基本的に上水道台帳と呼ばれる図面のコピーをもらえば記載されています。ほとんどの役所で上水道台帳には図面の見方や凡例がついていますから、併せて確認するようにしましょう。
尚、敷地内の引込管については所有者でない限り見せないし写しも交付しないとしている役所が多くなっています。
敷地内引込管まで調査する場合は、事前に確認して所有者に同行してもらったり、委任状をもらったり等の対策が必要になるでしょう。
公共上水道の場合は上記の方法でよいのですが、上水道組合が水道を管理している地域もあります。その場合は上水道組合を訪ねましょう。
感覚ですが、公共上水道の場合よりも閲覧できる内容や閲覧できる人が制限されている場合が多いので、事前に電話で何が必要か聞いておいたほうが良いと思います。
その他、上水道を新たに引き込む際には水道負担金が徴収される自治体もありますので、その金額についても念のため聞いておきましょう。
下水道調査について
下水道調査についても上水道と基本的には同じです。
ただし、下水道の場合汚水管と雨水管に分けられて管理されている(これを分流式と言います)地域もありますから、その場合はそれぞれについて調査しなければなりません。
尚、下水調査の場合の追加項目として、敷地内に汚水ますが設置されているか、設置されていれば本管からの取り出し口径は何ミリかということまで調査しておきましょう。
上水道はあっても公共下水道がない地域もまだまだ多いですから、その場合は浄化槽水洗が可能かどうかを調査しましょう。
調べることは個別浄化槽によるU字溝(いわゆる側溝等です)への排水が可能かどうかです。
更に敷地前面のU字溝の放流先が問題なく河川等に放流されていることも確認の上、「適切に設置した個別浄化槽によるU字溝排水の許可は出ますか?」と聞いておきましょう。
取引後に許可が出ないことを防ぐため、事前確認を取っておくわけです。
自治体でこの項目について未調査の地域であれば、調べて連絡してくれることもありますから名刺を置いて連絡をしてくださいと言っておきましょう。
実際に個別浄化槽の設置については所有者・利用者が申請を出すことになるわけですが、物件調査の段階でここまでしておけばスムーズに申請・設置が進むでしょう。
都市ガス調査について
都市ガスのある地域は、基本的に前面道路の下にガス管が埋まっています。
都市ガスは基本的に公共ではなく民間事業者による供給ですから、調査の場合はその不動産のある地域がどのガス会社の管轄なのか調べる必要があります。
都市ガスを供給しているガス会社は役所でも把握していますから教えてくれます。
ガス会社の窓口に直接行って埋設管図面を見せてくださいということも良いですし、会社によっては直接窓口に来ないで住宅地図を送ってくださいというところもあります。その場合はFAXや郵送で住宅地図にガス管の埋設状況や口径が記入された略図が戻ってくることが多くなっています。
都市ガスがない地域であればその地域はプロパンガス(LPガス)の設置が必要になります。
LPガスの供給事業者も併せて調査しておくとより丁寧でしょう。
【不動産】台風で話題の上下水道・都市ガスの調査のコツまとめ
- 上下水道の調査は埋設管の状況だけではなく、負担金の有無や引き込み位置まで調査しておくべき
- 都市ガスについては公共ではなく民間事業者供給がほとんどのため、役所では調査できないことが多い