不動産の役所調査のやり方はこれでOK!チェックリストや道路についても!

宅建士が行う調査は、重要事項説明書(いわゆる35条書面)の作成ができれば良いのですが、その大部分を占めるのは都市計画や道路調査等の、その不動産が所在する地域を管轄する役所で調べる役所調査です。

役所調査の流れとして、都市計画の調査を最初にすることになります。

 都市計画の調査で主に調べる項目やチェックリスト

都市計画の調査は、主に市区町村の役所の担当課(都市計画課・建築指導課等で管轄していますが、役所によって担当課の名称は異なりますから、最初に総合案内で聞いてしまいましょう)で確認することになります。

質問する際は、住宅地図等を示して「ここの都市計画を教えてください」と言えばほとんどの場合は構いません。

都市計画の調査で調べる項目やチェックリストは概ね以下の通りです。

項目 内容
都市計画区域内か 都市計画区域であれば次以降の項目を順に、都市計画区域外であれば個別の規制を質問してください。
市街化区域か市街化調整区域か 市街化区域であれば次以降の項目が順に言われるはずです。市街化調整区域であれば規制内容を詳細に質問します。
用途地域 (次の段で詳細に説明します)
建蔽率 指定建蔽率が○%である等
容積率 指定容積率が○%である等

尚、全面道路の幅員が狭い場合はこの指定容積率通りの建物が建てられるわけではありません。

高度地区指定の有無 第1種高度地区か、第2種高度地区か等
防火地域等 防火地域か、準防火地域か、建築基準法第22条の指定がかかる地域か
日影規制 用途地域が商業地域以外では日影規制がかかります。
地区計画の有無 地区計画でより細かく建物の用途や意匠、色彩等を定めている場合があります。地区計画がかかっている場合はできればその場で地区計画のパンフレット等をもらいます。
風致地区 風致地区規制がかかっているか。かかっていればその内容はパンフレットやリーフレットにまとまっているはずです。
特別用途地区 特別用途地区の指定の有無を確認してください。

例えば特定街区等です。

都市施設の有無 都市計画道路の指定の有無等
その他 宅地造成工事規制区域、緑化地域等の指定の有無。

また、建築協定の有無等も併せて聞きましょう。

 

この他に、例えば広い土地であれば開発指導要綱やワンルームマンション規制条例の内容等の調査も必要でしょう。

 

 用途地域とは

用途地域は都市計画法で定められており、12の地域に分けられています。用途地域の指定によってその地域で建てられる建築物の用途が決められます。

具体的にどういう建物が建てられるのかは宅建士受験用テキスト等にまとめられておりますし、役所の担当課でもリーフレットとして配布している場合が多いので、ここではどういう地域かというイメージを紹介します。

用途地域 イメージ
第1種低層住居専用地域 2階建程度までの戸建住宅・共同住宅が立ち並ぶ地域で、比較的感性で住環境良好な地域が多い。通常店舗は小規模店舗しか建てられない。
第2種低層住居専用地域 ほぼ第一種低層住居専用地域と同じだが、150㎡までの店舗が建てられるためコンビニ等が介在することも。
第1種中高層住居専用地域 3階建以上の共同住宅と戸建住宅が混在する住宅街。コンビニの他、まいばすけっと等の小規模スーパー、比較的小規模なドラッグストア等も多少は見られるようになる。
第2種中高層住居専用地域 3階建以上の共同住宅と戸建住宅が混在する住宅街であるが、やや広めのスーパーマーケットやドラッグストアがある場合が多い。
第1種住居地域 3階建以上の共同住宅、戸建住宅が混在する地域であるが、比較的大きいスーパーやホテル、事務所、小規模な工場・作業所等も見られる。
第2種住居地域 第1種住居地域のような建物の他、パチンコ屋・カラオケボックス等も見られる。

尚、郊外や地方部であれば、第1種住居地域や第2種住居地域内に広めの青空駐車場を持ったスーパーマーケット(マックスバリュやヨークマート等)が多い傾向がある。

準住居地域 幹線道路や準幹線道路等の沿道で、比較的規模の大きい店舗の他倉庫等が多く見られる。住宅も見られる地域。
近隣商業地域 駅前や地元の商店街等。ただしここ数年は東京・大阪・名古屋等の大都市圏ではマンションも多く見られるようになってきている。
商業地域

 

オフィス街・繁華街・歓楽街。

※商業地域はどのような建物も建てられ、指定容積率も高いためマンション等として利用されるケースもある。

準工業地域

 

町工場や中小規模の作業所、倉庫と住宅が混在している地域。

ただし、マンション需要の高い地域では廃業した工場や作業所等の敷地をまとめてデベロッパーが買収して、マンション用地として転用されているケースもある。

工業地域

 

どのような工場でも建てられるため、比較的大規模の工場・作業所・倉庫が多い。ただし、店舗や住宅を建てることは可能のため、住宅地としての色彩が強くなっているような場合もある。
工業専用地域

 

臨海部にコンビナートや製鉄所・物流施設等が建ち並ぶ地域や、工業団地内に大規模な工場や倉庫が集積している地域。

住宅や飲食店等は建てられない。

 

役所調査のコツ

都市計画を確認する際、役所で質問する事項は以上の通りですが、一つコツをお教えします。

役所の窓口の担当者によりますが、都市計画担当窓口に限らず「質問されないことは答えない」というスタンスの人がいます。

例えば、「用途地域を教えてください」と質問したところ、第2種住居地域であるということは教えてくれたけれど、その地域が宅地造成工事規制区域の指定を受けているのに教えてくれなかったということもあります。

「聞かれなかったから答えませんでした」というスタンスです。

 

役所の窓口では「誤りを伝えること」を極端に恐れる傾向があるため、このような対応をする人がいます。

これによる調査漏れを回避する方法として、物件調査票(ほとんどの会社で作成していると思いますが)等を利用して調査漏れをなくすこともありますが、役所の窓口で最後に一言次の言葉を付け加えてください。

 

「ありがとうございます。他に何か特別な規制や条例はかかっていますか?」

 

ほとんどの役所の窓口では、「都市計画を教えてください」と言われると、都市計画図を調べて

 

「第一種住居地域、建蔽率60%、容積率200%、準防火地域…」

 

といったように話してくれます。

それが終わり、全てメモした段階で、上の言葉を付け加えるクセをつけてみましょう。

 

そうすると、「聞かれなかった」ということにはならないため、見落としてしまいがちな事項も十分再チェックしてくれるでしょう。

 【新米宅建士へのアドバイス】役所調査は都市計画からまとめ

  • 役所調査は調査項目が膨大な都市計画の調査から始めると良い
  • 用途地域ごとにどのような地域か、大まかなイメージを持っておく
  • 役所の窓口によっては「聞かれないことは答えない」というスタンスのところもあるため、物件調査票のテンプレート等を作る他、現場でどのように話すか自分なりに対策を持っておくべき

 

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