【不動産投資】本の出版=優秀な大家という空想を捨てよう

私は職業上、アマゾン等のネット販売だけではなく、実際に書店に足を運んで不動産関連の書籍を購入するのですが、大型書店でも「カリスマ大家さん」のようなタイトルの不動産投資本が多く並んでいるのをここ2年ほどの間に見かけるようになりました。

並んでいるどころか、平積みにされているという状況です。

何冊かの本を読んでみましたが、本を書いておられる「カリスマ大家さん」と呼ばれる方々は、必ずしも優秀な大家さんというわけではないと考えるようになりましたので、その理由をご説明します。

尚、決して全ての書籍やDVDがダメだと言っているわけではありません。

ある特定の本を鵜呑みにせず、たくさんの情報を読み比べて、自分で考えるというプロセスが大事ですということですから、誤解なきようお願いいたします。

経済学においては、「ノウハウは広まれば広まるほど利幅は低くなる」

「年収○○円からできる不動産投資法」「カリスマ大家さんの~」といった不動産投資本は、一言で言えば「お金を得るためのノウハウを売っているもの」と言えます。

ここで、少々硬い話になりますが経済の原則をお話しします。

一般的に経済学では、新たな事業分野や新商品等が開発されると、その開発した人が最初は大きな利益(これを超過利潤と言います)を得ることになります。

しかし、その分野・商品をまねて新たに参入する人が多くなると、市場では供給が多くなるわけですから、価格が下がり超過利潤は少なくなっていきます。

そして、需要と供給がバランスするところで価格が落ち着きますが、この需要と供給のバランスするところというのは、一般的には「超過利潤がなくなる価格水準」を指します。

不動産投資方法は、言ってみれば超過利潤を生むためのノウハウですから、そのノウハウを知っている人が多くなればなるほど、著者の得るべき超過利潤は少なくなるはずです。

つまり、著者は本やDVDを出版して売ることで、ある意味「自分の超過利潤を減らす作業をしている」ということになります。

通常はこのようなことをあまりしないでしょう。そのために新商品を開発したりノウハウを開発したりすると、一般の企業は特許を取って、他社が同じ商品を製造・販売する際には特許使用料を徴収するわけですから。

そう考えると、不動産投資本やDVDは確かに参考とするにはいいかもしれませんが、決して鵜呑みにしていいものではないとは言えないでしょうか。

本やDVDを出版するのは「お金を稼ぐため」という面がある

本やDVDを販売するのはその売り上げが欲しいからです。

不動産収入で十分に満足できる収入を得ている人であれば、わざわざ自分の不動産投資から得られる超過利潤を減らすリスクを冒してまで、ノウハウを全て公開はしません。

そのため、本やDVD、情報商材を売っている「カリスマ大家さん」の中には、不動産投資が実際はあまりうまくいっていない人もいるのではないかと考えるとうがった見方にすぎるでしょうか。

大家さん関連本には「リライトしただけ」のものも多い

私も何冊かいわゆる「カリスマ大家さん」と呼ばれるような方の書いた本を読みましたが、ほとんどの本の8割程度の内容は重複しているもので、一冊読んだら他の本は基本的に読む意味があまりないと思うようなものが多いと感じました。

世の中に「リライト」という言葉があります。

ある本の内容は変えずに、表現を変えて全く別の文章にしてしまう作業のことを言います。

このリライトは必ずしも否定されるべきものではありません。

リライトライターという職業もありますし、そもそも専門家や学識経験者の言うことも、先人の書いた本を読み、消化し、吸収して自分の考えを入れたうえで、書いたり言ったりするわけでから、その点ではこの世の中の大部分の文章や書籍はリライトであるとも言えます。

しかし、現場を見ることが必要な不動産投資の世界においてはあてはまりません。

自分で歩き、見て、ある時は成功しある時は失敗しというような実践の過程は、不動産投資には必要不可欠です。

どうも、いくつかの書籍はただ他の本を書きなおしただけで、読者の目には魅力的に映るかもしれないけれども、リスクの提示や分析が十分ではない、そのため場合によっては書かれているノウハウを実行した読者を破たんに追い込みかねないような危険性があると思われるものもありました。

こういった意味でもたった一冊や二冊の不動産投資本を鵜呑みにするのは危ないと言えるでしょう。

「自費出版」という裏技もある

通常は本を出版するためには、出版社から執筆依頼が来るか、出版社にアイデアを持ち込んで認められるというところから始まるでしょう。

採算がとれる部数、紙ベースで本を出版しようとすると印刷代・製本代だけでそれなりの費用がかかります。

しかし、現在はインターネットが発達しており、「ネット販売」ということもできるようになりました。

本の発送をしなくても情報商材としてPDFファイルを送れば印刷代・製本代などはタダです。

動画ファイルをつけたところで、せいぜいファイルサイズが大きくなるだけで費用などはたかが知れたものでしょう。

DVDならパソコン一台あればどんどんコピーできる時代です。

このような方法でノウハウを売れば、かかるコストは実質タダです。出版社の締め付けやチェックもないため実質やりたい放題と言って良いでしょう。

現代は「少ないコストでノウハウを売って高い利益率を得る」ということが非常にしやすい時代ですから、アヤシイ商材や中身のない情報も数万円単位で売られるようになってきています。

不動産投資関連の情報の中にも、全てとは言いませんがこういうものがそれなりに横行しているなというのが正直な感想です。

以上から、ノウハウを必要以上に公開する人の言うことは鵜呑みにすべきではないとは言えないでしょうか。

纏め

  • 本当に優秀な投資家は、自分のノウハウを世間一般にあまり公開したがらない
  • 不動産投資関連本には「粗悪なリライト品」も含まれている
  • ノウハウを販売するのに必要なコストが低くなっているため、自費出版しやすい状況は整っていることに注意すべきである

 

Slider