【不動産投資/オーバーローン】かきあげで銀行から呼び出しをくらいました

今回は私の不動産投資仲間A氏より寄稿を受けました。

不動産投資でオーバーローンをかきあげで組み、銀行から直接呼び出しをくらい、契約が無くなってしまった失敗談です。オーバーローンを組もうと考えている方やこれから不動産投資を始めようと思っている方必見です。

不動産投資におけるオーバーローン

オーバーローン…、魅力的な言葉ですよね?

不動産投資初心者の誰もが感じる不動産投資へのハードルは、投資にあたっての初期費用の高さであり、初期費用がなくても買えるフルローンは投資の初期ステージにある投資家にとっては非常に魅力的に映ります

銀行に融資の相談に行くと「融資は可能ですが、物件価格の1割(都銀等では3割といわれる場合も)は頭金を入れてください、また初期費用(登記費用、仲介手数料等)は融資資金では出せません。」と言われ、投資に踏み切れなかった方も多くいるのではないでしょうか?

そのため、オーバーローンが可能といわれると今まで投資に踏み切れなかった方も、「初期費用を負担しなくていいのであれば不動産投資もできるかもしれない。」と思い、ここ数年で多くの方が不動産投資に関心を持たれ、参入してきました。

それに呼応するかのように、収益物件を取り扱っている不動産業者の広告資料(メールマガジン等)には、オーバーローン可能、フルローン可能等のうたい文句が踊ります。

ここまで、認知度の高くなっオーバーローン投資ですが、一般化すればするほど、そのリスクを考えたことのある人が減っていると思います。

最近は金融当局の銀行の融資に対する監視が強まってきたのと、物件価格上昇・利回り低下によりオーバーローンを出せるだけの担保余力のある資産が減ってきました。また大規模なオーバーローンを組む事例は減ってきているとはいえ、まだまだその謳い文句は目にする機会も多いはず。

今回のトラブル対処シリーズでは、当方の経験したオーバーローンを活用した不動産投資の失敗談(しかも一歩間違えるとかなり深刻な事態になった)についてお話ししたいと思います。

 

オーバーローンの一般的手法、かきあげとは?

オーバーローンには、一般的には契約の「かきあげという手法が使われます。

契約の「かきあげ」とは、露骨な例では、銀行に対しての契約書と実際の契約書を二つ作成し、銀行用の契約書(もちろん、記載されている契約価格は実際の契約書より高い)を銀行に提出することによって、多く融資を引き出すというものです。

参考記事:オーバーローンで住宅ローンを借りたときの影響をシミュレーション

 

筆者の事例

当方の場合はいったん契約を締結した後に、物件の瑕疵が見つかったために、交渉を行い、契約からさらに価格を下げられたのですが、その結果による契約の更改を銀行には連絡しておらず、結果オーバーローンになってしまったという取引でした。

この取引の詰めの甘さが、惨事を引き起こします。

経緯はともかく、銀行から見れば立派なオーバーローンでした。

当方も深く考えず、意図的に契約を「かきあげ」たわけではなく、結果契約金額が変わっただけだろうと深く考えず、オーバーローンはラッキーとおもい、決済日へのカウントダウンの中で契約を変更したことなどすっかり忘れていました。

 

悲劇は一本の電話から

悲劇は一本の電話から始まりました。その電話は海外旅行からの戻りで、自宅へ帰宅のため成田エクスプレスに乗ったところでありました。

電話は融資銀行からで、内容は以下の通りでした。

「現在締結している金消契約(金銭消費貸借契約)の実行に際し、重大な懸念があるため至急話したい。」

当初何を話しているかわからず、出張で疲れているから明日にさせてほしいといったものの、「どうしても今日お会いしたい。」の一点張りで、その剣幕に次第にただならぬものを感じ、当日面談することにしました。

 

面談録

当日の面談は前置きもなく火ぶたが切って落とされました。

面談早々、銀行から「当行に提出いただいている売買契約は真正ですか?」と問いかけがあり、その質問によって銀行がオーバーローンに気づいたことを理解しました。

慌てて、値下げに至った経緯等を説明するも、結果としてオーバーローンになっている事実は変わりません。

ここから押問答が始まります。

当方:「融資契約締結してますよね?」

銀行:「契約書原本提示下さい」

当方:「故意ではございません」

銀行:「故意かどうかは重要ではありません。この念書(融資契約の破棄に関する覚書)に署名ください」

当方:「法的根拠を示して下さい」 

・・・・・・・・・

一時間経過した所で、私も諦めました。

最終的に銀行から下された判断は金消契約を取り消すという重い判断でした。

融資契約の取り消しが意味するもの

当方は慌てました。

融資特約期間は超過しており、このままいくと違約解約手数料を売主には払わなければいけませんし、仲介会社への仲介手数料も支払わなければならないからです。

これは手付金を失うどころの話ではありません。

最悪1千万近くを失って、かつ手元には不動産が残らないかもしれない…

こうなると仕事どころではありません。

気が気ではなく、恐る恐る仲介会社を訪ねました。 

参考記事:https://契約書.jp/acceleration/

仲介会社の反応

仲介の方と会うと、予想に反して非常に親身になって話を聞いてくれて,違約解約にならないように売主と交渉してくれました。

これで、手付を失うだけで済むという最小限の被害に終わりました。

最悪1千万超の損失を覚悟していたことからすると、上出来といってもいい結果です。

良かった良かったと。

最後に

最後に謎が残りました。なぜ、契約の更改をしたことを銀行が知ったのでしょうか?

 実は、当方が海外旅行中に最終の契約を確認したかった銀行が、仲介会社に問い合わせ仲介会社が間違えて銀行用ではない更改された契約を銀行に送付していたらしいのです。

「なんだ!仲介会社のチョンボじゃないか!?」とすべてが終わった後に、気が付きました。

それで、仲介会社が親身に接してくれた理由が分かりました。

 ただ、それは手付金を失った後だったのです・・・