【2019年版】住宅ローン減税とは?住宅ローン控除の仕組みと受けるための条件

皆さんは住宅ローン減税というものをご存知ですか?

一言で言うと住宅ローンの年末残高に応じて、一定期間にわたって所得税等が軽減される制度のことです。住宅ローン減税は、住宅ローン控除とも言われています。
ちょっとわかりにくい制度でもありますが、住宅ローン減税を受けることでそれなりに大きな税額の還付を受けられることがありますので、ぜひ理解しておいてください。

住宅ローン減税とは

住宅ローン減税は、ある一定の条件を満たした場合に、最長10年間、住宅ローンの年末残高の最大1%(上限額あり)を所得税から控除することで、確定申告で年末に納めすぎた分の税額が戻ってくる制度です。

月々のローンの支払額が減ったり、所得税額が直接減額されたりするわけではありません。

年末のローン残高に応じて納めた税金を返してもらえる制度ですから、所得税等、納めた税金以上の還付を受けることはできません。

とはいえ、例えば確定申告後に毎年数十万円程度が戻ってくる可能性がある制度ですから、理解して活用すれば家計の大きな助けになります。

住宅ローン控除を受けるための条件

住宅ローン控除を受ける場合、以下の6つの条件の全てに当てはまる必要があります。1つでも満たしていない条件があるとこの制度の適用を受けられませんので注意してください。

1.新築や購入をしてから6か月以内に自分が住むこと

その家に住民票を置く必要があります。このため、別荘やセカンドハウス、賃貸用住宅は対象外です。

2.控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下であること

これは給与所得、不動産収入その他の収入を合計したその年の税務申告上の総所得です。

3.新築や購入した住宅の床面積が50㎡以上で、床面積の1/2以上を自己の居住用として使用していること

床面積は登記簿上の床面積で判断されます。ここで注意したいのは、登記簿上の床面積の測定方法は戸建住宅と区分所有建物(いわゆるマンションです)で異なるということです。

戸建住宅の場合は「壁芯面積」、つまり壁の中心線を結んだ部分の面積が登記簿に記載されます。

区分所有建物は「内法面積」、つまり壁の内側を結んだ部分の面積が登記簿に記載されます。

内部の居住空間が全く同じ広さでも、戸建住宅と区分所有建物では登記簿上に記載される面積が若干違ってきます。

ただし、区分所有建物、つまりマンションを買うとき、販売業者が提示する面積は多くの場合で「壁芯面積」です。そのため、マンション販売業者が提示する面積が50㎡ぴったりとすると、登記簿に記載される内法面積がそれより小さく、住宅ローン減税を受けられない場合もありますから、この点は注意していただきたいと思います。

4.中古住宅の場合は一定の住宅性能を有していること

あまりに築年の古い、かつ性能が良好ではない建物では住宅ローン減税は受けられません。

これは「現在の耐震基準に適合しているかどうか」という観点で判断されます。

(1)築年数が一定年数以下であること

鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造等の耐火建築物の場合:築25年以内
木造等耐火建築物以外の場合:築20年以内

または

(2)以下のいずれかにより現行の耐震基準に適合していることが確認されていること

  • 耐震基準適合証明書(建築士等が証明します)
  • 既存住宅性能評価書(耐震等級1以上)
  • 既存住宅売買瑕疵保険に加入すること

以上の(1)(2)いずれかの条件を満たしている住宅であることが必要です。

5.返済期間が10年以上の住宅ローン等の借入があること

金融機関からの借入のみで、親族等からの借り入れ、勤務先からの借入の内金利0.2%未満のものは除かれます。

6.居住を始めた年とその前後の2年ずつの延べ5年間に、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税特例等を受けていないこと

このほかにも増改築等の為に住宅ローンを借りた場合は工事費が100万円以上であること等の条件があります。
また、手続き的なものとして、住宅ローン減税を受けるためには確定申告が必要になります。ただし、サラリーマンの方等給与所得者の場合は、2年目以降は会社の年末調整で減税が行われます。

住宅ローン減税の仕組みとシミュレーション

住宅ローン減税をどの程度受けられるかは、住宅の種類で異なってきます。

減税の限度額と最大控除額は以下のとおりです。新築住宅よりも中古住宅の方が減税を受けられる割合が少なくなることに注意してください。

住宅の種類 控除対象限度額 控除率  10年間の最大控除額
※認定長期優良住宅 新築 5千万円 一律1.0% 5百万円
中古 3千万円 3百万円
上記以外の一般住宅 新築 4千万円 4百万円
中古 2千万円 2百万円

※認定長期優良住宅とは、居住環境等への配慮を行っていることや一定面積以上の住戸面積を有していること等の条件を満たした住宅のことで、住宅性能表示制度の基準にほぼ従って認定されます。認定するのは地域によって異なりますが、都道府県や市に申請を行います。

住宅ローン控除は以上の表を上限として、住宅ローンの「年末残高」を基に計算されます。
控除額は「ローンの年末残高×1%」ですが、上記の表が限度となります。
やや分かりにくいので、実際にシミュレーションしてみましょう。

認定長期優良住宅を6千万円、10年ローンで購入した場合を考えます。尚、住宅ローン減税は「納めた所得税等の額が還付の上限」とされますが、計算された控除額以上の所得税等を納めているものとします。

1年目 2年目 3年目 4年目 5年目
①年末ローン残高 6千万円 5千4百万円 4千8百万円 4千2百万円 3千6百万円
②控除の基礎額 5千万円 5千万円 4千8百万円 4千2百万円 3千6百万円
③控除率 一律1.0%
④減税額(①×②) 50万円 50万円 48万円 42万円 36万円

 

6年目 7年目 8年目 9年目 10年目
①年末ローン残高 3千万円 2千4百万円 1千8百万円 1千2百万円 6百万円
②控除の基礎額 3千万円 2千4百万円 1千8百万円 1千2百万円 6百万円
③控除率 一律1.0%
④減税額(①×②) 30万円 24万円 18万円 12万円 6万円

 

説明が煩雑になりますから、6千万円の住宅ローンを10年間均等で返し、金利は一切考えないという単純化したシミュレーションとしました。

上の表の1年目と2年目の①年末ローン残高と②控除の基礎額を見てください。
1年目の年末ローン残高は6千万円、2年目は5千4百万円となっており、認定長期優良住宅の控除最大限度額5千万円を上回っていますから、②控除の計算となる基礎額は5千万円となっています。
3年目以降は年末ローン残高が5千万円を下回っていますので、①年末ローン残高=②控除の基礎額となっています。

大まかに、住宅ローン減税は以上のように計算されます。上記の例では④の減税額を合計すると10年間で316万円もの税金の払い戻しを受けることができます。

計算上の住宅ローン減税額より所得税額が少ない場合は…?

上記のシミュレーションでは、各年度の所得税等の額は計算上の減税額を超えている前提で説明しました。
では、例えば上の例で1年目に納めた所得税の額が45万円で、計算上の住宅ローン減税額50万円を下回っている場合はどうなるのでしょうか。単純に所得税額45万円までしか住宅ローン減税は受けられないのでしょうか。

「所得税額<計算上の住宅ローン減税額」となる場合は、住民税からも減税が行われます。
取得した住宅の消費税率に応じて、
1.8%以上の税率(つまり新築住宅):所得税の課税所得×7%(136,500円が上限)
2.非課税(中古住宅):所得税の課税所得×5%(97,500円が上限)
となります。

所得税額や住民税額の計算は一人暮らしか、配偶者がいるか、扶養親族がいるかによっても変わってくるので複雑になりますが、単純に所得税額が計算上の住宅ローン減税額以下であっても、住民税分も所得税額に上乗せされて判断されるということだけ押さえていただければここでは十分かと思います。

纏め

・住宅ローン減税は「支払った所得税等の額が最長10年間、年末ローン残高に応じて戻ってくる」制度
・住宅ローン減税を受けるためには条件があることに注意。特にマンションの場合は登記面積(販売業者の言う面積とは一致しない場合がある)が50㎡以上であるかに注意。
・所得税額<計算上の減税額であっても、住民税支払分も所得税額に上乗せされて減税額が判断される。