【新米宅建士へのアドバイス】道路の調査(現地調査編)

役所調査で道路台帳や道路台帳確定図等を調べても、現地との照合を欠かすことはできません。
道路台帳等はあくまでも「その台帳を備えた時点の現況」を表すものですから、現在の現地の状況とは変わっていることがあるからです。
また、それ以外にも留意すべき点について紹介します。

道路台帳との道路幅員の照合

現地ではメジャーやウォーキングメジャー、レーザー測定器等を使って、実際の道路幅員を確認しておかなければいけません。
道路台帳が必ずしも現在の状況を示していないことがありますし、道路台帳と現実の道路幅員が異なっている場合、建物を新築する際に基準となるのはあくまでも現実の道路幅員だからです。

そのため、現地では以下のような点をチェックします。

  1. 土地と道路との接面状況
  2. 現実の道路幅員と道路台帳との違い

このうち、現実の道路幅員はメジャー、ウォーキングメジャーを道路にあてて測るようにしておきます。建物を新築する際はより詳細に測定する必要がありますが、取引のための調査ではこのようにして現実の道路幅員を測っておけばほとんどの場合十分でしょう。

しかし、現実の道路には道路境界石の設置されている道路と、道路境界石が設置されていない道路があります。

A.道路境界石の設置されている道路の場合

道路境界石には、例えば○○市道路境界、○○県道境界等の表示があるものや、単純に○○市等の団体名だけが記載されたもの等様々ありますが、基本的な表示のしかたは同じです。
境界石の上部に十字があればその交点、矢印があればその先端が境界点になります。

道路境界石の設置されている道路であれば、調査対象地側の道路境界石の境界点から、道路の体面にある道路境界石の境界点までの距離を測れば、それが現実の道路幅員になります。

また、実際に何度も物件調査をされたことがある人であればすでに見たことがあるかと思いますが、道路境界石の境界点からブロック塀等、敷地までの間に敷地を後退させていることがあります。
道路境界石と敷地との間に空白のスペースがあるような時です。

この場合は道路境界の境界点から敷地までの間も測って記録しておきましょう。
必要があればその記録や写真等をもって改めて役所に行って確認を取ります。

この後退させるべき距離が間違っている場合がごくたまにあり、その場合は敷地の面積が増えるためです(絶対というわけではありませんが)。
特に古い時代に設置された道路境界石の場合は設置場所を誤っていることがありますから、こういった細かい点にも注意するようにします。

B.道路境界石の設置されていない道路の場合

道路境界石の道路がないときがありますが、この場合は通常は道路の両端にあるU字溝の位置をまず確かめましょう。
前面道路が国道や県道、市区町村道の場合はU字溝は道路に含まれるため、調査対象地側のU字溝から反対側のU字溝の端までを測れば良いわけです。

ただし、蓋のないU字溝の場合は自動車がその上を通れないことがあります。このため、こういった場合はU字溝部分は道路に含めないとしていることもありますので、役所で事前に確認しておくようにしましょう。

尚、道路には縁石が設けられている場合があります。この縁石が道路幅員に含まれるかどうかは場所によって異なることがありますので、役所で道路台帳を取得する際に確認しておきましょう。(ほとんどの場合は縁石は道路に含まれますが)

舗装の状態の確認

現地では道路について、まず舗装の種類を確認するようにします。
なぜそこまで確認するかというと、水道管やガス管を引き込むときに、対象地の前面道路を一部掘削して工事し、その後元通りにする必要があり、その費用は基本的に買主の負担になるためです。

道路の舗装にはコスト順に以下のようなものがあります。

コンクリート舗装>アスファルト舗装>簡易舗装>砂利舗装>未舗装

そのため、コンクリート舗装やアスファルト舗装の場合は、道路の下に水道の本管がとっていても、敷地内に引き込む際の工事費はやや高い工事費がかかると考えておかなければいけません。

次に確認するのは舗装の状態です。
特に更地の取引で、買主が取引後に建物を新築する予定の時は注意しておかなければいけないことですが、道路がきれいに舗装されているからといって安心することはできません。

それは、国や都道府県、市区町村が道路舗装工事を完了させると、一定期間は道路を掘るような工事をさせないようにするために、道路掘削工事の凍結期間というものを定めることがあるからです。

道路の工事はそこを通る周辺住民に大きな影響が出ますし、せっかくきれいに整備した道路をすぐに掘り返されては公共団体にも迷惑がかかります。また、水道の引込工事等が終わったらすぐに元通りにするとは言っても、きれいに整備した道路をすぐに掘り返されてつぎはぎの跡が目立つ道路になってしまったら美観も損ねてしまうためです。

この道路掘削工事の凍結期間が定められていると、その期間内は敷地の前面道路に手を付けることができません。そのため、敷地内への水道やガスの引込工事が原則としてできないということになってしまいます。

これは買主にとってはライフラインの整備に関わる重大な問題ですから、特に更地や古い建物の建替を前提とした取引に際しては、ここまで注意して調査しておくことが大切でしょう。

纏め

  • 道路の現地調査は道路台帳と現実の幅員との照合をまず行う
  • 道路境界石が設置されていればその間の距離を測る
  • 道路境界石がなければU字溝の端から反対側のU字溝の端まで(例外あり)
  • 現地では舗装の種類、状態をあわせて確認しておく
  • 特に更地取引や建替前提の取引の場合は、水道やガスの引込の可否に関わるので、道路掘削工事の凍結期間にかかっていないかどうか確認しておくべき(舗装がきれいな場合)