【不動産投資】築古戸建て投資のメリット

築古戸建て投資がメディアで騒がれて久しいですが、築古戸建て投資のメリットはどのような点にあるのでしょうか。東京・埼玉で築古戸建て8軒に投資、運営中の大家が、他の不動産投資と比較した場合のメリットを解説します。

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物件探しにおけるメリット

投資用の不動産を探す場合、一棟物のアパートやマンションなどですと、楽待や健美家など専用のインターネットサイトは幾つかあるものの、収益不動産の紹介会社を通して探さないと良い物件が見つからないことが多いです。あるいは、良い物件が見つかっても、公開される前に人的ネットワークの中で売れてしまうことが多いと言われています。

しかし、築古戸建て投資は、不動産投資の業界の中ではマイナーな存在です。投資家のライバルはそれほどいないですし、そもそも実需向けの売り物件が殆どなので、通常のインターネットの不動産紹介サイト(アットホーム、スーモなど)に優良物件が頻繁に数多く掲載されます。このように、条件の良い物件がネット公開される確率が高いことは、物件探しにおいて大きなメリットと言えるでしょう。

物件購入の際のメリット

一棟物のアパートやマンションなどの投資用不動産を購入しようとすると、良い条件の物件は公開されるとすぐに買付が入ってしまうことが多々あります。築古戸建て投資であれば、投資家のライバルは多くないため、優良物件であっても一週間程度の猶予があることが多いです。

また、築古戸建ての場合、売却する側は実需として居住していたが、生活において何らかの必要に迫られて売却を行っている方が殆どです。投資用不動産と異なり、売却によって利益を得ようというケースは少数です。そのため、売却価格についての拘りが比較的少なく、大幅な値引きにも応じてくれる可能性が高いと言えます。

また、500万円程度の少額から始められるのも魅力です。東京23区内ですと500万円の物件はまずないですが、東京都下や神奈川、埼玉に行けば、都市部の人口が多く立地も悪くない場所であっても、500万円程度の築古戸建ては充分に見つかります。一件当たりの金額が小さいということは、同じ金額を投資するにしても、数件に分けて投資することも可能ということになり、立地のリスクを分散できることも、メリットと言えます。

物件リフォームのメリット

一棟物のアパートやマンションなどの投資用不動産を購入すると、大規模修繕という出費のリスクが常につきまといます。同じく一棟物である戸建ての場合も、築古であれば修繕リスクは常にありますが、いずれも小規模な修繕で済むことが多いです。

より正確には、小規模な修繕で済ませるような工夫の余地があると言えます。戸建ての場合、マンションのエレベータや、アパートの給排水設備のような大規模な設備はありません。給排管の故障、給湯器の故障、外壁や屋根の雨漏りなどは、いずれも部分的な修繕で対応可能です。

また、需要の少ないアパートやマンションの設備工事に比べ、戸建ての設備工事は需要が多いので、比較検討可能な業者が数多くあります。業者に伝手のない投資家であっても、インターネットなどで自分で調べて検討してリーズナブルな業者を選択して発注することができます。器用な投資家であれば、DIYで対応可能な場合もあるでしょう。このように、戸建ての場合、工夫次第で修繕費の支出を抑えることができるのは大きなメリットと言えます。

入居づけのメリット

投資用不動産を購入しても、入居者がつかなければ収入はないのですから全く意味はありませんし、入居づけに苦労するようですと、入居者に入ってもらうために色々な工夫をする必要があり、更なる出費や心理的ストレスを負うことになります。

しかし、戸建ての場合、賃貸需要がある地域であれば、まだまだ供給量が需要に追い付いていない地域が多く、入居付けに苦労しない場合が多いです。また、戸建てというだけで、通常のアパートやマンションよりアドバンテージがあるため、家賃相場がそもそも高い地域が殆どです。これを裏返して考えれば、入居付けの戦略として、家賃を下げるという選択肢の余地もあることになります。

また、戸建ての場合、ファミリー層が多いため、アパートやマンションと比べ、一旦入居者がつくと、長期間入ってくれることが多いと言われています。これも、入居付けにかかる手間や広告費、原状回復の支出が削減につながり、メリットの一つと言えます。

利回りのメリット

一般的に、戸建てはアパートやマンションに比べて利回りが低いというイメージがあるのではないでしょうか。

しかし、正しくは投資用として利回りを意識した運用の工夫を行っていないため、利回りが低いということになります。言い換えれば、工夫次第ではアパートやマンションよりも高い利回りを稼ぐことが可能です。

たとえば、アパートやマンションに比べ、戸建ての場合は古くてもリフォームを行えば、供給が少ない分入居者が付き易いことを利用して、築古物件を安く購入し最低限のリフォームを行って貸し出すという手法があります。また、アパートやマンションに比べ、地方でも入居者が付き易いことを利用して、地方の物件を購入して貸し出すという手法もあります。私は主に前者の手法を採っていますが、購入後のリフォーム代込みで、利回り相場6%のエリアでも9%の利回りを実現しています。

出口戦略のメリット

物件の売却時には、築古戸建ての場合はかなりのメリットがあります。

一棟物のアパートやマンションは、一件当たりの価額が高額であるのと、基本的に自己居住の実需の需要がないため、売却市場が限られます。また、区分マンションでは、実需用の需要は多いですが、区分所有権ではマンションの全棟を取り壊す権限がないため、更地として売却することができません。

これに対して、築古戸建てでは、古くてもリフォームさえ行っていれば自己居住の実需需要は充分にありますし、もし建物が古くて使えないということであれば、壊して更地にして売却すればよいことになります。更地にできるということは、新築にもできるということですから、上物を入れ替えるという売却以外の出口戦略も選択肢として考慮できることになり、戸建て投資は他の不動産投資に比べ、出口戦略においては圧倒的なメリットを有していると言えるでしょう。

まとめ

このように、築古戸建て投資のメリットは数多くあります。しかし、本稿では触れませんでしたが、勿論、他の不動産投資に劣る点も多々あります。それぞれの不動産投資のメリットとデメリットを把握した上で、投資家自身が、各自の属性や投資段階、投資目標などに応じて適切な投資を選択して実行していくことが重要であると思います。