これまで建築基準法上の道路や42条2項道路、私道や建築基準法上の指定のない単なる通路について見てきましたが、これら以外にも「道」と呼ばれるものがあります。
雑学的な内容も含んでいますが、いわゆる(一般的な意味での)道路と呼ばれるもの以外の道についてご紹介します。
【土地の境界】赤道/畦道/水路/河川管理用通路…それぞれの特徴
赤道(あかみち)
公図上、特に山林や市街化調整区域、農地を中心とする地域の公図で、町名や行政区域の境でもないのに地番が記載されていない部分があるかと思います。その部分のうち、通路等として使われていた土地のことを赤道と言います。古い公図では、赤道の部分は赤で塗られていたことがその由来です。
赤道は、古くから通路として利用されてきた土地のうち、道路法の道路とされずにそのまま残った土地のことを言います。地番のない無番地のため、所有権は国のものとなります。
特に地方部等では公図上は敷地が赤道で分断されているけれど、現況を見ると赤道の部分も建物の敷地として利用されているようなケースが多くあります。このような場合は、調査対象物件内に介在する赤道の払い下げが可能か否か、または利用許可があるのかといったことを十分チェックしておかなければなりません。
赤道の払い下げを将来的に受ける場合は、用途廃止等の所定の手続を行うことが必要になりますから、その手続についても確認しておくとベターでしょう。
畦畔(あぜ道)
けいはん、と読みます。田んぼや畑のあぜ道のことです。地方によって青地、くろ、くさいろ地、ぬけ地、はざま地等と様々な呼び名があります。一応ですが、畦畔とされるものは
- 田畑等の耕地に高低がない場合は、田畑の境界をなす一般の畦畔(あぜ道)
- 田畑等の耕地に高低がある場合は、上下の田畑の間の傾斜地(法地。のりちと読みます)
- 田畑等の耕地の間に介在する農道や里道、水路等
とされています。
この畦畔についても無番地でしかも建築基準法上の道路の指定もないというようなことが良くあります。畦畔の所有区分は、国有地と認められるものと、民有地と認められるものに分けられるとされており、判断基準は以下のとおりと言われています(旧大蔵省通達等によります)。
- 国有地と認められるもの
畦畔、法地等のうち、土地台帳または不動産登記簿(付属図面を含む。以下同じ)に私人名義で登記がされておらず、地番の付されていないもの。 - 民有地と認められるもの
畦畔、法地等のうち、土地台帳または不動産登記簿に私人名義で登記がされており、地番が付されているもの。
土地台帳や不動産登記簿に「内畦畔」「外畦畔」等と記載されているものは、本地と一体として地番が付され、私人名義で搭載されているものであるから、民有地であるとされる。
以上のように言われていますが、実際私も不動産登記簿や土地台帳で「内畦畔」等と記載されているものはまだ見たことがありません(笑)。
都市部での業務をメインとするのであれば実際に目にするのはレアケースかと思いますが、万一見かけた場合はこのような区分もあったなと思いだし、実際の所有関係や現地の状況を確認していただければと思います。
水路
公図上水路は「水」と表示されます。
公図上水路が敷地周辺や敷地内に介在するというケースは都市部でもよくあります。ただし、公図上「水」と記載されている部分でも、都市部では埋め立てや舗装が行われて水路の跡形もない状態となっているケースが多くなっています。
このように公図上「水」と表記されていて、現状は埋め立て等で水路が跡形もなくなっているものを「暗渠(あんきょ)と呼びますが、管理者が水路としての用途廃止を行っていない以上はたとえ現地で水路の影も形もなくなっていても水路としての位置づけが行われています。
そのため、その部分を自由に使うためには、用途廃止手続を受けた上で申請により払い下げを受けなければならないこともありますので、十分注意しておくべきでしょう。
河川管理用通路
川の脇、土手の上に道路があり、これが建築基準法上の道路ではなく、河川管理用の通路であるとされているケースがあります。
河川管理用通路は、建築基準法上の道路指定を受けていない限り、たとえその上を自動車や歩行者が自由に通行できる状態になっていても、敷地がこの河川管理用通路に接しているだけでは建物建築はできないということになります。
河川管理用通路であるかどうか判別する方法ですが、現地に標識がある場合もありますしない場合もありますので、現地を見ただけでわかるものではありません。
そのため、まず役所で公道や私道にあたるか、建築基準法上の道路かどうかを確認します。建築基準法上の道路でもなく、公道でも私道でもない場合、誰がこの「道」を管理しているのかを尋ねます。
その後河川管理用通路であれば、「管轄事務所(河川管理者)は○○河川事務所ですね」等の返事が返ってくるので、その所在地・電話番号等を控え、管轄事務所に出向いて河川管理用通路の性格や幅員、あれば利用制限を確認します。
ここまでやれば十分と考えられますが、あわせて河川管理用通路の地番の登記簿を確認し、所有者と河川管理者との関係を調べておけばより丁寧でしょう。
【土地の境界】赤道/畦道/水路/河川管理用通路…道路以外の道とは?まとめ
- 一般に「道」と言われるものは建築基準法上の道路や単なる通路等の他にも赤道、畦畔、水路、河川管理用通路等、様々なものがある
- 「道」の調査においても先入観念を持たず、丁寧に調査していくことが必要となる