不動産経営の投資戦略の立て方

不動産投資では大きな金額が動くことになるため、一度間違ったやり方で始めてしまうと簡単には方針転換は簡単には出来ません。

  • 投資額を拡張したいのに耐用年数オーバーの鉄骨物件を買ってしまった
  • キャッシュフローを得たいのに利益が出ない都内で利回り10%の区分を買ってしまった

といった具合に、自分の本来の描いていたイメージと購入した物件が合致しないのは、多くの場合知識不足が原因ではなく、目標を立てていないことが原因です。

それゆえ、「不動産投資で何を目指すか」という目標設定をし、その実現に向けた投資戦略を策定しておく必要があります。

投資戦略を立てる上でまず考えるべきポイント

当初、投資規模を拡大したいという戦略を持っていたのに、耐用年数オーバーの木造物件で融資を引いてしまったとします。

こうなるとその木造物件を売却するしかないので、売却完了までのロスが発生してしまいます。

場合によっては自己資金が目減りすることもあるかもしれず、非常に高額な勉強代を払うことになる可能性もあります。

買うべきでない物件をどう排除するかが、投資戦略に従って物件を探す上で重要になってくるのです。

 

どんな戦略であろうとも、相場よりも安い値段で物件を購入することが肝要ですが、どのエリアのどのような構造・築年の物件をどのように融資を引いて購入するかも同じくらい重要です。

会社員を続けながら不動産投資で収益をあげたいのであれば、その目的にあった戦略を立てることが必要になります。その戦略に愚直に従い行動するべきです。

どのようなエリアでどんな物件を購入するのか、融資はどこの銀行を使うのか、何が妥協出来て何が絶対に譲れない条件なのか、よく考えましょう。

 

投資戦略を立てる上で考えるべきポイントは以下の3点です。

  1. 近い将来いくらまで投資額を拡張したいのか
  2. いま自分が融資を受けられる銀行はどこか
  3. 上記を踏まえて、探すべき物件のエリア・構造・収益性はどのようなものか

設定した条件に基づいて物件を探すことになりますが、最初はいくら探してもその条件で物件が見つからないものです。
原因は行動量(情報量)が足りないか、目標設定が間違っているかのどちらかになると思います。

戦略に沿った行動になっているのかを随時チェックし、必要に応じて戦略を修正しながら自分の勝ちパターンを見つけていきましょう。

 

収入面での不動産投資戦略

不動産投資は、投資対象となる物件を「購入」して、「運営(貸す)」、そして最終的には「売却」といった流れで進みます。

この流れは、「購入」「売却」というキャピタルゲインを目的とする活動と「運営」というインカムゲインを目的にする活動に分かれます。

基本的には「購入」と「売却」プロセスには売買差益を得るキャピタル面での収支があり、「運営」プロセスには賃料収入等を得るためのインカム面での収支があります。

ここでは、「不動産投資で儲ける」ということで、この収支構造の中で、収入を最大化し、支出を最小化することで少しでも利益を高めることとして、その戦略について触れます。

 

収入の最大化には、収入の逸失や損失リスクを出来る限り減らす事がポイントです。

具体的には、以下を極力減らさなければなりません。

  •  運営時の「空室リスク」や「賃料下落リスク」(賃料等の逸失)
  •  売却時の「価格下落リスク」(資産の毀損)

購入時の賃料水準と購入価格のバランスが取れていれば、これらのリクスは投資する物件の選定(目利き)を間違えない事によって減らす事ができます。

 

それでは、失敗しないように物件を選ぶにはどうすればよいでしょうか。
最低限、次のポイントを抑えた上で選定を行う事が必要です。

  • 売買および賃料「相場」
  • 投資するエリアの売買および賃借の「需給バランス」
  • 「環境変化に関わる情報」(インフラ、政策等)
  • 投資する「資産の市場性(立地、間取、設備仕様等)」

これらの情報は、不動産仲介会社から引き出す事ができます。

しかし、裏をとるという意味でも、複数の不動産仲介会社に確認する事をお勧めします。

 

まずは、取引条件が「相場」に合っているか確認します。

対象物件の属性(築年数等)を考慮した上で、「相場」と比較し大差なければよし、大きく差がある場合は、相場よりも高い場合、低い場合いずれのときも必ず理由を突き止めましょう。

 

次に、「相場」の変動リスクをチェックします。

エリアの「需給バランス」や「環境変化に関わる情報」を捉えることによって、将来の相場の動きを予測する事ができます。

人口の大幅な増減や不動産供給過多などは「需給バランス」をくずし、「相場」に影響します。

たとえば、新線の開通や再開発などで街の将来発展が見込める場合等は、大きなプラス要素となり、大学や工場の移転は、マイナス要素になります。

これらの要素が、取引条件に織り込まれているかどうかを見極めましょう。

 

さらに、「資産の市場性」もチェックしなければなりません。

ターゲットとなる賃貸人の層に評価される立地、間取り、仕様が備わっているか、競合物件はどうなっているかに注意して選別する事が重要となります。

あるかどうかもわからない掘り出し物を安く仕入れるという事ではなく、収入の逸失や損失リスクを減らす視点で、物件選定を行う事が収入面でのコツと言えます。

 

支出面での不動産投資戦略、損切り

不動産投資では、購入資金の支出を除けば、税金など法律で定められたものも多く、大きく削減できるものは見当たりません。

仲介手数料や司法書士の手数料等、値引き交渉が可能なものもありますが、提供されるサービスや長期的な付き合いも視野に入れて判断する必要があります。

それ以外で言うと、自ら手がける修繕費等で、地道な経済効率を考える事が関の山です。

管理費や修繕積立金も小さい方がよいですが、修繕積立金が小さすぎると、実際に修繕工事をすることが決まった時に修繕積立一時金として、一度に出費と成る可能性もあります。

したがって、マンション管理組合の修繕計画表やその進捗状況、居住者の滞納状況等で、適切かどうかを判断しましょう。

「戦略」という意味では、これは不動産投資の収支とは少し違った視点になりますが、ローンを大きく借りて、減価償却費などが大きい築年数の浅い物件を運営して赤字が出た場合、不動産所得の赤字を他の所得と通算し、徴収済の是金の還付を受ける事が可能になります。

これは個人投資家の多くの不動産投資の目的になっています。

 

また、需給バランスが崩れたり、将来の展望が失われたときは、購入を見合わせたり、すでに保有している資産を度胸よく処理(売却)することも必要です。

もちろん、売却には損失が避けられない場合はあります。

一見、損失は罪悪のように見えますが、損失を拡大させなかったという結果になれば、「支出を最小化する(将来の更なる差損を回避した)」という意味で、「儲けた」(利益貢献した)という発想も持たなければなりません。

安く買い、高く売れれば、それに越した事はありませんが、首尾よく両方行うのは至難の業です。

逆説的ではありますが、環境の変化にかかわらず、「あらぬ将来への期待」に縛られずに支出を最小化する度胸(決断力)が、コントロール可能なものとして「コツ」といえるのではないでしょうか。

ただし、いたずらに売買を繰り返すことは、その分売買に伴う諸費用を負担する事になります。その為にも、当初の購入の目利きが問われる事になります。

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