マイナス金利政策が導入されて、現在(平成30年5月現在)はローン金利も低水準になっています。
しかし、それは裏を返せばそれ以前に借りていた金利が高く感じられるということでもあります。
金利は低ければ低いほど有利ですから、何とかして下げたいものですが、交渉はどのようにすれば良いのでしょうか。
金利交渉や借り換えに応じるかどうかは金融機関の内規に左右される部分が大きいので、かなり個別的な話になりますがここでは一般論を紹介します。
※なお、当初の融資借入時に変動金利を選択すべきか固定金利を選択すべきかは別記事で記載していますから、そちらをご参照ください。
融資は固定金利と変動金利どちらがよいか?
金利交渉では他金融機関の見積もりを取る
金利は不動産投資における原価を構成します。
金利の支払部分は損益計算上費用として計上できるから節税効果はあるとは言っても、収益構造を良くするためには金利は少しでも抑えておくべきなのは間違いありません。
この点、実際にお金が出ていくわけではない費用である減価償却費とは異なっています。
利用しているローンの金利が高い場合、まず検討すべきなのは金利交渉です。
しかし、金融機関の側から見ると金利は収入源です。金融機関の仕事を端的に言うと、「有望な事業にお金を貸してその金利を取ることで利益を上げる」ことですから、金利の引き下げ交渉にはそうやすやすと応じてはくれません。
そのため、ただ単に金利を下げて欲しいというだけではなく、戦略的に交渉しなければなりません。
建物をリフォームするときをイメージしてみてください。
複数の業者から見積もりを取り、より低いコストで同じ効果が得られる業者に発注しないでしょうか。
そこには競争の原則が働いていますから、より有利な条件を提示できた企業がその仕事を勝ち取ります。
金融機関の融資の場合、どうしても融資を申し込みに行く借り手の側が心理的に弱いという傾向がありますから、あまり金融機関同士の競争の原則が働きません。
そこで、効果的なのはいかに競争の原則を働かせて譲歩を引き出すかです。
端的に言うと、他の金融機関から今現在融資を受けるとした場合の金利等の条件を調べ、それを持って交渉に臨むことです。リフォーム業者の例で挙げたような相見積もりを取るわけです。
その上で金融機関に金利について相談したいと申し入れ、交渉の余地があるかどうか見るわけです。
具体的には「A銀行からは金利~%で借り換えの打診を受けていますが、これまでのお付き合いもありますしできれば貴行との取引を継続したいと思っています。ついては金利の引き下げは可能でしょうか」と申し入れます。
こうすることで金融機関の間で競争の原則を働かせるわけです。
金融機関側で借り換えされるよりは金利引き下げをした方が良いと判断すれば、新たな金利条件を提示してもらうでしょう。
一般的には金融機関も借り換えをされるとダメージが大きいですから、金利交渉には応じてくれる場合が多いのが実情でしょう。
もちろん一部金融機関では金利引き下げ交渉には一切応じないという内規を持っているところもあるようですから、個別的な問題ではあります。
借り換えは借りる時以上に慎重に
金利引き下げ交渉が上手く行かなかった場合は、他の金融機関に借り換えることを検討することになります。
一般的には借り換えの場合は新規融資よりも金融機関側の審査は緩くなります。
なぜなら、すでにその物件・その人に融資をしている他の金融機関があり、ローン返済も問題なく行ってきているという実績があるため、金融機関側も安心するからです。
借り換えを行う際にはこのような返済実績を示せるように、当初からしっかり記録を残しておくことが良いでしょう。
借り換えが難しいのは空室が多くて物件運営が上手く行っていないような場合や、過去に返済の滞納があったような場合です。
借り換えが上手く行けば、現在は低金利の状態ですから既存の融資条件で返済を続けるよりも有利な金利条件に改定する効果が期待できるでしょう。
その一方、借り換えには大きなデメリットもあります。
最も大きなデメリットとしては、これまで融資を受けていた既存の金融機関との関係が破壊されるということです。
金融機関側からすると借り換えはいわば「ほかの金融機関への乗り換え」です。それまで見込んでいた金利による収入が奪われ、利益を害されるということです。
金融機関ごとに借り換えをされた場合の取り決めは異なっていますが、借り換えをされた場合はその人とは今後一切取引をしないというスタンスの金融機関もあります。
これによってそれまで関係性を築き、ローン返済の実績を積み上げてきた金融機関からこれ以上融資を受けられなくなってしまうことで、物件の追加取得が難しくなってしまうということが起こり得ます。
借り換えをした新たな金融機関に対しては、その取引が初めても場合これから実績を積み上げていかなければならないでしょう。
投資家としては少しでも金利は下げたいものですが、不動産投資で複数の物件を所持しているような場合や今後も追加投資をしたい場合、将来も金融機関から融資を受ける必要があります。
そのため、仮に借り換えるとしても所有している複数物件の内一部のローンは既存の金融機関に残しておく等して、付き合いを完全に切らない、言い換えれば既存金融機関とも良好な関係を残しておくことが結局は得策になる場合が多いでしょう。
纏め
- 金利交渉を行う場合、他からの見積もりを取って金融機関同士に競争の原則を働かせる
- 金利交渉が上手く行かなければ借り換えも検討する
- 借り換えの場合、融資のハードルは新規に融資を受ける場合と比べて低くなる
- 借り換えた結果それまで付き合ってきた金融機関との関係が壊れるというデメリットは大きいので、新規融資を受ける場合以上に慎重に