不動産プロフェッショナルの投資対象の中心は1棟物件となりますが、自宅、区分マンションを保有している方々も多いと思います。
一棟物を継続的に購入していくためには、“適切な借り入れ“と“潤沢な自己資金“がテーマとなります。
このためには自宅であったり、区分マンションの売却を行い、不動産ポートフォリオをリセット、改善することも選択肢の一つです。
筆者の場合は、不動産投資家となった初期は保有していた区分マンションを売却して、現金を作りました。
このような相談を受けることも少し増えてきたので、今回は、自宅/区分マンションを高値で売るために、筆者が活用したサイトとその評価をご共有致します。
1棟物件と、自宅/区分マンションの場合、買手の層が明らかに違います。
従い買手を意識する売却手法が必要となる点が重要な戦略です。
つまり、楽街であったり、健美屋であったり投資家向けの一括サイトでの売却査定ではなく、不動産投資家ではないけど、相続対策に区分マンションが欲しい、自宅が欲しい、という層に強い仲介にお願いすることが王道です。
そんな中、現在勢力を伸ばしている5つのサイトを筆者は活用してみましたので、下述します。
はじめに
不動産を売却する際は、できる限り高く売りたいというのが売主の本音ですが、不動産を高く売るためにはどうしたら良いのかを考えるために、売却プロセスを整理してみます。
通常、不動産売却の際は、
- 売り出し価格を決め
- 買い希望者を募集し
- その中から有望な買主と価格・条件面を交渉し
- 売買契約を交わして物件を引き渡し、代金をもらう
というプロセスを踏みます。
この中で、売り出し価格はどの程度に設定すればよいのかわからず、売主はこの最初の段階で躓く場合が多くなっています。
売り出し価格は不動産仲介業者の意見を聞いて検討し、相談して決めるのが通常ですが、これも売主にとってかなりの手間になります。
そこで、一括売却査定サイトの利用が便利です。
一括売却サイトを活用すると、やる気のある不動産仲介業者が来てくれます。
資料も集めるのに協力的ですし、大手とは違った対応で、非常に楽ができます。
重要な売主として注意点は1つで、“専任媒介契約は締結しない”こと。
一般媒介契約を4-5社と締結するのが、(1) 高値のでの売却、(2) 早期での売却、のために有効です。
また非公開/公開のどちらが良いかは物件の特性をみながら判断するのがお勧めです。
本記事では売却査定サイトの評価にスポットを当てます。
一括売却査定サイトのメリット
売り出し価格を決める場合、仲介業者に不動産の情報(登記簿・公図・地図等資料一式)を持ち込んで、価格査定を依頼するのが一般的です。
ここで、適正な価格の把握のためにはできるだけ多くの業者からの価格に関する意見を集めたいところです。
しかし、売主が単独である仲介業者Aに持ち込み、Aの出した価格が正しいかわからない場合は改めて他の仲介業者Bに不動産の資料一式を持ち込んで査定を依頼しなければなりません。
更に、Bの価格にも納得がいかない場合、他の業者Cに…と、大きな手間がかかります。
一方、一括査定サイトを利用すれば、サイトに不動産の情報を入力するだけで複数の仲介業者から査定価格を取得することができますから、少ない手間で多くの業者から意見を聞くことができます。
多くの業者から意見を聞くことができるということは、より適正な価格を把握しやすくなりますし、売却しようとしている不動産の種類(住居系か商業系か、戸建住宅かマンションか、店舗用建物かオフィスか等)を得意とする業者を見つけやすくなるでしょう。
また売却サイトではやる気のある仲介業者が来てくれるので、短時間で資料を纏めてくれます。
高値での売却では大手仲介業者にも売却活動を手伝ってもらった方がよいですが、資料集めをあまり手伝ってくれません(殿様商売ですので笑)。
Step1: 売却査定サイトでやる気のある不動産業者の査定を受けるStep2: 不動産業者と“一般媒介契約を締結” ※専任は絶対に避けましょう。
Step3: 業者が纏めてくれた資料を持ち、大手仲介業者1-2社にもお声がけ
というのが筆者が進める売却活動の一番楽な進め方です。
主な不動産売却一括査定サイト
ではどのようなサイトがお勧めかをご紹介致します。
一棟物の売却とは異なったポータルサイトが中心です。
ポータルサイト自身も結構新しかったりするので、やる気のある仲介業者(not老舗)と繋がっており、機動力があるためお勧めです。
筆者が使ってみた不動産売却一括査定サイトは下記の5つでした。
- イエウール
- イエイ不動産売却査定
- RE-Guide不動産一括査定
- O-uccino(オウチーノ)
- HOME4U
其々について詳しくみていきましょう。
イエウール
株式会社speeeが運営するサイト、イエウールです。
上記5サイトのうち参加している不動産業者が平成29年3月現在で1,400社以上と、最も多いサイトです。
参加業者が多いことから、比較検討がしやすく、また査定可能な不動産の種類も多く、特に不得意な分野はないものと見受けられます。
但し、市街化調整区域内の物件や山林等は査定対象外となっている模様です。
イエイ不動産売却査定
株式会社Qが運営するサイト、イエイ不動産売却査定です。
参加業者数は平成29年3月現在で約1,000社以上とややイエウールには劣りますが、参加業者に対して顧客へのしつこい勧誘等のクレームが多い場合はサイトの方から契約解除を行えるイエローカード制度を採用しており、悪徳業者を徹底排除している点が強みと言えます。
また、山林等も査定対象としています。
RE-Guide不動産一括査定
株式会社ウェイブダッシュが運営するサイト、不動産一括査定です。
旧来はSBI不動産ガイドというサイト名で運営されていました。
参加業者数は550社以上(平成29年3月時点サイトに掲載)としておりますが、サイト運営側の独自審査を通過した会社のみを参加業者としているようです。
他サイトとの大きな差異としては、売却価格査定の他にも賃料査定・リフォームに関する見積も行っています。
特に賃料査定のサービスがあるということは、売却するか賃貸物件として運用するか悩んでいる方には、その点の意思決定にも役立つ情報を得ることができるというメリットが得られます。
O-Uccino(オウチーノ)
株式会社オウチーノが運営するサイト、O-uccino(オウチーノ)です。
参加業者数は約500社(平成29年3月時点)です。
無料査定の他にも不動産売却の際に留意したい事項や住み替えの際の留意点等を開設したコンテンツが充実しています。
不動産の売却を考えているけど、知識がないしいきなり業者には聞きにくいから基礎知識をわかりやすく知りたいという方にはお勧めです。
更に、「住まいソムリエ」制度を設け、専門家に売却や住み替え、リフォームを活用した資産価値の付加等、個別の相談ができることも大きなメリットです。
こちらのサイトでも山林等の査定を依頼することができます。
HOME4U
NTTデータグループが運営するサイト、HOME4Uです。
提携仲介業者数は550社と公開されています。
こちらのサイトにも不動産売却塾等のコンテンツや無料メルマガ(無料査定依頼者への限定サービス)があり、売却の基本の流れ、高値売却のコツ等が開設されています。
事業用不動産の売却も手掛けており、物件の種類の守備範囲も広いサイトです。
また、このサイトもRE-Guide不動産一括査定と同じように賃貸経営・賃貸管理に関するサービスも行っています。
どのサイトを利用すれば良いか
上記5つのうちどのサイトを利用すれば良いかというのは、物件の種類ごとにも異なりますし、情報入力の際にどのサイトのレイアウトを好むかは人それぞれの面もありますから一概には言えません。
ただ、前段の各サイトの特徴から、以下のようなことが言えます。
自分で不動産会社を選ぶだけの知識があり、業者に対する間口を広くしておきたい方向けサイト
登録業者数が最も多いイエウールが良いでしょう。
また、イエイ不動産売却査定も登録事業者数が多くイエローカード制度もありますから、不動産会社とのやり取りや交渉にやや不慣れだが間口を広くしたい方には向いていると考えられます。
不動産売却が初めてという方向けサイト
不動産売却が初めてでわからないことが多い方(住み替えの場合は多くの方が該当すると思われますが)は、まずはO-uccino(オウチーノ)を利用されることをお勧めします。
その理由は「住まいソムリエ制度」によってサポートが充実していると考えられるからです。
不動産売却の経験はないが、本等である程度の知識がありコンテンツを読みこなせるという方であれば、RE-Guideの不動産一括査定やHOME4Uを利用してコンテンツを読むことも良いでしょう。
売却を考えているが、まだ検討段階ではっきり売却と決まっていない方向けサイト
賃貸についても情報を得られるサイトがお勧めです。
RE-Guideの不動産一括査定やHOME4U等の売却に関する情報オンリーでないサイトを利用されると良いと思います。
尚、各サイトと提携している大企業関係の提携仲介業者をある程度調べてみると、概ね大企業系列の仲介業者はどのサイトとも提携しています。
そのため、サイトのサービス守備範囲やご自分にとっての安心感といったものがサイト選びの基準になるかと考えられます。
まとめ
- 不動産投資家が区分マンション/自宅を売却したい場合は、買主を意識した仲介業者を選定すべき。
- 専任媒介契約ではなく、一般媒介契約を4-5社と締結するのが一番高く売却可能。
- やる気のある4-5社の選定には、売却査定サイトを利用すると早い。やる気のある仲介からコンタクトしてきてくれるため。
- 売主にとって不動産売却の第一関門は、「適正価格」の把握
- 一括売却査定サイトを利用して複数業者の意見を聞くことで、手間を省きつつ適正価格を把握しやすくなる
- 多数の売却査定サイトがあるが、目的や安心感等の面で自分に合ったサイトを利用すべき
- 面倒でなければ、大手不動産仲介(野村等)とも2社程度契約はお勧め。但し売却活動するために(1)膨大な資料、(2)しっかりした媒介契約書、を要求され面倒は面倒。本気で売却する意思がある物件のみで行うのがおススメ。