【新米宅建士へのアドバイス】登記簿の読み方 建物編

この記事では建物の登記簿についてお話しします。

建物の登記簿について、甲区や乙区、共同担保目録については土地の登記簿と基本的に同じ注意点を押さえておけば十分なのですが、表題部についてはやや異なりますので十分に注意しましょう。

 

建物登記簿・表題部について

建物の登記簿謄本の構成は、基本的に土地と同じく(1)表題部、(2)甲区、(3)乙区の3つです。

建物登記簿の表題部には、土地と同じように所在・家屋番号・建物の種類(店舗か事務所か居宅か等)・各階床面積・(登記簿上の)新築又は増改築・用途変更年月日等が記載されています。

また、主たる建物と附属建物(店舗用建物に併設の駐車場や物置等)がある場合は、附属建物についての記載もなされます。

 

建物の登記簿で特に注意しなければならないのは、区分所有建物かそうでないかです。

区分所有建物の具体例は分譲タイプのマンション、つまり買主はその「部屋」を「土地利用権」と一緒に買うタイプの建物ですが、店舗や事務所等でも区分所有の形態になっている建物登記簿は存在します。

区分所有建物の登記簿には、「一棟全体の建物」の床面積と、「専有部分」の床面積が併記されます。

このとき注意しなければならないのは、区分所有建物以外の建物登記簿の床面積は区分所有建物の登記簿に併記される一棟全体の建物を含めて「壁芯面積」ですが、区分所有建物の専有部分の床面積は「内法面積」で登記されるということです。

説明をわかりやすくするためにやや大げさな図を描きましたが、下の図で、赤がそれぞれ登記されている面積です。

【区分所有以外の建物と区分所有建物の登記面積のイメージ図】

区分所有以外の建物は内壁と外壁の中心線までの範囲の面積(壁芯面積)が登記簿に記載されますが、区分所有建物の専有部分の場合は内壁に沿った面積(内法面積)だけが登記簿に記載されます。

当然ですが、内法面積は壁芯面積よりも小さい床面積になります。

 

その一方で、マンション取引の広告や現場ではいわゆる「専有面積」については「壁芯面積」としていることが多くなっています。売買契約書等に記載される床面積と登記簿上の床面積に違いが出るということです。

この点は顧客に十分説明できるようにする必要があるでしょう。

居住用分譲マンションについて留意すべき点

また、買主の立場に立つと、執筆時点現在(平成29年10月)、床面積が50㎡以上であることが住宅ローン控除や特定居住用財産の買い替え特例等の税制上の優遇措置を受ける条件となっています。

この「床面積50㎡以上」は「登記簿上の面積」を基準に求められるのが基本であるため、分譲マンションの広告では壁芯面積ですから50㎡以上あって税制上の優遇を受けられると見込んでいても、登記簿では内法面積ですから50㎡を下回っており、優遇が受けられなくなるという可能性があるということです。

(マンションの場合は課税床面積として税額を求めるため、厳密には登記面積ではなく共用部分があればその部分の面積を加えられるため大丈夫なケースもありますが)

 

以上の通り、建物の登記簿においては「区分所有建物の登記床面積は内法面積である」ということは十分理解しておかなければなりません。

土地の登記簿と併せて確認しておかなければならない点

区分所有建物の登記簿の表題部には、敷地利用権が敷地権の場合、その対象になっている(つまり、その建物全体が建っている)土地の地番・面積が併記されます。

しかし、登記の行われていない敷地利用権の場合には土地の表示は建物登記簿についてきませんから、このような場合には建物に対応する土地の地番を確認して土地の登記簿を調査しなければなりません。

 

この場合、土地の所有権は分譲マンションの各部屋の所有者の共有とされている場合が多いですから、土地登記簿の甲区は非常に読みにくい(部屋数によっては持分12,444/1,000,000のような)ものになっています。

しかし、最低でも取引の対象になる区分所有建物の家屋番号に対応する土地持分や敷地利用権を確認しておく必要はあります。

纏め

  • 建物の登記簿の読み方は基本的に土地と同じ
  • 区分所有建物の登記簿は床面積が内法面積(区分所有でない建物の場合は壁芯面積)である点には十分注意すべき
  • 分譲マンションの取引の現場では基本的に壁芯面積での記載になっているので、登記簿面積と一致しないことが多い
  • 区分所有建物の場合、土地の登記簿も取得して最低限専有部分に対応する土地の持分や敷地利用権を確認しなければならな

 

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