※2019年7月
敷地に建物が建てられている場合のみですが、調査に必須の資料として建築計画概要書があります。
建築計画概要書があればその土地の大まかなことがわかります。
建築計画概要書とは?
建築計画概要書は、建物を建築する際の建築確認を申請するときに提出する書類です。
建築確認申請日、建築確認日の他、建築主、設計者、工事監理者、施工業者、土地の面積、予定建物の用途・構造・延床面積、建築物の案内図、配置図が書かれています。
物件の売主が建物の建築確認通知書や竣工図を保管していれば問題ないのですが、紛失してしまっているような場合は建築確認概要書を確認しておきましょう。また、売主の絡まない調査でも建築確認概要書がある場合はその調査は必須です。
例えば私道にしか面していない場合で、しかも役所に私道の台帳がない場合、図面による幅員の調査は建築計画概要書が非常に役立ちます。
また、新しい時期の建築計画概要書の場合は用途地域や用途地域の跨りがあるか、跨りがある場合、それぞれの用途地域に属する面積は何㎡か、その土地の容積率や建蔽率はいくらかといった情報が書かれています。
建築計画概要書の写しがもらえない場合は?
建築計画概要書の写しをもらえるかどうかは都道府県や市区町村の役所によって異なっていますが、写しがもらえる場合は必ずもらっておきましょう。
手数料はコピー代だけのところもあれば数百円程度のところもあります。保管している窓口はほとんどが建築確認の担当課かその部の他の課です。
東京都の場合は一定規模以上の建物の場合、区役所や市役所では建築計画概要書を保管しておらず、都庁に行ってくださいと言われることもありますから注意してください。
また写しがもらえない場合、ほとんどの場合概要書の撮影は禁止ですから、筆写することになります。役所の現地で真っ白なノートやメモ帳に一から写していくのはかなり大変な作業です。そのためネット上には建築計画概要書の空白書式等がダウンロードできるところもありますので、万一の場合に備えて用意しておくと良いでしょう。
建築計画概要書で建築確認日を確認したら、台帳記載事項証明書も併せて閲覧しておきましょう。台帳記載事項証明書には竣工日、検査済証の発行があれば発行日も書いていますから、建物が(その当時の)建築関連法規に適合して建てられていたかどうかの確認に役立ちます。古い時代の建築計画概要書の場合はあまり情報が書かれていないことも多いですが、それでも建築確認日を確認することには意味があるのです。
建築計画概要書がないと言われた場合は?
役所によっても異なりますが、古い時代の建築計画概要書は破棄してしまってありません(私が経験した内では10年以上前のものはありませんと言われたのが最短です)という場合もあります。
その場合でも、建築確認台帳だけは閲覧できる可能性は高いです。
建築確認台帳には建築確認番号、建築確認申請日、建築確認日の他、土地面積や建物の構造・面積が書いている場合がほとんどですから、これらの情報は控えておきましょう。少なくとも建物が旧耐震基準か新耐震基準かということはわかります。
また、建築確認番号の確認は台帳記載事項証明書を閲覧する際に必須の場合が多いですから、必ずチェックしておきましょう。
建築計画概要書は万能ではない
この通り、建築計画概要書を取得すれば役所での都市計画や道路の調査はほとんど終わってしまうといっても良いのですが、万能ではありません。
建築確認時から調査時点までの間に都市計画が変わっている場合もあります。
そもそも古い時代の建築計画概要書はかなり「テキトー」なこともありますから、頼り切るのは問題です。そのため、建築計画概要書を取得できたとしても都市計画や道路の調査は基本通り行わなければなりません。
物件の調査をおろそかにしていると、取引時や取引後に大きなトラブルになる可能性がありますから、省略しないようにしましょう。
纏め
- 建築計画概要書には不動産調査に有益な情報が満載
- 概要書がない場合でも建築確認台帳は必ず確認しよう
- 概要書に頼り切らず、基本通りの役所調査が必要なことをお忘れなく