【新米宅建士へのアドバイス】私道や特殊な道路の調査方法

役所の道路台帳を管理している窓口で把握しているのは、基本的には国道、都道府県道、市区町村道等の「公道」のみです。

道路には公道の他に私道があります。また、公道でも私道でもない特殊な道路もあります。

私道の調査

私道はその名前の通り、「私人が所有している道路」です。

私道に面している土地であっても、その私道が建築基準法上の指定を受けていれば建物を建てることは可能です。

代表的なイメージとして以下のような土地を見てみましょう。

 

【私道に面している土地のイメージ】

建築基準法上の道路か否か

以上の道路台帳・道路台帳確定図で確認できるのは、公道の名称と幅員のみです。

この例は、都市部で多いいわゆるミニ開発の戸建住宅地のイメージです。

対象地は南側で私道だけに面しています。

しかし、その私道は建築基準法上42条1項5号(通称「位置指定道路」)の指定を受けていますので、対象地は建物を建築できる土地、ということになります。

 

このように私道も立派な道路なのですが、その調査はやや厄介です。

公道のように道路台帳が整備されているかというと、役所によって様々です。

私道台帳を整備しているところも、全く整備していないところもあります。

 

このような私道の調査の手順は以下のような方法があります。

 

私道台帳が整備されている場合

この場合は公道の調査と同じです。

私道台帳の写しをもらうか、コピーは出せないと言われたらトレースします。

その上で建築基準法上の道路指定を受けているかを調査すれば良いでしょう。

現地に行って幅員を確認するのもお忘れなく。

 

私道台帳が整備されていない場合

その土地の周りがイメージ図のように開発によって分譲されたような場合は、開発登録簿を閲覧みましょう。開発登録簿がない場合は現地で幅員を確認するしかありません。

また、戸建の建売分譲がされているような土地の場合、対象地上の建物の建築計画概要書を閲覧してみましょう。比較的最近の建物であれば建築計画概要書添付の概略図等に前面道路の幅員が記入されているはずです。対象地上の建築計画概要書がなければその隣の建物のものも参考になります。

この場合も必ず現地で道路幅員は確認するようにします。

開発登録簿も建築計画概要書もない場合は現地で確認するか、今の対象地の所有者の協力を得て何か他に私人で管理している図面がないか確認するしかありません。

 

ここまでの手順を踏めば、公道の調査と同じ程度の情報は集まったことになります。

しかし、不動産取引の場合私道の調査はここで終わりとしない方がより丁寧です。

なぜかというと、公道はその名の通り公の道路ですから、誰でも通ってよい道路です。

しかし、私道は違います。私人が持っている道路ですので、必ずしも誰でも通れる道路ではないのです。

上記イメージ図の土地の場合、その開発区域内の住人または関係者しか通ってはいけない道路であるとされている場合もあります。

この調査は中々大変ですが、このミニ開発区域を開発した業者へのヒアリング、登記簿謄本(私道であればほぼ必ず土地の登記簿謄本はあるはずです)の取得と所有状況の調査、対象地の私道持分や負担の有無まで調査を行っておくべきでしょう。

 その他特殊な道路の調査

公道・私道以外の特殊な道路として、例えば港湾道路や区画整理事業中の地域の道路等といったものがあります。

 

港湾道路は臨海部に所在する工業地域等の道路で、公道でも私道でもなく、港湾局等が管理している道路になります。

これについては調べることは公道の場合と変わりません。ただ、窓口が他の場所というだけですのであまり難しくないでしょう(役所からかなり遠く離れた場所にあることはありますが…)。

建築基準法上の道路か否かは通常は役所が把握していますから、道路台帳を確認しに担当窓口に行くだけです。

 

区画整理事業中の地域の道路は、区画整理に伴って新設される道路ですが、区画整理は場合によって数十年単位の時間がかかります。

そのため、現況の道路は整備されていて、将来市区町村道になるものとして予定されているけれど、調査時点では役所に管理が移管されていないので役所で道路台帳がないという場合もあります。

この場合は私道と同じような調査を行って、それでもわからない場合は土地区画整理組合に行って図面を確認するしかありません。

ただし、土地区画整理組合は基本的に区画整理事業地内の土地の所有者や関係者にしか情報を開示しませんから、単独で行っても図面を見ることすら断られてしまいます。

そのため、対象土地の所有者と一緒に行くか、委任状を書いてもらうかする必要があることには注意しておかなければなりません。

 纏め

  • 私道の管理は役所によって方法がまちまち
  • 私道の調査は幅員や建築基準法上の指定の確認の他に、「誰が通れる道路か」も確認すべき
  • 私道の他にも特殊な道路があるので、調べ方の基礎は知っておくべき