※2019年7月更新
今回はオーバーローンのために、乱発されている二重売買契約について説明させて頂き、その意味にも触れていきたいと思います。
はじめに
まず、不動産を買い増していくために非常に大事なことは”手持ちの現金を減らさない”のは基本です。
更には“物件を買う毎に増やしてく“というのが現在のメガ大家到達の王道となっています。
このためには、
- オーバーローン or フルローン
- 消費税還付
という2つの手法を組み合わせることが基本手段となっています。この基本を外しては、不動産の買い増しは非常に困難であり、時間を要します。皆様に金融の情報、及び消費税還付について記事を複数寄稿させて頂いるのはこのような背景からです。
但し、不動産プロフェッショナルを目指す方々にとって、違法行為は避けるべきです。
なぜなら違法行為をするとマーケットから退場させられることとなり、プロフェッショナルとして生きることはできなくなります。
つまり何が合法で、何が違法かを区別できる能力を身に着けることも重要となります。
それでは今回のテーマである「オーバーローンのための二重売買契約」について、説明致します。
マーケットで乱発されている二重売買契約によるオーバーローンの手順
まずは二重売買契約がどのような手順でなされるかを説明します。
- 売主/買主が署名する契約書を2通り作成する。
1通は正式な合意金額(例:1億円)で、もう1通は偽装した金額(例:1.2億円) - 仲介会社より融資銀行に偽装した金額記載の契約書(この場合1.2億円の契約書)を送付してもらう。
- 融資額としてはフルローン(1.2億円)を受ける
- 決済を完了する
これらの手順を行うことで、諸経費を0.1億としてもキャッシュフローがプラスのオーバーローンの完成です。
【例によるキャッシュフロー】
融資金額: +1.2億
売買代金: -1.0億
手数料: -0.1億
差額: 0.1億
この手法は、不動産仲介会社が「みんなやっているから、大丈夫」と言ってみたり、投資家も「ばれないから大丈夫」と言ったりしてマーケットで横行している手法です。
自然とオーバーローンができ、実際の売買代金が安いと手残りも発生する、という事例も散見されます。ただし、これは問題を抱えている取引である点に注意しましょう。
二重売買契約によるオーバーローンの問題点
この二重売買契約によるオーバーローンは、契約書を2通作成して、1つのが偽物であることが問題です。
実際の金額は1つであり、もう1つは“銀行を欺くための書類”というのが事実となります。結論として、この行為は、私文章偽造及び偽造私文章行使に該当します(別の記事で詳細を説明します)。
私文章偽造等は、刑法の規定であり犯罪行為になります。
つまり、この手法を行うと犯罪行為を行っていることになり、不動産を購入されるくらい属性が高い読者の皆様が一気に“犯罪者“となるのです。
犯罪行為を社会人で行った場合、どのような社会的制裁が待っているかは想像が容易だと思います。
冒頭では“不動産プロフェッショナルとして”しっかり理解すべきと論じましたが、実は社会人として不適切な行為であることを認識頂ければと存じます。
認識したうえで、どのような判断をされるかは個人の自由です。筆者が言うべきことは何もありません。
唯一お伝えしたい点は、しっかりと犯罪行為である点を理解した上で、判断して頂ければと思います。
不動産投資は自己責任ですので、後で仲介会社がOKと言った、皆がやっている、という説明は通りませんので注意ください。