【新米宅建士へのアドバイス】用途地域の跨りにご注意

基本的な用途地域の調査の他、「一つの土地が2つ以上の用途地域にまたがっている」という場合があります。

この場合、建蔽率や容積率等が大きな影響を受けてきますので注意が必要になります。

用途地域の跨りとは?

用途地域は都市計画法によって指定されるものですが、その指定の際にそれぞれの土地がどのように配置されているかということは考慮されていません。

土地は隣の土地を購入して自分が元々持っていた土地と一つにしてしまう(これを合筆と言います)ことも、その反対に自分が持っている土地を二つに分けて(これを分筆と言います)片方を売ってしまうこともできます。

そのため、用途地域を指定する際には必ずしも一つの土地に対して一つの用途地域の指定しかないというようにはできないのです。

ある土地を調べていて、その土地が2つ以上の用途地域にまたがっているという場合は、

  • それぞれの用途地域の規制内容
  • どこが用途地域の境目になるのか

という2点を役所でしっかり確認してこなければなりません。

 

用途地域の跨りによって影響が出る事項

用途地域の跨りによって影響が出る主な事項は以下の通りです。

  1. どのような建物が建てられるのか?
  2. その土地の建蔽率・容積率はどうなるのか?
  3. 防火地域・準防火地域の指定はどうなるのか?
  4. 日影規制はどうなるのか?

これを以下のイメージ図による設例で解説します。

下は用途地域の跨りのイメージ図です。

【用途地域の跨りのイメージ】

 

一つの土地の中に、商業地域と第2種住居地域の用途地域が跨っている場合です。

この場合で、商業地域は建蔽率80%、容積率500%、防火地域、220㎡とし、第2種住居地域は建蔽率60%、容積率200%、準防火地域、200㎡という場合を考えましょう。

 

どのような建物が建てられるのか?

これは「敷地の過半を占める用途地域の規制が土地全体にかかる」ことになります。

この設例では、商業地域220㎡>第2種住居地域200㎡ですから、土地全体について商業地域の規制が適用されるということになります。

 

その土地の建蔽率・容積率はどうなるのか?

これは「それぞれの用途地域の面積による加重平均」です。

加重平均という言葉はわかりづらいかもしれませんが、以下の計算例で理解してください。

建蔽率

{(商業地域220㎡×建蔽率80%)+(第2種住居地域200㎡×建蔽率60%)}

÷(商業地域220㎡+第2種住居地域200㎡)

≒この土地の建蔽率は70.48%

容積率

{(商業地域220㎡×容積率500%)+(第2種住居地域200㎡×容積率200%)}

÷(商業地域220㎡+第2種住居地域200㎡)

≒この土地の容積は357.14%

実際に電卓を叩くか、エクセル等で計算する等してこのような加重平均方法は理解しておきましょう。

防火地域・準防火地域の指定はどうなるのか?

これは「原則として厳しい方を取る」ことになります。

この土地は商業地域が防火地域、第2種住居地域が準防火地域の指定を受けていますが、土地全体に防火地域の指定がかかることになります。

ただし、建築物を第2種住居地域のゾーンにしか建てず、商業地域のゾーンには建てませんということであれば、準防火地域の指定内容に合致していれば構いません。

また、建築物が防火地域と準防火地域の両方にまたがる場合でも、防火壁等を入れていれば防火壁より後ろのゾーンには防火地域の規制はかかりません。

 

日影規制はどうなるのか?

日影規制の他、高度地区の指定に関しても同じですが原則として「個別にかかる」ことになります。

尚、この場合、商業地域には日影規制はかかりませんが、第2種住居地域の部分には日影規制がかかりますので、予定建築物の高さには十分注意しなければなりません。

別記事で解説しますが、日影規制の検討が不十分であったために予定建築物が建てられなかったという見落としは大変なトラブルにつながります。

 

纏め

  • 用途地域が跨っている場合はそれぞれの規制内容と、「どこまで」がどちらの用途地域なのかを役所で十分調査する必要がある
  • 用途地域の跨りによって規制される内容は項目ごとに異なるので十分覚えておかなければトラブルの種になる

 

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