【新米宅建士へのアドバイス】送電線、電波障害等(現地調査編)

現地調査では境界石や上下水道等、地面の上ばかりに注目しがちですが、調査物件及びその周辺の上空を見ることも忘れてはいけません。
高圧線やテレビの電波障害の有無の可能性等のヒントは上空にあるからです。
個人的にですが、私は現地に近づいたらまず物件の上空を見上げるようにしています。

高圧線とは

高圧線とは、電圧がおおよそ17万ボルト以上の電線を言い、普通に街中に張り巡らされている電線(低圧線)とは違ったものです。
高圧線は発電所から各地域まで直接電気を送るためのもので、それぞれの地域の拠点から分岐して通常の電線につながっています。そのため、通常の電線が基本的に道路内にしかなく引込線以外は建物の敷地の上を通ることはないのに対し、高圧線は建物の敷地の上空を通っていることもあります。
現地では、まず土地の上空を見て、不自然に電線が敷地の上空を横切っていないか、周辺に高圧線と思われる電線がないかどうか目視します。そのような電線があるとき、簡単に高圧線かどうか判別するには、その電線をたどってしばらく歩くと電力会社の管理する鉄塔があるはずです。そのような鉄塔はゼンリン等の住宅地図にも表示されます。
鉄塔に鉄塔番号や電力会社の連絡先の掲示がされている場合は高圧線である可能性が高いといえます。電圧は管理している電力会社で調べることができます。

周辺に高圧線がある物件の調査

電力会社に鉄塔番号を伝えて電話等で確認して電線が高圧線と判明したら、次は建築制限を調べます。
土地登記簿の乙区に電力会社を権利者とする地役権が設定されており、「建物の建築不可」とはっきり記載されていることもありますが、それがない場合もあります。また、登記簿に高圧線設置のための地役権設定登記がなくても、高圧線の周辺の土地では建築規制がかかるのが普通です。
高圧線設置のための地役権設定はあくまで「高圧線の真下の土地」に行うものですが、高圧線は風等によって揺れるものです。風が吹けば鉄塔と鉄塔を支点にしてつり橋のように揺れます。
そのため、高圧線設置の地役権設定がなくても、その周辺の土地には「高圧線の揺れを考慮した上での離隔距離(高圧線から何m離して建物を建てなければならないか)」が立体的に定められています。また、工事の際に重機を敷地内に搬入する場合の注意事項も定められています。

上の図は上空に高圧線がある道路に面した土地を真横から見たイメージ図ですが、赤い網掛けゾーンが離隔距離で、高圧線の電圧ごと、電力会社ごとに定められていますので、電力会社で調べることになります。
これは高圧線からの空中を伝わっての感電を防ぐという意味でもやや余裕のある距離が定められています。
以上のように高圧線があると、上記のように高圧線から離して建物を建てなければならないため、日影規制その他の建築規制をクリアしていても容積一杯には建物が建てられないということも起こり得ます。

高圧線の調査は、

  1. 登記簿で高圧線設定のための地役権登記がされているかどうかをチェック。地役権登記がされていれば地役権図面を取得する。
  2. 現地で高圧線があるか、上空や鉄塔を見て調べる。あれば鉄塔番号を必ず控えておく。
  3. 電力会社に鉄塔番号と所在地を伝え、送電線の電圧や建築制限(主として離隔距離)を聴く。
  4. 電力会社に出向き、高圧線の地面からの高さを確認する。同時に高圧線の振れ幅の図面を見せてもらい、建物建築の際の離隔距離や工事の際の制限をヒアリングする。電力会社で地役権設定図面を持っていることもあるのであれば見せてもらう。

以上のような手順を踏むことになります。

電波障害等がある場合

電線関係の調査でもう一つ注意しなければならないのは、テレビやラジオの電波障害です。
最近は地上波デジタルになったため改善された地域も多いですが、鉄塔や高圧線があるときは電波障害が起きてテレビの画像が乱れたり、ラジオの音声にノイズが入ったりといったことがあります。

現地の上空を見たら、周辺の建物も見て、アンテナが設置されているかどうかにも注意します。
周辺の建物にアンテナが設置されていれば電波障害の可能性は少ない(=周辺の建物はアンテナで電波を受信できている)ということになりますが、アンテナが見当たらない時は電波障害があると推定して調査を進める方が良いでしょう。
アンテナがない理由は、電波障害のために有線テレビの配線を設置している地域であることが多いためです。

有線テレビとは、いわゆるケーブルテレビのことですが、テレビ会社によっては建て替えの時に引込・設置工事の代金の他に新規加入料や月額使用料が必要になります。
この費用は当然買主負担ですから、買主がケーブルテレビを整備して加入しないと満足にテレビが見られない物件であることを告知されずに取引をしてしまうと、後々トラブルになりかねません。

このような電波障害は高圧線の周辺の土地以外にも、高層ビルや高層マンションが電波を遮っている場合もありますし、周辺の大規模団地が同じように電波を遮っている場合もあります。

このような電波障害がないときでも、区分所有建物の取引や団地の部屋の賃貸等の場合は、団地居住者や組合が資金を出し合って団地全体にケーブルテレビを引き込んでいる場合があります。
この場合は入居時に加入料や施設料がやや高くかかるような場合もありますから、規約等で十分確認しておかなければなりません。

纏め

  • 物件の現地調査では「上空」にも注意する
  • 高圧線があれば電波障害だけではなく建物の建築、工事の際の重機の使用にも制限がかかるので、十分注意すること
  • 特に高圧線の振れ幅の調査等は建物の建築にダイレクトに響くので注意
  • 電波障害があればケーブルテレビの引込費用等が買主負担でかかる場合もあるので十分注意しておく

 

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