【不動産投資】外国人入居者のトラブル事例&避けるための3つのポイント

※2019年7月更新

政府のビジット・ジャパン事業、東京オリンピック開催を間近に控え、日本を訪れる外国人観光客数はうなぎのぼりに増えています。一時期のような中国人観光客によるいわゆる「爆買い」は落ち着いているとは言われていますが、日本政府観光局の統計を見てみると、平成27年、平成28年は前年比でプラス20%以上の増加です。

もちろんそれだけではなく、多国籍企業の拠点が日本にも増えていること、大小問わず外資系企業の増加によって、日本に居住する外国人は増えています。

外国人入居者の場合、日本人入居者の場合ではあまり考えられないようなリスクもありますので、受け入れにあたっては十分な注意が必要です。

 

外国人は生活習慣が日本と異なる


現在日本には様々な国から外国人が来ていますから、外国人と一言で言ってもその生活習慣・考え方はもう数えきれないくらいです。

欧米系もいれば東南アジア系、アフリカ系、中国系まで実に多種多様です。
民族だけではなく宗教上の理由まで入れたら類型化するだけでも大変で、一冊分厚い本が書けてしまうでしょう。

とは言え、不動産投資、特にマンションを投資対象にしておられる投資家の方であれば、注意しておかなければいけない3つのことがあります。それが

  1. 臭気
  2. 騒音
  3. 物件に対する損害

です。それぞれについて詳しく見ていきます。

 

①臭気

外国人の場合、食習慣からして日本人とは違っていることがあります。
臭いが出ないのであれば特段周りの部屋に対する迷惑にはならず問題にはなりません。
しかし、言い方は悪いのですが慣れない人には悪臭としか思えないようなものを日常的に、好んで食べる方々もおられます。

まずはタイ等のアジア系の方々です。
一般的にスパイスを多用した料理を日常的に食べるため、換気扇の戸外につながる部分からは独特の臭気がします。
最近では町中にも日本人向けタイ料理店や本格インドカレーの店等が多く出店していて、特に40代以下の若い日本人であれば日常的に食べ慣れていて、また料理自体の臭いにも慣れている方も多くなっています。筆者もその一人ですから、料理自体の臭いは好ましいものとして受け取れます。
しかし、調理中のマンションの中等の換気扇から出てくる臭気は、料理とはまた異なってかなりの臭いを発することがあります。
これは民族の生活習慣ですからあまりとやかく言うことではないのですが、特に年配の日本人を中心に臭気に耐えられないというクレームをよく耳にします。
このような方々を受け入れるためには、専有部分ごとに臭いの行き来がない気密性の高い建物構造であるか検討したり、換気システムを見直したりといったことが必要になるでしょう。

 

②騒音

イメージとしては欧米系の方が中心かもしれません。
欧米系の方は押しなべて自宅に友人たちを招いてパーティを開くのを好む傾向があります。
この習慣は日本に来ても変わらない人が多いようですし、友人同士仲の良いことはもちろん良いことなのですが、マンションオーナーの目から見ると騒音の問題があります。
特に夜間、あまりにもうるさくて隣の入居者からクレームが入ったり、最悪の場合は退去されてしまったりして空室リスクが上がる原因になりかねません。

 

③物件に対する損害

一般的な日本人向けの賃貸借契約書でもうたわれていることが多い条項で、「専有部分の清掃は入居者負担で行う」とされています。
また、入居者から見ると部屋は借り物なので、法律上は「善良な管理者の注意義務」をもって使用しなければいけませんし、ほとんどの日本人はそのモラルを持っています。
(最近取り上げられることが多い「ゴミ屋敷」等のように、そうでもない人も増えているようですが…)

しかし、一部外国人入居者の場合はそもそも衛生観念のレベル自体に差があるのかは分かりませんが、退去後は部屋が酷い状況だという話も聞きますし、実際に目にします。

油の多い料理をするから換気扇の手入れはこまめにやってもらわないと困るのに放置されていたため退去後見てみると油が大量についていて換気装置自体を全部入れ替えなければならなかった等はよく聞く例です。
他にも例えば、何故か壁の裏側に青カビがびっしり生えていて、壁材からやり直しになってしまったという例もありました。

 

①~③を考えると、外国人入居者を入れる場合、共同生活であるため守らなければいけないマナー、臭気を発する食べ物を好む方であれば換気システムや入居させる部屋の位置等について、より詳細な契約書が必要になると思われます。

 

契約に対する考え方の違いによるトラブル

人間関係を優先する民族性だからか、日本人は契約に対する考え方が甘いとよく言われます。

しかし、契約に対して甘い、というより真面目に考えていないのではないかと思われる外国人もいます。

例えば、外国人入居者を入居させた大家さんが、2年経って更新料の話をしに行ったら最初の入居者とは全然違う人が住んでいて、更に日本語も通じないため元々の入居者の居場所も連絡先も分からなかったというトラブルが見られます。
これは大家さんと契約した入居者が契約期間中に帰国することになって、住む場所を探している友人や知人を勝手に入居させてしまっているという無断転貸のケースです。
契約上の賃借人本人は帰国してしまってもう日本にいない、しかし家賃だけは振込で払われてくるから、全然違う人に入居者が入れ替わっていても大家さんが気付いていなかったケースですね。

このように、賃貸に関する習慣が日本と全く異なっていることを理解していないか、より悪いケースでは一部の国では法律が機能しておらず契約よりも個人間の人間関係や力関係が優先されるため、法律や契約に対して全く真面目に考えていない、お金さえ払えば好きなようにできるものと考えている外国人も、残念ながら一部にいます。

このようなリスクを避けるためには、家賃を振込ではなく口座引落にする(銀行口座を持っていることで間接的に銀行が身分を保証してくれます)等の対策が必要です。しかし、銀行口座自体を他人に譲る外国人もいるようですから完全な予防はできないかもしれません。

 

外国人入居者を入れる際に考えるべきポイント

外国人入居者を入れる際に重視すべきポイントは、日本語でコミュニケーションが取れる人かどうかという点です。

何かトラブルが発生した場合、注意をするにも交渉するにも、日本語が通じるならばある程度スムーズな対応が可能ですが、日本語が話せない場合はかなりの労力を伴います。

日本語が話せない人も受け入れるのであれば、その外国人に対するサービスを提供しており、入居中トラブルにも対応できる保証会社をつけてもらう等、何らかの手当てを講じておく必要があります。

無断転貸を防ぐためにも、入居中の契約遵守事項について十分コミュニケーションをとっておく必要がありますから、日本語が通じるか、何らかの方法で意思疎通ができる人かどうかという点は十分注意しておくべきでしょう。

 

【不動産投資】外国人入居者のトラブル事例&避けるための3つのポイント

  • 外国人の増加に伴い、賃貸契約上のトラブルは増えている
  • 投資家が注意しておくべきポイントは、臭気、騒音、物件に対する損害、無断転貸が中心
  • 外国人入居者を入居させるならば、日本語が話せるかどうかがポイント
  • 日本語が話せない人の場合、他の手段で意思疎通が可能であることがポイント