土地は建物を建築することによって価値が生まれますが、道路に面していない土地には建物を建てることはできません。
しかも、建物を建てるためにはただ道路に面しているだけではダメで、「建築基準法上の指定を受けた道路」に面していることが必要になります。
道路に面していない土地は建物を建築できない土地になりますし、駐車場や資材置場等として利用すればよいと考えても、そもそも車の導入ができません。
道路に面していない土地は道路に面した土地に比べて価格が極端に低くなりますから、役所・現地で道路調査は確実に行わなければなりません。
道路調査の方法
役所での道路調査はまず道路管理の担当課に行きます。
担当窓口は役所によって道路管理課であったり路政課であったりと様々ですから、役所の総合案内で「道路台帳等の確認をするにはどの課に行けば良いですか?」と聞くのが良いでしょう。
尚、公道には大まかに分けて国道、都道府県道、市区町村道がありますが、それぞれ窓口が異なっています。特に遠方の不動産を調査する際には、事前にネットで調べ、電話で確認する等して国道はここ、県道はあそこ、といったように担当窓口と所在地を確認しておかないと、現地であわてることになってしまいます。
担当課に行ったら、まずは「道路の名称と幅員を教えてください」と聞きましょう。
そうすると、認定幅員・現況幅員等を教えてくれます。
また、必要に応じて道路台帳のコピーをもらいましょう。道路台帳のコピーは有料の場合がほとんどですが1枚当たり10円~数百円でしょう。
尚、私の経験ですが国道に関しては道路台帳のコピーがもらえないことがほとんどです。
道路台帳の閲覧だけをさせてもらって、「幅員はスケールを当ててください」と言われることが多いので、三角スケールは必ず持っていきましょう。
道路台帳を確認したら、次に道路境界確定図の有無を確認します。あれば写しをもらっておきましょう。道路境界確定図があれば、道路に関しては敷地境界のトラブルがない土地ということになり安心です。
尚、市町村によっては道路台帳に記載されているのは認定幅員だけで、現況幅員が記載されていないことがあります。
また、現況幅員が記載されていても、それはあくまで道路台帳作成時点の現況幅員であって、調査対象地の現在の状況とは異なる場合もあります。
道路台帳上6.5mの道路であっても、実際の幅員が6mしかなくて、建築確認も実際の幅員でしか取れないとなると、使用可能容積率が異なってきます。
商業地域、指定容積率500%の地域ですと、6.5m道路に面していれば6.5m×0.6=390%までは容積率を使えますが、6m道路であれば6m×0.6≒360%までしか容積率を使えなくなります。
そのため、道路の調査は役所での調査も重要ですが、現地で必ずメジャーやウォーキングメジャーを実際に道路にあてて確認することをクセにしておきましょう。
建築基準法上の道路か否か
以上の道路台帳・道路台帳確定図で確認できるのは、公道の名称と幅員のみです。
その土地に建物を建てるためには、「その道路が建築基準法上道路の指定を受けているか」ということが必要です。
その土地が面している道路が建築基準法上の道路指定を受けていない場合、見かけ上道路に面していてもその土地には建物を建築できないということになります。
そのため、道路台帳等の調査を終えたら必ず「その道路の建築基準法上の道路の性質」を調べておきましょう。
担当は多くの場合建築指導課等ですが、これも役所によって担当窓口の名称は異なります。
担当課に行って、「この道路の建築基準法上の道路の性質を教えてください」と聞いてみましょう。
そうすると、例えば42条1項1号道路ですね、42条2項道路ですね、建築基準法上は道路ではない(=ただの通路ですね)などと返答されます。
この性質をしっかり確認するようにしておきましょう。建築基準法上の道路の指定があれば、晴れてその土地は建物を建てられる土地であるということになります。
尚、42条2項道路と言われた場合は注意が必要です。
すでにご存じかと思いますが、42条2項道路に面している土地で建物を新築したり建て替えたりする場合はセットバックが必要になるからです。
この場合、前面の42条2項道路は何mのセットバックが必要になるのか、両側後退(道路の中心線からそれぞれ2mの後退)か片側後退(道路の片側の端から4mの後退)か、対象地はセットバック済なのかということを確認しておきます。
纏め
- 不動産は道路に面することによって価値が生まれる
- 道路台帳や境界確定図等の役所で入手できる図面だけではなく、現地で幅員を確認するクセをつけておくべき
- 道路台帳上で道路であっても、必ずしも建築基準法上の道路指定を受けているわけではないので必ず確認する